業界人間ベムで「ADK」と一致するもの

ベムが起案者であり創業メンバーだったDACが博報堂のTOBで上場廃止となる。既に支配下にあるDACを有利子負債までして1100億も出して完全子会社化する博報堂の判断に首をかしげる者も多いだろう。「1100億もあるならADK買っちゃえばいいのに・・・」の声も聞こえてくる。まあ、それだけ今のADKには価値がないというか、買えば返ってお荷物なのだろう。それだけ博報堂はデジタル化を急ぎたい。(ADKにはもう自分自身ではデジタル化の目がない)

DACホールディングスには商流で代理店を通すメディアレップDACと広告主直のアイレップの主力2社があるが、SEMというなかなか潰しの利かないソリューションに特化したアイレップが対応するソリューションの幅を広げるのは簡単ではない。だからこそDACはホールディングスにして広告主直のソリューションの幅を広げるM&A展開を積極的にするとベムは思っていたが・・・。
だから今回のTOBはグループとしてのデジタル対応力拡大よりも博報堂本体のデジタル化を狙っている。

ベムが12年前にトライしたADKインタラクティブは、「ADK本体がデジタル化するのは無理だからADKインタラクティブが大きくなって親子逆転によって、結果としてデジタル化を果たす」という狙いでつくった会社だ。そのプロセスでリソースをどう引き渡すかが一番肝だと思っていたが、そもそも代理店の本丸機能であるクリエイティブ・マスメディアプランニング・SPプランニング・戦略プランニングなどをいかにデジタル化するかが最も難しいところとなる。
前のエントリーにも書いたが、今のエージェンシーに起きていることはオペレーション機能の空洞化と主力ソリューション機能の(デジタル化の遅れによる)陳腐化である。
デジタル化の本質は、経験と勘で培ってきたいわゆる「アナログ施策」をデジタルテクノロジーとデジタルデータを駆使してプロセス改革を成すことにある。

さて、そうしたことをトラッド主導でやるか、デジタル主導でやるかが大きな問題だ。

ベムはADKインタラクティブ時代、ADK本体の新卒を何人かADKインタラクティブにインターン出向させて2年預かって「デジタルマインド」を叩き込んでから親会社に返すということをやっていたが、出向解除時にデジタルが分かる人材として引く手あまただった者が本体部署に戻るとデジタルと程遠い作業ばかりやらされていて、全く意味がなかった。結局従来のビジネスの仕方しか知らない上司の下に来ても活用されない。トラッドがデジタル人材を手足でしか使えないのなら自身のコアスキルをデジタル化することなどありえない。トラッドが主導してデジタルを飲み込むリスクはここにある。

DACは博報堂DYホールディングスの下に直接ぶら下がる形になるのではと聞いた。それはいいことで、MPの下で、ブランドエージェンシーの営業、MPの業推などと、その下にDACのプランナーやオペレータがたくさん連なる状態はデジタル広告が運用型主流になればなるほど意味をなさないのは明白である。だいたいメディア業推という役割がデジタルメディアに必要だとは思わない。(マスメディアにおける職能概念だ)
DACがMPと横並びになるのならデジタルオリエンテッドなビジネスはスピーディに進むだろう。あとはクリエイティブを含め本体ソリューションのデジタル化をDAC側のデジタル人材との融合で出来るかどうかだ。給与体系も含めオペレーション人材として捉えてきたグループのデジタル人材を従来どうりに手足として使うだけの発想では1100億円は意味をなさないだろう。デジタル人材とはデジタルメディア人材だけではない。

さて、一方電通もホールディング体制にすることを検討していると発表している。ベムが注目するのは電通デジタルが電通本体と横並びになるかどうかだ。(本来はイージスを買収した際に、電通とイージスの位置づけということではホールディングスがあって、事業会社の電通とイージスが並んでも良かったようにも思うが)
当然、電通本体がフロントをとってデジタルビジネスを支える基盤も大事だが、デジタルがフロントをとって電通本体のリソースを活用できると(タスキ掛けになると)融合が進む環境になりそうだ。

その昔、ADKインタラクティブでフロント営業をして本体にメディア発注していた事例もある。

そもそもデジタルとグローバルはコインの裏表で、欧米のメガエージェンシーはデジタル化とグローバル化は同時に発想されている。
その点、博報堂はグローバル化では遅れを取って、国内でのデジタル化を先行して、デジタルからのアジア展開を志向しているように思う。(ADKもマーティンが引退するのだったら焦らずにWPPに残っていれば、ザクシスジャパンをADKが担うことでデジタル&グローバルに活路を見出すこともできたかもしれない。)

いずれにしても、エージェンシー(電通と博報堂)のデジタル化はネット広告の扱いを子会社をつくって対応さるところから、本体ビジネスのデジタル化をどう果たすかに舵を切った。同時にもう主戦場のデジタルでは、電通と博報堂以外総合代理店はほとんど存在感を失った。タイトルの「エージェンシーの・・・」は、電通と博報堂のデジタル化という意味だ。

■WPPやOmnicomの誕生と日本市場との意外な関係

 WPPやOmnicomは誕生当初に、日本の89年バブル景気が大きく寄与している背景がある。彼らの現在を支えているのは、実は日本の資産だったかもしれない。ソレル氏の辞任は、現在の景気の波を考えるための大きなキッカケを示唆している。

「広告会社のコングロマリット」が誕生は、WPP(1985年)とOmnicom(1986年)が登場したことが起点と考えられている。ソレル氏はWPPを1985年に買収し、「地味な」Below-the-lineの小ぶりの会社を2年間に英国で15社、北米で3社を買収した小さなスタートをしている。

 これに対してOmnicomはその翌年86年に巨大合併によって強烈な垂直立ち上がりを見せている。当時の「BBDO」、「DDB」、「Needham Harper」の巨大3社を合併させて登場したのだ。86年当時はWPPの知名度はまだ低く、コングロマリットの発端はOmnicomだったとする定義もある。

 Omnicomが巨大広告会社3社合併で誕生した86年のさらに翌年87年に、WPPがOmnicomと競うように「J. Walter Thompson(JWT)(JWT傘下の巨大PR会社の「Hill & Knowlton」等を含む)」を約680億円(5.66億ドル:87年レート120円換算)で買収している。事実上、世界中で今後起こることになる広告コングロマリット同士の競争は、ここから始まった。

 WPPのJWT買収の「資金繰り」は株式交換が半分と、残り半分の約300億円強は銀行からの借入金負債を導入した。WPP自体の当時の企業価値が約300億円(2.5億ドル)であったので、自分より大きい企業を買収したことで、WPPは自分の体と同じサイズの借入金負債を抱えた。こうした経緯で「WPP最初の負債過多の危機」が訪れる

■日本のバブルが救ったWPPやOmnicomのコングロマリット経営
 
ところがWPPはこの借金をなんなく返済して危機を脱出している。実はWPPが買収したJWTは1956年に日本進出をしていたのだが、JWTジャパンは、東京の国道1号線沿いの魚籃坂(ぎょらんざか)交差点付近に「自社ビル」を所有していた。WPPはJWT買収後このビルを、土地神話バブルの真っ只中において売却させたのである。およそ160億円(1億ドル:88年レート160円)で売却し、借り入れの半分を一気に返済した。
参考:Harvard Business Review,「WPP’s CEO on Turning a Portfolio of Companies Into a Growth Machine」

 これと同様に前出Omnicomの経営も日本のバブル期に縁がある。実はホールディングのOmnicomが生まれる前の84年に、当時の日本の旭通信社(現ADK)は広告会社単体のBBDOと「資本の持ち合い」提携を結んでいる。その後の86年にBBDO、DDB、Needhamの3社が結成してOmnicomを発生させたことにより、旭通信社は自動的に巨大広告会社コングロマリットのOmnicom社の株式を持つことになる。同様にこの年に旭通信社と株式を持ち合ったOmnicom側も、87年に「上場する前」の旭通信社の株式を獲得したこととなり、旭通信社の上場を経て持ち株の価値が大きく(数倍に)増えた後に、さらに89年バブルに向かう日本の旭通信社の株式を保持したということになる。参考までに電通の上場は87年の旭通信社(BBDO)上場から、さらに14年後の2001年だ。

 Omnicomは元々BBDOが保有していた旭通信社(現ADK)の未上場時代の株式を、旭通信社が上場後にバブルの真っ只中にサッサと売却を行って利益確定したのだ。金額に関するレファレンスは無いが、筆者の記憶では当時で数百億円単位の株式売却益になっているはずだ。

 旭通信社としては「株式持ち合いの資本提携」としてBBDOと約束したつもりが、ホールディングスのOmnicomに変身してからは、当時の約束よりもホールディングス会社の利益が優先されて持ち合いのはずの株を売られてしまった。当時の旭通信社の経営陣はこのOmnicomの「裏切り株売却」がきっかけとなり、次なるWPP側への「嫁入り準備」が進んだ。

参考:旭通信社創業者の故・稲垣氏への英字紙のインタビュー
https://www.campaignlive.co.uk/article/japans-advertising-giants-masao-inagaki/36591

 とはいえ旭通信社(ADK)側もその後、保有しているOmnicom株が上昇し続け、自社の経営難の度に少しずつ売却し、最終利益の黒字化の調整を図っていたのでお互い様な面がある。実はこの「株式貯金(OmnicomとWPPの株)」こそが、現在のADKが第三位のエージェンシーとしていまだ存続できている原資だった感がある。(上場廃止前のADKのバランスシートには、引き続きOmnicom株の売り残りが存在した)

■今後の広告・マーケティング企業によるコングロマリットのあり方
 上記の経緯紹介は極端な例ではない。これまでのコングロマリットがホールディング企業として成長をしたきっかけが、実は含み資産である「不動産」「株式」「景気」などを礎としてジャンプした経緯がある。

 実はこのような土台の軌跡はOgilvyにもY&RにもR/GAにもエージェンシーに共通した戦略として存在する。「右肩上がりのハード資産を担保として、ソフト部分を成長させる」手法である。紙芝居として魅惑する「夢やロマン」のソフトを、後ろで駄菓子や飴を売って儲ける「ハードが利益担保する」構造だ。

 今改めて考えてみれば、これらの経緯を経た「WPP」、「Omnicom」、「IPG」、「Publicis」、「電通Aegis」等の広告コングロマリットがホールディングス企業として、広告主企業(クライアント)に良きサービスの付加価値を提供しているコト(サービス)は何だろうか。この問いはグローバルホールディングスの領域に留まらない。日本ローカルで芽生えるマーケティング企業もホールディングス化させているし、ビデオ・コンテンツを作るプロダクション・ハウスに至るまでコングロ化させようとする企業体に、「コングロマリットで良いのか、その価値は」と、現在のWPPの行方とソレル氏の辞任を機に考えてみたい。

 このコングロマリットのモデルは広告・マーケティング業界だけに留まらない。元々はジャック・ウエルチ氏が率いたGeneral Electronic(GE)が、買収で成長を作り上げたモデルだ。そのGEがこの1年で株価は半減し、イメルトCEOが昨年末で辞任していることや、GEの解体が進み始めているのも報道の通りだ。(図3,4)

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■コングロマリットとして所有よりもオーケストレーションのユニット

 ソレル氏の辞任によって、「エージェンシーを買収して束ねる」というホールディングスの価値に大きな疑問が「言いやすくなった」。体内に蓄えた「サイロ(各エージェンシー)」を横串にして機能させるというソレル氏の「ホリゾンタリティー」は美しいスローガンのようで、実は機能しないのではないか、という仮説だ。薄々疑問視していたこのスローガンに対し、「王様は裸だ」と言いやすくなったのだ。

 ネットを中心とした世界は状況を一気に反転させるため、自社所有よりも変化に対応できる「オーケストレーション」の繋がりと技法が向くと言われる。WPPにとっては所有してしまった「トラディショナル・エージェンシー」が実は大きな負債になっているのではないか、という見方が生まれて来た。現在のWPPは「ソレル・プレミアム」を手放したのではなく、実は「ソレル負債」を償却できたと言え、これを堂々と「王様は裸だった」と言えるリーダーがWPPに登場するかどうかに懸かっている。

■トラディショナル・エージェンシーが負債に、そしてGDPRも実は大きな影響が
 ソレル氏が辞任した1週間後に「トラディショナル・エージェンシー」のJWT(やOgilvy)が75年間守ってきたアカウントである自動車の「Ford」が、WPPに対してグローバル・クリエイティブのレビュー(再入札)を行うと発表した。グローバルで約4,400億円(40億ドル)、40カ国に及ぶ巨大であり、長い付き合いの「鉄板」クライアントだ。WPPはホリゾンタリティーを実証するチームをJWT、Ogilvy、Y&Rらの「トラディショナル」の精鋭を集め「Global Team Blue(GTB)」を編成し、Fordクライアントのオフィスはデトロイトだが、このユニットのオフィスは「目の前」に構えていた程である。ところが、ソレル氏辞任と同時に「待ってました」とばかりのレビューである。そして、今新たな報道が入って来た。昨年WPPにメディア・アカウントを集約したばかりのRevlonも、これを見直すという。

 さらに欧州が今月より発動させるGDPRの動向もコングロマリット経営には、大きな影響を及ぼす。GDPRの詳細はここでは割愛するが、個人IDを蓄積したマーケティングを「データ管理者」としてコングロマリットがクライアントのアカウント担当としてサービス提供する場合、例えばWPPの傘下のグループMが管理する「[m]ID(エム・ID)」を別会社のJWTがFORDのために活用する、という技は管理規約上、非常に難しい。

 サイロの寄せ集めの「ホリゾンタリティー」では個人IDに集積される「データ管理者」としては不十分で、「厳格なる管理者1社」の存在が必要になってくる。売却カンパニーの筆頭候補としてデータを扱うKantarがその標的になっているのは、偶然ではない。Kantarの抱えるデータは、コングロマリットの傘下に存在するより、独立サービスとして成長できる可能性が高いからだ。さらにWPPの暫定CO-COOとして傘下の「CRM企業(個人IDを扱う)のWunderman」のCEOであるMark Read氏が任命されたのも偶然ではない。個人データをどの会社に集約させるか(責任を持たせるか)は、コングロマリット経営の中で新たに発生する矛盾課題(横と連動するシナジーを産みにくい)が徐々に健在化してくる。

 このFordやRevlonのレビュー結果やこの傾向は、おそらく将棋倒しで発生する事項であり、コングロマリットの行き先を占うことになるので要観察としておこう。さらに配慮しておきたいのは、広告やマーケティングは「トレンド」に左右される事だ。一番大きな「トレンド」と言えば「景気」であり、このコラムで今後の経済的な動向がマーケティング業界に及ぼす影響は大きい背景にも気づいてもらえただろう。興味深い時代の区切りが到来した。


この話題もベムで触れない訳にはいかないだろう。読者の皆さんお待たせしました(笑)。なんとも謎だらけのままWPPのSir Martin Sorrell (73歳)がCEOを辞任するという、筆者個人としては残念なアナウンスが4月14日の週末土曜日に業界を駆け巡った。

 このソレル氏の辞任に対する現在までの状況のおさらいと、WPPやOmnicom、等の「コングロマリット」としての意外な成り立ちについて紹介しつつ、今後の広告やマーケティング・コングロマリット行き先に触れてみたい。これらをまとめて語れるのも業界ベムならでは、の特集だ。

■ソレル氏のAmazon級の成長軌跡
 ソレル氏は1975年に英国の「Saatchi and Saatchi」社の初のファイナンシャル・ディレクターに就任し、その後独立して「Wire and Plastic Products(WPP)」という買い物かごの企業を1985年に買収することで広告事業の器とした。「買い物かご」だった企業が「企業の買収かご」の企業へと変身を遂げた瞬間である。

 それから32年後の現在WPPは総従業員数20万人、世界112カ国にオフィスを持ち、企業価値2.2兆円(200億ドル:150億ポンド)にまで成長した。Revenueの年平均成長率(CAGR)は何と29%である。これはAmazon級の成果で、初年度の売上を1として毎年前年比29%伸ばせば、ソレル氏の在任期間の32年で2,680倍の売上を作ったことになる(図1)。

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■謎のままの、ソレル氏辞任の「理由」
 報道の通り、辞任の発端はWPPがソレル氏に対して「personal misconduct(個人の不適切行為)」「misuse of assets(WPP資産に対する不適切利用)」「financial impropriety(財務に関する不適切)」に対する内部監査を行った結果とされている。しかもその調査の結果は一切物質的な事象は何も公表もされないまま、ソレル氏自身に対しても「一切悪い行動はナシ」と判定され、調査は終了している。解任ではなく辞任であり、対応方法としては「引退」として、その後のストックオプションや残りの5年分の報酬なども支払いは継続される。ソレル氏のPR会社を通じたコメントは「自分の辞任がWPPにとって、取り得る最高の道」とした。

 まずはCEOを辞任に追いやる圧力となりうるのは株主と考えるのが妥当だろう。ところがWPPの大株主の上位は、ほとんどが米国系のファンドと一部の欧州系のファンドで構成されている。これらの株主であるファンドは全て「ソレル氏のファン」で構成されており、「ソレルCEOだからこそ保有していた」銘柄であったはず。よって株主からの単なる不信任によるCEO降ろしというシナリオは考えづらい。

 あるいは、日本で起こったセブン&アイの鈴木(前)CEOの辞任や、三越伊勢丹の大西(前)CEOのような経営陣の「内乱」であれば、その反対派が交代のCEOを立てるが、WPPは事実上CEO不在のままだ。現在の取締役議長が暫定CEOに「スライド」し、準備不足な役員2名が共同COOとしてスライド就任している。この状況から鑑みても、CEO継承プランがないままの突然の辞任であり、まるでソレル氏が事故にでも遭遇したような、緊急対応の様相だ。

 昨年、日本の電通(前)CEO石井氏が労働環境に対する責任を取って辞任をした際には、現山本CEOという後任がすでに予定されていたことと比べても、今回のWPPの一件は異次元の状態である。現在WPP「外部の」英国系の人材がスカウトの中心として名前が上げられている。

 ソレル氏への報酬が2015年には約110億円(1.07億ドル)に達し、それに関係した非難と推測した報道もあるが、ソレル氏は、特にWPPの企業としての財務行動に関しては自分の報酬の取り決めを含め単独(個人)では動けない(監査会社や、弁護士会社、PR会社を経由した行動を取る)はずで、秘密裏に何か不祥事を起こしたとは考えにくい。

 それでも「辞任」が、「最高の手段」であるためには、辞任と引き換えに何かがチャラになる、という事だ。憶測にすぎないが、ヒントは暫定CEOが財務発表時に述べた「a matter of privacy(個人のプライバシー)」の表現だ。「ソレル氏にとっての「非常に個人的な事」なので、調査結果の公開を控える」というセリフだ。法的な不正はWPP的にもソレル氏的にもあり得なく、それ以外のイエローカードが存在したという事だろう。この続きに興味のある方は、ニューヨークの榮枝に直接聞いてもらいたい。

 いずれにしてもソレル氏は人的ネットワークも資金も潤沢に(!)保有されているので、32年前とは格段に違うエンジェル投資家としてやファンドとして再び活躍することも出来るだろうし、その方が新しいポートフォリオを作る近道と思えば個人的な道は広がるだろう。余談トリビアだがソレル氏は2005年の離婚では当時の英国史上最高額の財産分与を行い(株式売却分約67.5億円:4500万ポンド)、その後ダボス会議主催者のメディア・ディレクターと再婚し、2016年に女の子を授かっている。前妻との3人の息子はすでに40歳代前後で、全て金融業界で指揮をとる人材として自立している。ソレル氏の誕生日はバレンタインデー(2月14日)であり、本人の誇り(欧米では男性が女性に尽くす日)であるのは筆者が個人的に聞いた事がある。

■WPPが失った「ソレル・プレミアム」

 むしろ結果的に追い出した側のWPP社は、いわば「ソレル・プレミアム」を失った。この1年ほどで株価はすでに30%ダウンの傾向にあり、辞任発表後の週明けはさらに9%ほどのダウン。ところがその翌週にWPPの第1四半期の発表が予定通り開催され、ソレル氏抜きの初の財務発表会だったのだが、「予想より良かった」事で9%ダウン分を戻している。この復活発表はソレル氏が自身で発表したかった事だろう。

 今後のWPPは「ソレル・プレミアム」がなくなった割安感が継続するならば、Omnicom等の投資集団から受ける買収のリスクが高まる。あるいは利益を出している広告会社やPR会社、調査会社が単体で切り売りされる可能性もささやかれている。

 日本でも既に電通がWPP系列エージェンシーとの合弁であった「電通ワンダーマン」と「電通ヤング・アンド・ルビカム」の株を買い取って電通自社名に吸収し、完全にWPPとのネジレを精算した報道がされている。英語メディアでは逆の目線で上記の電通とのJVの「アジアの支社」をWPPが買い取った、という報道になっている。

 これも余談だが、ADKがベインと組んだ「脱WPP作戦」は「脱ソレル作戦」と言えるが、まさかWPPからソレル卿が居なくなることは想定していなかった作戦だった。ADKの施策に口出しがうるさいソレル氏が居なくなるのであれば、ADKは急いでベインと駆け落ちしてまで「WPPの持つグローバルリーチ」を手放す事も無かったのではないか、という後出しの考えが働く。

■コングロマリットが「所有」し「束ねる」価値は何か、切り売り分解した方が企業価値は高まる?

 さらに市場の分析では、WPPの現在の株価を元にしたWPPの企業価値が150億ポンド(2.2兆円)だが、現在傘下の企業や株を売れば、220億ポンド(3.3兆円)になりえるだろう、という予測がある。これはアクティビストを含む、今やコングロマリットは切り刻んだ方が資本効率はあがる、といういつもの理論が登場している。集団よりも分離した方が価値が上がるのならば、コングロマリットの形態の価値に非常に疑問が出てくる。

 この流れで具体的にWPPの傘下企業、投資株を売ればどうなるかの噂話が耐えない。WPP傘下の大きい企業での放出例が「調査・データ会社のKantar」、その次に「VICE株」「AppNexus株」等への投資解消の話がある。

 Kantarならば、例えばKantar自身がMBOを通じて独立するとか、あるいはデータ競合企業の「Nielsen」が買収するならば、35億ポンド(5,250億円)と見積もられ、WPPの現在の負債量51億ポンド(7,650億円)の 多くを返済できる。

 さらに「WPP Digital」は精鋭のテック企業の多くに投資しているがコンテンツ企業の「VICE」やアドテクの「AppNexus」の名前も上がっている。AppNexusはIPO前だが、推定20億ドル、WPPは15%保有しているので、ざっくり300億円強の価値がある。これらのエクイティー投資を合算すると帳簿上は25億ポンド(3,750億円)だが、今の株高で売れば60億ポンド(9,000億円)に相当すると言われている。すでに株式市場はリーマン・ショック直前をはるかに上回る市場価値を形成している。ソレル氏が作った価値を「売るなら今」という理論は十二分に納得できる。

 後半は、そんな株式市場の景気(株高の時に売り払う)がコングロマリットの成長と無縁では無かった話を紹介する。何と日本の89年バブルが関係している。

 ベインキャピタルによるTOBが成功するか否かまだ分からない現時点で、今回の買収劇がどう推移するか予想するのはさて置いて、そもそも3番目のADKという存在は、日本の広告業界においてどんな役割、機能を果たすべきなのかと考えてみよう。

 その時、その視点は広告主にとっていい環境とは・・・ということだ。


巨人である電通と博報堂、そして3番目のADK。

歴史を振り返れば、ベムが入社した当時の旭通信社は7番目、第一企画は5番目、その後旭通はぐんぐんランキングを上げて3位になり、第一企画を実質吸収合併して今のADKとなった。

 この2社の企業文化の違いはかなりあった。旭通は営業主導文化で、真っ向から電博に対抗できないことは重々分かっていたので、アニメやプロモーションで差別優位をつくるのに長けていたと思う。一方、第一企画は特にCMクリエイティブに力があり、テレビの扱い比率が高かった。

 合併時、ベムには「旧旭通のこの営業と旧第一企画のこのスタッフを組ませたら最強だろうな」というイメージが浮かんだように、お互いは強みを補完する合併だったと思う。
 そして、「電・博・ADK」なるワードが生まれるのだが、ベムはこれが自分を見誤る最大の要因となったと思う。同じステージに上がったと勘違いしたのだ。

 つまり、電通や博報堂と本当に対抗できる総合力がないにも関わらず、同じ土俵に踏み込んでしまったということだ。電博相手に競合プレゼンが1勝5敗では、利益が上がる訳もなく、かなり当て馬的にコンペに参加させられることも多かったろう。

 そんな中で広告業界にもデジタル化の大きな環境変化が訪れた。
それは3番目にはチャンスであったはずである。ベムは当時こんな比喩で、当時のN社長に話をしたことがある。
 「ある小学校で、プール開きの時期になり、プールの水を抜いて底の大掃除をしていた。掃除をしているのは、えらくノッポさんと、中背と、おチビちゃんの3人。ところが掃除の最中にプールに水がはられてくる。最初に気づいて早くプールサイドに上がらなくてはいけないのは誰か・・・」
この比喩には続きがあって、一番小さい奴が最初に溺れるので、一番早く行動しなくてはいけないのだが、実は一番背の高い奴が、状況が一番よく見えているので、アクションも早い」ということだった。

 新聞紙上では「ADKがネット広告に乗り遅れた」と書いてある。
しかし、乗り遅れたのではなく、明らかに経営判断を間違えた。
 2006年から始め、2008年には会社として設立したADKインタラクティブは、まさにデジタルの営業会社を目指して立ち上げた。本体が変わるのは難しいが、デジタル新会社が大きく成長すれば資本全体としては変身することができる。それが狙いだ。

 昨年、電通デジタルさんがまさに同じような考えを標榜されたと思うが、それを10年前にやっていたと思う。

 だが、2011年にADKはこれを解散し、DACの株も売ってしまう。
今年、DACの時価総額は一時ADKを超えた。今も保有していれば300億超の価値だ。財務的な価値より、やはりデジタルテクノロジーの目利きとしてのDACを傘下にし続けた方がどれだけ価値があったか分からない。

 DAC株を売却したADKは、今度は電通さんと合弁会社をつくるが、(ADDCというこの会社はネット広告のバイイング会社で電通系メディアレップのCCIさん他のリソースで成り立っていたが、そもそもデジタルをネット広告販売ビジネスとしか捉えられない時点でアウト、しかもデジタルに全く疎いADK本体の営業の下につくだけの構造を脱却できない)これも昨年から今年にかけて資本提携を解消してしまう。ただ解消するだけで、次に組む相手もいない。

 この迷走の原因、経営判断の間違いを、うやむやにしてLBOでリセットしても、再生するためにデジタル化は必然で、この間違いを犯した経営陣がそのままでデジタル化など出来るはずもない。ベインが持ち込むお買い物リストにあるデジタル企業を目利きすることもままならないだろう。(ベインは無理やり買わせるだろうし、ADKは抵抗できない。機能する会社であることを願うしかない。)


 さて、本論に戻ろう。

 日本の広告業界にとって、3番目のADKのあるべき姿は、データによるブランド横断のマーケティング支援ができる広告会社である。もうこれだと「広告会社」と言えるかどうかだが、データ分析ができたとしても実際に成果をあげるにはマーケティング施策の企画実施(エグゼキューション)が伴わないと意味がなく、その実行こそが広告代理店でしか出来ないことでもある。
 データはマーケティングの米である。しかし米は炊かないと食べられない。またしっかりした技術で調理しないと高く売れない。コメのままだと一俵1万円だが、その分をチャーハンやドリアにすれば、また高級料理に仕立てれば100倍にはなる。

「電通・博報堂をブランドAE担当エージェンシーとして競わせて、3番目にはデータドリブンな、かつブランド横断の施策支援をさせる・・・」これが広告主にとって最も良い環境だ。

 ただ、そのスキルが今の3番目にあるかが、もっとも大きな課題だ。
正直今の陣容では機能しない。人材の半分以上を入れ替えないといけないだろう。(ただ今回このスキームでは現経営陣も含めリストラは可能になった)
しかし、逆に今まで培った広告代理店のマーケティング施策(クリエイティブ、マスメディアプランニング、ストラテジックプラニング・・・などなどの)開発のスキルセットとDNAがないと、データアナリストを揃えただけでは機能しない。
 荒療治にはなるが、3番目は大改造しだいで、データドリブンなマーケティング支援が広告主企業に提供できる可能性がある。

 広告主から見て、3番目はどうあって欲しいか、もしTOBがうまく行ったとしてADKの再生の鍵がここにある。

このネタで、業界人間ベムとしては、(ベムは82年の旧旭通信社の新卒である。DACを起案設立し、ADKのデジタルを率いて、いちおうADKの執行役員も務めた。)たくさんの方々から所見を求められた。何も発言しないのもなんなので・・・、おまたせしました。

このブログ・エントリーは、ADK社員を含む全ての読者に向けて、特に自分の未来を10年20年作っていく若手に向けてのベムからの気持ちだ。すでに私の所には個別に解説打診の連絡が沢山届いているが、ベイン社のスキームやADKの次のゴールがどこにあるのかは、この機会に自分で調べ、考えた方が良い。

ADKが現在上場している会社の恩恵として、公にリリースとして発表されている。これらの文章に関しては一度全部読んでおくのが筋だろう。マスコミ・大手メディアの報道だけを読んで現状を把握しているつもりなら論外だ。君たちの1番の収穫は、きっかけはどうであれ、このような資本政策や事業の未来について考えるチャンスを身近に頂いたと言うことだ。

そしてあなたがADKの社員だとして、自分で調べたのなら、社内の人同士で審議するのではなく、外部の人に自分の仮説を聞いてもらい検証してみると良い。同じ船に乗っている人同士の話やADKの役員からの話では、船が浮いているのか沈んでいるのか、はたまた沈められようとしているのかの判断ができない。今回の件の「賛否」はベムには予想があるが、検証を求める若手の相談には個別で乗っている。

・どうしてTOB策に踏み切ったかのADKの意見表明

https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/431288c69c7ab0ef4535c81bb3ee3a6c.pdf

2016年2月から11月まで、WPPとは交渉会議を持っていたが結論に至らず。今年2月~8月までWPP抜きでTOB策を練り、9月下旬にベインを買い付けパートナーとする事を決意し、10月2日の役員会で強行突破した。WPPから役員で送られているStuart Neish 氏は、決議に反対。

・WPPとの資本提携解消のお知らせ

https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/26076683b3a44626cdf24aeb15e21a9c1.pdf

ADKが保有するWPP株の簿価が223億円で、このWPP株の9月29日現在の市場価格が約654億円、税引き後の利益は完了時の計算になるが、この20年でざっくり数百億円は「儲かった」勘定=これは本業の利益並。(これに対してWPPが持つADK株価はほぼ横ばい。)

・もうWPPには1円も配当出さないぞ、の表明

https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/a0eb331a418c2d64040cbb6972d7881b.pdf

2012年は特別配当141円、2014年に特別配当526円、純利益以上の配当を絞られていた。

・植野社長の信任状況、反対が4割(今年3月29日の総会結果)
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/03/8023935ed2b0fe97cbb675fbc364fde2.pdf

WPPを含め外国人株主から、賛同されていない状況がよく分かる。

・最初の1株目の公開買付けがN取締役(TOB案件実行の主導者) Page 5

https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/53c61f446dd732f2af88a9b99788c37d.pdf


■TOBのスキームに関して:
日経等の報道を読んだだけではピンと来ないのではないだろうか。マスコミの報道は基本的にはベインやADK側の発表をベースにコピペしているだけなので、称える側のコメントが多く真の意図までは解説できていない。ブログで専門的に解説してくれているサイトや海外のBloombergなどの分析もあるので、そのような外部の意見を自分で聞く良い機会だ。

今回のスキームを平たく例えれば「中年のADKがWPPと離婚・出家したいためにベインというLBOファンドの荒手とTOBという手で駆け落ちをした、家出みたいなもの」だ。ADKとしては「もうこの年になって、離婚・家出となると、こうするしか他に方法がなかった」という選択だろう。

ベインはADKの幸せを願う存在というより、この出獄を手助けする事で商売としている。現在話題の東芝メモリーの日韓チームを作っている主導がベインであるのは報道でもおなじみ。ベインは2兆円の巨大ディールで相当「忙しい」はずの時期に、ADKのような小口をよく相手している時間があるものだ。それ程「おいしい」ディールとタイミングである事も伺える。

TOBはベイン(が作ったペーパーカンパニー)が市場の株をTOB価格で買い戻しする事で始まる。価格はすでにTOB提示の3660円を上回り3800円台になっているが、その買い戻す資金は、東京三菱UFJ(ら)から有利子負債として借りて、ADKを子会社化する。

ADKが非上場になった後は買収した会社(ADK)をベインが設立したペーパーカンパニーと合併させる。つまり、有利子負債を手配するのはベインだけれど、買収完了後はADKのバランスシートに押し付ける形。

ADKの企業価値が1500億円の会社だったとして(TOB価格がいやらしい程に低かった。徐々に上げる気配)、ベインが3割程の出資だと仮定して(東芝メモリの2兆円の場合は1割程度しか自腹出費していない)、残りのざっくり数百億円~1000億円くらいの有利子負債を積み上げて株を買い戻す。ADKはWPP株を放出し、他の持ち合い株を放出売って、かなり現金にはなるけれど、それでも自らの株式を買うために支払った「のれん」=「プレミアム」を乗せて買い戻しを行うので、負債額はかなり重い金額に膨らむはずだ。

ポイントはこの有利子負債を負担する(返済する)のが、現在・未来のADK社員の仕事(未来のキャッシュフローの行方)である事だ。ADKは「買収されるため」に作られた負債を、自らがせっせと返済する。一方のベインはおそらく数百億円の自腹は再上場で取り戻し、さらにADKの多くの株式を握る(さらに売って儲けられる)し、配当がある、という構造だと考える。

現在のADKが本業で営業利益が(減価償却を差し戻したEBITDAが良いが)どれくらい年間作れるかといえば、55億円(2016年)。今年はさらに上昇かどうかは、まだ不明。では、いったい積み上げる負債は稼ぎの何年分なのだ?と横で比較してみると良い。あのソフトバンクでもARM買収後でさえ4倍(EBITDA対有利子負債の比率)だ。まあ「利子払は増えるけれど、搾り取られていた年末配当が無くなるからいいじゃん、」という考えにでもすり替えて説明するのだろう。

ADKの株式をすべて握るベインの「お仕事」は、この非上場会社を「なる早(大急ぎ)」で再上場させて、上場益で稼ぐ事が彼らの事業だ。広告事業は景気に左右されるので、オリンピックに向けた上り坂さえあれば、自動的に再上場が狙える。(景気の腰が折れると負債が重くのしかかる)

ADKはこれまで「自社で実行したかったシロウト投資」に関してのアダコダを「プロのWPP」から言われなくなっても、ベインからアダコダ言われるのは同じであり、今度はスピードも要求される(ありがたい事に)。上場後はたっぷりとベインが株式を握る事になる。再上場に向けて、何やら株式のオコボレがあるのでは、と期待する不勉強な社員は残念ながらベインの負債返却のための労働者となる。

■今後のTOBの着地点は:
東洋経済には「買い付け予定数の下限は50.1%としているため、WPPが応じなくてもTOBは成立する。」なんて書いてあるけれど、「チームWPP」である「外国人株主」は6割(61.88%、2017年中期発表)存在する。彼らはWPPあってのADK投資なので、リーダーのWPPの言い分側に付く。

とはいえスキームそのものは、ADKが心中を覚悟でベインと連れ添ったのだから、好きなもの同士であるし、WPPも長年伸び悩んだADK株が4000円近くで売れるならヨシとする面もあり、さらに貸付側の銀行を含めて、資金の流れだけ見ればWIN・WIN・WIN・WINの構造は見える。問題は「早いこと」再上場をする時のADKの事業体制とそのセンスにある。

■今後の体制:
ADKのリリースによれば、今後の事業柱をありきたりに2本立てており、
1.テクノロジーに強みをもつ企業との連携によるデジタル・マーケティング、統合的マーケティング・サービスを実現

2.デジタル&データ領域や、中国・タイ・インドネシアなどのアジアを中心とした地域における事業業の再構築。コンテンツビジネスにおいて、事業拡大

と表面上のセリフを掲げている。

1つ目の柱はWPPからの束縛から解放されて、経営の自由度を高めて、今後デジタルやテックに投資していくつもり。しかし今回のディールを決めたADK取締役を見れば、その中にデジタルのデの字も、テックのテの字も一言も見当たらない経歴の人ばかりで、さらに執行役員のグループも同様だ。

このブログを読む君たちの未来を創るリーダーがこのようなチームで良いのかどうかは考えればすぐにわかること。ベインでさえもその事は気づいているだろう。おそらく案件ベースで外部の取締役が入ってくるのは間違いない。

2つ目の柱も同様だ、(日本でも市場専有はほんの5%程の存在だが)欧米では歯がたたないので、アジアへ、という図式だ。電通や博報堂を手本とする必要もないが、先行する電・博の取った道順は身近な参考になる。

例えば電通は米国出身の取締役専務執行役が英イージスの買収を決め、そのイージスCEOが執行役員として就任し、そのチームが米マークルの買収を決めてマークルCEOはCRMデータ業界の目利きとなっている。電通のレベニュー(粗利)は国内よりも大きくなったが、これらを取り仕切るのは「東京で就活入社した電通マン」ではない、米国、英国のプロ精鋭だ。ADKはシンガポールにFCB出身の「旧来クリエイティブのオフィサー」を立てたが、アジアを知る「経営とデジタルのプロ」が必要になってくる。

デジタルにせよ、海外にせよ圧倒的に不足する執行レベルの「その道のプロ」が今後入れ替えられて、仮にADKに入ったとして、さて、そこから一人相撲をどうするかだ。

今後は「WPPグループの」ADKという枕詞は使えなくなる。日本で5%市場サイズのちびっ子ADKでも、なんとなく海外でのプレゼンスが保てたのは圧倒的に「良家」であるWPP傘下に属していたからである。「ベインの子供のADKです」ではマーケティングビジネス上は無名であるのと、知られたとしても「経営があまりよろしくありませんでした」と宣言するようなもの。

———
ベムが入社した旧・旭通信社は、87年に東証二部に広告会社として初めて上場し、90年に一部上場を果たした。(若手の人は、この頃に「産まれました」の世代かもだ)電通の上場はこの10年後である。

ADKがWPPとの資本提携(=つまり、外資に自社株を売る、という当時としてはスーパー経営手法)を行ったのが98年、そこから20年目に非上場への道へと進めるADK。

今のままで立ち止まらないぞというADKの姿勢は評価したいが、キャスティング・ボートを持っている組織や人物がどこの誰で、そのインテンションが何かを考えれば、次なるドミノ倒しは自然に読める。資本構成をいじる事による「儲け」が、本業の業績が低迷な企業程儲かりやすいと、この景気状況が教えてくれたのだろう。若手の自分の未来の熟考を期待したい。

ご逝去された旭通信社創業者稲垣正夫氏のグローバル戦略について、デジタルインテリジェンスNY榮枝からの特別寄稿です。

4月17日に旭通信社(現アサツーディケイ、ADK)の創業者、稲垣正夫氏の訃報がニューヨークにも届いた。この場を借りて、MAD MANでしか披露できない稲垣氏のグローバル化への志を米国から届けてみたい。

56年 稲垣正夫現会長らが旭通信社を設立
73年 業界ベストテン入り
84年 旭通信社が米BBDOインターナショナル社と資本・業務提携
87年 旭通信社が東証二部に上場
90年 旭通信社が東証一部に上場
91年 旭通信社が中国の新華通信社と提携
96年 博報堂らとデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)設立
97年 業界第3位に
98年 旭通信社が英WPPグループと資本・業務提携
99年 旭通信社と第一企画が合併、アサツーディ・ケイに (以降略)

◆「その土地の砂になれ」
これが稲垣氏の海外に派遣する人材に対する言葉であった。地理的営業拠点の拡大=海外戦略だった70年―80年代当時、「その土地の風習システムに馴染まずして、文化である広告の営業はできない」という理由で、法人設立を任された人材は「長期コミット」が抜擢条件であった。

中国語の堪能であった稲垣氏は中国にロマンをいだき、その土地、文化を尊重する事を重んじていた。だからこそ達成できた政府お膝元である北京の新華社通信との提携が91年。単独出資が難しかった当時の中国において、合弁法人拠点数を急拡大させた。そして地元ローカルのリーダーを尊重し、リーダーとして育てる手腕は「誰も真似できない」個性として着々と拠点を伸ばしていたことは、他社の目からも明らかだろう。

長期ビジョンでの人的配分は「稲垣手法」の一角であり、このMAD MANの筆者である私も95年―2000年まで中国・香港、そして01年から12年まで米国ニューヨークでのADK経営に関わる事ができた。しかし稲垣氏のグローバル施策を振り返ると、特筆される(凄かった)キードライバーは、中国への思いよりも84年のBBDOとの「株式持ち合い」を決めたビジョンであった。この時62歳。

◆外資に企業価値を売る、資本を受け入れる
84年当時、既に電通がヤング・アンド・ルビカム、博報堂がマッキャン・エリクソンという「王者同士」の合弁は誕生していたが、日本で10位そこそこの代理店の代表としてマンハッタンに乗り込み、ペプシやアップルを担当していたBBDOとの「提携」ではなく「資本の出し入れ」を決めたのだ。若気の至りではない、62歳にしてのグローバル市場での「自社(株)売り」の術だ。ちなみにこの84年は、現WPPのCEOマーチン・ソレル氏がWPPを立ち上げる(買収する)1年前で、サーチ&サーチ社のファイナンシャル・ディレクターを務めていた時だ。何と稲垣氏はBBDOとのディールが完了するまでマーチン・ソレル氏とも資本提携の話をしていた、とインタビュー記事が残っている(当時稲垣氏62歳対ソレル氏39歳!)。旭通信社がBBDOとの提携継続から解消までの14年間に、稲垣氏はWPPマーチン・ソレル氏と継続的なコンタクトを持っていた上で、満を持して98年のWPPとの資本提携へのスイッチだったのだ。振り返ってみると、

84年 BBDOへの出資、持ち合い
90年 広告会社としての初の一部上場
96年 国内同業とのDAC上場
98年 WPPとの資本提携

これら全て「(大)資本」に関わる投資決断であり、今で言うアントレプレナーシップである「全員経営」を掲げる稲垣氏らしい経営奇跡だったと思える。現にADKは日本発の広告会社、マーケティング会社において、海外で利益を出している数少ない1社となっている。

◆単なる投資ビジネス理論ではない、その上位の考え
強調したいのは、資本政策の先人である稲垣氏だが西洋的な営利を求める資本政策ではない、東洋思想に基づく「和」をもたらす関係づくりを唱えていた事だ。利潤を追い求める西洋的マーチンソレル卿に対抗できるのは稲垣氏(1990年に藍綬褒章、1997年に勲三等瑞宝章を受章)だけだと思ったが、今やグーグルを筆頭としたグローバルでマーケティング世界において、思想的なビジネスの和を世界に唱えるアドマン・マーケターは知る限り居ない。

故・稲垣氏が著者に常々言っていた言葉は「植福」(人の中に福を木のように植えて育てる)だった。MAD MAN筆者もグローバルビジネス実現を望む次の日本生まれの広告・マーケティング、アドテク企業を、支援したいと思う。

旭通信社(現アサツーディケイ)の創業者の稲垣正夫氏がお亡くなりになった。僕のビジネスマン人生に最も影響を与えた方である。本当にひとつの時代が終わったんだなと思う。

 新卒でアサツーに入った僕は稲垣社長の半径7~8mのところに席があって(稲垣さんは社長室があるにも関わらず社員と同じ大部屋に平社員と同じデスクを置いていた。)ふたりでの会話も多かった。
 入社当時のアサツーは隔週で土曜日が出勤日で、ウィークデーは出先に行きっぱなしの僕は土曜日しか伝票を切って受注簿をつける時間がなかったので、土曜日でもよく暗くなるまでデスクワークをしていた。すると稲垣社長がトントンと僕の肩と叩いて「横山さん、そろそろ帰りましょう。」と言われる。(当時、稲垣社長は新卒の平社員も「さん」づけで、社員が7~800人になっても顔と名前を全員記憶していた。)もうオフィスには僕と稲垣さんしかいなかった。そう言われれば、急いで片付けて電灯を消してオフィスに鍵をかけていっしょに社屋を出るのだが、当然稲垣さんには社長車(デボネア)が待っていて、「横山さん乗ってきなさい。」とおっしゃる。一番最初は「断るのももしかしたら失礼かも」と乗ってしまったが、僕の上長たちに関していろいろ取材が入るので困った。それ以降はなんだかんだ言って同乗は丁寧にお断りした覚えがある。w

 その後も平社員でも気軽に声をかけてくださる稲垣さんをみんな敬愛の気持ちを込めて社員の間では「社長」ではなく、「稲垣さん」と呼んでいた。

 僕は稲垣さんに直談判したことが3回ある。1回目は同期のカミさんと結婚する時。当時もうアサツーは上場していたのに、社員同士の結婚では女性は辞めろということになっていて「じゃあ、僕が辞めます」と言ったら怒られるし、「それはおかしくないですか?」と食い下がったことがある。


 2回目はDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム)を起案した時。デジタルガレージ社には「僕は稲垣会長を説得してくるから、君らは博報堂さんに行って一緒にやってくれるように頼んでくれ」と言って、稲垣さんと2人でお話した。今、朝日広告社さんのオフィスになっているビルの13Fの役員応接室だ。
 「博報堂さんと一緒にインターネット広告の会社をつくりたい」と言うと、稲垣さんは「2週間ほど前に博報堂の近藤会長と会食したんですよ。」と言う。「横山さん、私はその時に近藤さんに『アサツーを一企さんと合併させて、それを博報堂さんと一緒になってもらって電通さんに対抗する勢力をつくりましょう。』とお話したんですよ。」と言う。「げっ、そんな話オレみたいな小僧にしちゃうんだ。」と思って焦った。「まあそう簡単な話でもないんですが、まずは今までのように何でも競合会社ということではなくて、『協業できることが何かあればやっていきましょう。』とお話したんです。」「でも協業の材料がなにもなかったので、このお話はいいお話ですね。」と。まあそういう絶妙なタイミングでお話したことでDACは出来た。
 ちなみにこの時アキアというパソコンにインターネット広告の表示イメージをつくって稲垣さんに見せると「横山さん、これはミニコミですね。」とおっしゃった。この「ミニコミですね。」というフレーズも僕は一生忘れない。w


 3回目の直談判は、「DACを上場させたい」という話をしに行った時だ。
稲垣さんは「面白いじゃないですか。どんどんやりなさい。」と言ってくれた。そこで稲垣さんにお願いしたのが僕のパートナーをその気にさせるということで、1週間後に2人連れ立っていくと、稲垣さんはどうやってアサツーをつくり、どういう気概で仕事と会社経営に臨み、どういう目的と心持ちをもって広告会社で初めての上場を果たすに至るのかという話を1時間半くらい蕩蕩としてくれた。この時のお話は今も僕の財産だ。(日経で稲垣正夫版「私の履歴書」が読みたかった。)

 アサツーもDACもADKインタラクティブも、そして今も、僕のビジネスマンとしてのストーリーに必ず登場する最も影響力のあった「広告業界最後のカリスマ」が亡くなった。
 
 「稲垣さん、起案して持って行ったいろんな話をやらせていただいて、本当にありがとうございました。今の私があるのは稲垣さんのおかげです。」

 合掌。(涙)

 ベムは82年の4月に新卒で旭通信社(現ADK)という広告代理店に入社した。
入社式のことは案外憶えている。当時の稲垣社長の訓示のくだりと、同期で一番歳を喰ってたやつの答辞だ。
 
 稲垣社長の訓示の中でよく憶えているのは、「清濁併せ呑む」というフレーズで、「えっ?広告代理店ってそんなに「濁」れ仕事があるんだ。」と思ったものだ。まあ入ってやってみると、それほどでもなかったが・・・。
同期の答辞は「広告業界の原、石毛となるべく頑張ります。」というやつで、時代を感じて今思い出すとちょっと笑える。(若い方には分からないかもしれないのだが、巨人の原監督と同世代。)
「笑っていいとも」が32年続いた番組を終了するが(番組開始は82年10月)、ほぼ同時期に社会に入った時にスタートした番組が終わるのも灌漑深い。(もっともこの番組、僕はほとんど観ることはないんだが・・・。)モンティパイソンのコーナーでの「4か国親善マージャン」以来のタモリファンとしてはとりあえず「タモリ倶楽部」さえ続いてくれればいい。

「原、石毛」はともかく、「広告業界」という言葉が、まだまだ明確な時代だったなと当時を思い出して感じる。
 今は、そしてこれからはもっとこの「業界」の「界」の部分が明確にならなくなる。「業際」という言葉があるが、この「際」についてよく考えてみることが大事になっていると思う。「業際」というフレーズを強調してくれたのは、僕のNYにいるパートナーだが、きっと米国でのエージェンシーランキングにランキングされるプレイヤーがトラディショナルなエージェンシー以外がほとんどである現実を体感しているからだろう。

アドエイジ誌の米国エージェンシーランキングで、僕らが良く知っているマッキャン・エリクソン、J・ウォルター・トンプソン、ヤング&ルビカム、レオ・バーネット、オグルビー、BBDO、サーチ&サーチなんていうエージェンシーが、どのあたりがご存じだろうか。
 米国内のランキングだと、BBDOが3位、レオ・バーネットが5位、マッキャンが7位、ヤング&ルビカムが13位、トンプソンが16位、オグルビーやサーチ&サーチは20位内に入ってこない。
そして、1位Epsilon、2位Acxiom、4位SapientNitro、6位DraftFCB、8位Rapp、9位DigitasLBiとデジタル系が並ぶ。

馴染みのない社名が上位を並んでいるエージェンシーランキングを見ると、(17位はIBM interactive)業界と業界の「際」から新たな価値が生まれているのが分かる。

いわゆる業界内での連携ではなく、別の業界とのオーバーラップする領域「業際」に価値を創ることを意識して、シェイクハンドする相手を選んだ方がよい。

今年も恒例の業界予測です。

その1)ネット広告の効果指標に「認知、態度変容」が大きく浮上する年
     ~ネット動画広告の需要活発に・・・インベントリー開発が急がれる~


長くネット広告の効果指標はクリックであった。CPCやCPAが効果指標である。もちろんビュースルーによるコンバージョンへの寄与も測る時代になったとはいえ、リスティングのキーワード別の入札価格データを管理して、アトリビューション分析によりネット広告のリ・アロケーションをしている企業はまだまだ少ない。

それでも、ネット上にビジネスのゴールがある場合はいいが、リアルな販売チャネルが主力のブランドにとって、ネット広告の活用の効果指標を何にするのか、おおきな課題ではあった。
 その課題に、ネット広告による「認知・態度変容」の効果を、トラッキング調査をかけて調べることが定番化する流れを決定づける年になるだろう。
 そしておそらく今まで指標にしてきたクリックレートが、ほとんど効果と相関しないことが分かるだろう。

 私は14年前に「最新ネット広告ソリューション」という日本で初めてのネット広告に関する書籍を書いたが、その中ではクリック率は広告認知にも相関する指標であるとした。ネット黎明期のユーザー行動では、そう言えたかもしれないが、広告フォーマットも様々な今ではどうもクリックと認知・態度変容が相関するとは言い難い。
 

 ネット動画広告をTVと同じ指標で捉えると同時に、配分モデルをつくる。これが特にTVを大量に使うブランドにとって、効率的に認知をとるために、または認知をより購買行動に繋ぐ手立てのために検討されるだろう。

 米国では、ネット動画をTVと同じ効果指標で捉えているばかりか、その買い付け方もTVCM在庫と同じアップフロント(先付け)で行われ始めた。掲載面はプレミアムな枠を買うが、配信はオーディエンスごとになる。勿論日本が同じ状況という訳ではない。しかし、m1層などを中心にTV訴求が到達しにくいターゲットへの接触と、ネット動画広告で獲れる認知の購買行動への寄与を検証してみると、ネット広告のROIが高く評価される可能性もある。

 ネット動画広告に関しては、過去には何度も「今年は来る」と狼少年のように叫ばれてきたが、その効果を認知・態度変容とすることで、その評価は従来と違うだろう。
 多くのブランド認知を求める広告主がネット動画にシフトするが、インベントリーが少ない状況は否めない。優良メディアでありながら、クリックベースでしか評価されないが故にCPMが上がらず、大量のPVを有するサイトに圧倒されてきたメディアには、動画インベントリーを開発して広告収入を拡大するチャンスである。

 またテレビ局もコンテンツを動画DSPマーケットに出して収入拡大を狙う機会となるだろう。リアルタイム視聴が少なくなる中、1円にもならない録画視聴率を誇ってみても意味がない。動画コンテンツの供給が待たれる。

その2)データエクスチェンジが試される年
   
ビッグデータ、データサイエンティスト、DMPといったバズワードが踊った2013年だったが、2014年はトップランナーのDMP装備が完了し始める。と同時に、成果を出すべく本格的に「分析」が試されるだろう。
そうした中にあって、企業の1stPartyデータとメディアのいわゆる2ndPartyデータ、購買行動データなどの3rdPartyデータ、そして企業間で1stPartyデータ同志をエクスチェンジが初めて本格的に試されることになるだろう。とはいえまだまだエクスチェンジのための環境整備が出来ていない。相対(あいたい)で取引きされるところから始まる。
また有力なメディアがDMPを導入し、広告主にとって価値のある広告商品開発にも取り組むだろう。その場合、まずは特定の有力クライアントとの取組が優先される。

こうした流れの中で、オリジナルなオーディエンスデータを所有しない広告代理店の存在感が希薄になる怖れがある。エクスチェンジ市場はあくまでトレードオフが原則である。「場」に自分の持っている有用なデータを出して初めて参加できる。メディアと広告主企業が直接交換することが想定できる。代理店はデータマーケティングにどういう関与ができるかまさに経営課題になるだろう。ただまずはそういう状況を認識できなければ何も始まらないが・・・。

その3)ネイティブ広告とその配信プラットフォームが注目される年

 そもそも「ネイティブ広告とは」としっかり認識しないといけないが(参考のためご覧になるとよい。)・・・。

http://markezine.jp/article/detail/18231
 
 P&Gなどが米国で活用している「アウトブレイン」などの日本上陸も報道されているが、
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmgp/20131209/256883/
こうした仕組みを提供するプレイヤーが登場すると思われる。

 「ネイティブ広告」が認識され、注目を集めると同時に、こうした配信プラットフォームの活用法についても話題になることが多くなるだろう。活用するには企画力も必要だ。パフォーマンスの良いネイティブ広告を開発できる広告主は、顧客洞察や適切なコミュニケーション開発の「手練れ」と言える。
 


その4)アマゾンデータがリアルチャネル購買データ供給を刺激する年

  そんなに本格化しているようには見えないかもしれないが、アマゾンの購買データをマーケティング活用する企業が急激に増えるだろう。リアル店舗のPOSデータだけでなく、アマゾンでのセールスデータを目的変数として、重回帰分析によるメディアアロケーションを行う企業も現れる。メーカーもアマゾンデータによる商品開発に乗り出すなど、こうした動きが、リアルな店舗網をもつ流通企業を刺激すると思う。消費者の購買行動データを提供することに慎重な各社も、メーカーとeコマース企業のデータ連携を指を銜えて観ている訳にはいかなくなる。
これをきっかけとして、購買データ系の3rdPartyデータの流通が再来年以降に本格化するだろう。その発端をアマゾンがつくると見ている。
 
いずれにしても、保有するデータにおいて、グーグル、アマゾン、ヤフーの3社の優位は大きい。楽天がここ何年間参入を目指すも最後は各店舗保護によって踏み切れない間に、アマゾンに大きな水をあけられるだろう。
企業が欲しい3rdPartyデータは基本、購買行動系、ソーシャルメディア系、TV視聴データ系の3つである。リアル購買データのTポイントそしてBluekaiも日本参入を果たして、データ供給合戦にはなるのは必至。
 とはいえこれを活用して成果を出す企業には、自社のビジネスロジックを熟知し、分析官に、仮説と分析法を指示できるだけの知見を有する人材が必要だ。
 私は時々、これをジャック・バイアーとクロエ・オブライエンに例える。いかにクロエが優秀な分析官でも、ジャック・バイアーの指示がなければ成果は出せない。


その5)PDCAに耐えるネット動画広告クリエイティブ開発が芽吹く年

  従来日本のネット広告代理店が行っているクリエイティブとは「クリエイティブ」ではない。有り物の素材を借りてきて、レイアウトしているに過ぎない。原稿素材はつくっているが、クリエイティブしていないものだ。これを私は「クリエイティブ・アダプテーション」と呼んで、本質的なクリエイティブとは異質なものと考えている。
 
 ネット動画広告も長年「今年は来る、来る」と狼少年状態だった。その大きな理由のひとつは、こうしたものは「広告フォーマット」そのものに効果を依存するのではなく、その「広告フォーマット」の特性を生かした独自のクリエイティブが開発されなかったことだ。
 前述したように、効果指標に「認知・態度変容」が中心になってくると、クリエイティブに手を掛けることで、その効果に大きな違いが生じる。当然なのだが、最適化の最大の変数はクリエイティブである。
 
 ネット動画広告独自のクリエイティブをつくる広告主が、今年は一挙に増えるだろう。
プレロールにしても、最初の5秒でスキップされないように、また逆に5秒で達成するようにしたり、とにかくTVCMとは別の素材づくりに対する効果を期待する広告主が出てくる。
 その期待に対応すべく「インタラクティブ動画」など従来のバナーづくりとは一線を画したリッチなクリエイティブ開発スキルを標榜するプレイヤーも登場するだろう。
 こうしたプレイヤーとは、動画広告の視聴データ、認知・態度変容データでPDCA、つまりクリエイティブの改善作業を当然のように行うクリエーターたちということになる。
 それも、キャンペーン期間前から期間中にリアルタイムに効果データを計測して、PDCAを廻さなければ意味がない。改善を高速で行う文化、習慣を動画広告にも持ち込めるか、そのあたりが試金石となるだろう。


 TVCMでは認知はそれなりに取れる。しかし今の課題はTVCMで取る認知だけでは購買行動を促進しづらいことだ。パーチェスファネルの第二段階であるレリバンシー(つまり、このブランドは自分に関係するものだと認識すること=自分事化)の獲得をネット動画が担うかもしれない。特にブランドに複数のターゲットが設定されていて、それぞれに文脈の異なるメッセージがあるのであれば、ターゲティング配信できるネット動画でクリエイティブを差し替えてTVCMでは訴求できないところまでをコミュニケーションすることが有効であると考えられる。

 私は、そのうちTVCMは、DMPから顧客のインサイト(反応する文脈)を発見して、メッセージを開発し、ネット動画広告クリエイティブを配信した上で、TVCMをつくるというプロセスがあっていいと思う。

 


その6)プライベートDSPが本格始動する年

  DMPにプライベートDMPと呼ばれる仕組みがあることはご存じの方も多いだろう。このプライベートDMPを保有することになると、ここでセグメントしたターゲットに対して広告配信をかけて、その結果のパフォーマンスデータをDMPにフィードバックするには、必然的にプライベートDSPが必要となる。
 効果を得る変数は、もちろんオーディエンス(つまりクッキー)だけではない。掲載面は非常に重要な変数であり、配信タイミング、適正フリークエンシ―など、そして最も大きな変数である「クリエイティブ」を最適化しなければ意味がない。
 
 (入札運用型はオーディエンスを最適化するだけというような間違った見解も耳にするが決してそうではない。)

 こうした配信結果をDMPにフィードバックして、「リザルトラーニング」を行うには、DSP事業者のそれをただ単に使って配信するだけでは成立しない。掲載面の管理を含めたプライベートDSPが要る。
 ブランドを毀損しない、というよりブランド認知のためにより効果的な配信を行うには、当然最適な掲載面が必要であり、そのブランドにとっての最適な掲載面ネットワーク、つまりプライベートエクスチェンジが必要となる。
 
 米国のグローバル企業のように、プライベートDMPによるプライベートDSP運用をインハウスで行う日本企業はまだないが、どこまでをインハウスと呼ぶかは別にして、特定の広告主企業のためのDSPが試される。

 一方で、SSPも新たな局面を迎える年になるだろう。DMPを導入するメディア企業も増えると、広告商品開発をオーディエンスベースで行う流れができる。プレミアムな枠ものを含めてメディアの広告収入の最大化のために機能する本格的なSSPが参入してくるだろう。


その7)広告業界に起きる大変革と新たな外資参入の兆しの年

   実質的に、「電・博・ADK」という言葉は終わっている。電通はイージスの統合で、グローバル・メガ・エージェンシーとなった。一方、ADKには勢いがなくなっている。デジタル領域の成長が電博に比べて低く、総合力の差はさらに拡がってしまった感は否めない。博報堂から見ると、追いかけてくる会社が見当たらない。しかし電通も実ははるかかなた先に行ってしまった。3社はそれぞれ、同じレイヤーにはいない。電通にとってサービスをグローバル標準にすることが課題だ。国内対応での個々の勝ち負けにいちいち構うこともないほどだ。日本資本の企業のマーケティングにおけるグローバル化を進めるだろう。博報堂は国内では真っ向電通と勝負しているように見えるが、アジアに行けばADKの方が存在感があるくらいだ。偉大なる2位にはこの状況は「何も問題なく感じる」かもしれない。

 電通イージスのこのページを見ると、本当に国際化している。もしかすると、次の社長は日本人ではないのではないかと思うくらいだ。
http://www.dentsuaegisnetwork.com/en/teams/


 電通が日本独自の広告ビジネスモデルを堅持している間は、メガエージェンシーとはいえ、極めて大きな参入障壁があって市場を形成できなかった。基本的に今もそうである。
 しかし、電通のグローバルメガエージェンシー化は、日本市場も電通が敢えてグローバル化することにもなる。(もちろん日本の牙城も堅持するだろうが)この変化に、デジタル時代のデータマーケティングへのパラダイムシフトがあいまって、日本の市場にもついに大きな変革をもたらすことになるだろう。

 そもそも「グローバル」というテーマは、「デジタル」と表裏一体だ。デジタルを標榜する上において、「共通プラットフォーム」を管理する事から得られる効率性と、「データのスケール化」を目指す事でのパフォーマンス向上は、そのまま「地理的マーケットの拡大」、いや「地球全体をマーケットとする」事を目指す動機に直結する。


データマーケティングの時代に突入し、かつ入札モデルのバイイングがシェアを拡大するなか、従来の企画力と広告枠保有力の勝負だけではなく、新たなマーケティングの通貨としてのオーディエンスデータをいかに保有するかがテーマとなるだろう。またワンストップ型の顧客インターフェイスだけでは対応しづらい専門性の高い領域が拡がっている。総合力を標榜し、ワンストップ型を維持するか、専門性の高いエキスパート集団を集めるビスポーク型を目指すかの転機となる年だ。

そしてコンサルファームやSIerの領域からもせめぎ合うマーケティングコミュニケーション産業の様相を呈する環境で、外資メガエージェンシーもこれを日本市場再攻略のチャンスと見なすだろう。
 
 今年、日本市場に導入してくるであろう外資トレーディングデスクなどはそう簡単には成功しないと思うが、日本にないサービス(データマーケティングの高いコンサルスキルと独自かつ有効なオーディエンスデータ)を提供できれば、ポジションを獲得する可能性もある。

 この環境に、SIerコンサル系からアプローチしてくるテクノロジーエージェンシーも登場すると思われる。

 マーケティングテクノロジー提供プレイヤーを、従来エージェンシーが囲い込むのか、テクノロジープレイヤーが従来エージェンシーを取り込むのか・・・。


 2020年までにはほとんど決着するだろう大きな業界再編の兆候が見える年となるだろう。

11月の上旬は日本からの訪問者で大忙しのデジタルインテリジェンスNY代表榮枝からのレポート


デロイトコンサルティングが、シアトルの50人規模の
デジタルエージェンシーを買収した記事がアドエイジで取り上げられた。
http://adage.com/article/agency-news/deloitte-digital-acquires-digital-agency-banyan-branch/244848/

エージェンシーから見た、「コンサル脅威論」は
出ては収まり、出ては収まりしつつも、
長期的には着実に成長している。

リンクの記事では、デロイトコンサルティングはAdage集計データで
「USデジタル(扱い)エージェンシー・ランキング」で24位と
紹介されている。粗利110億円(1ドル=100円)2012年

この大きさは、、デジタル売上総利益では
AKQA(22)の直ぐ下、JWT(25)、VML(26)、Possible(35)(以上WPP)より上、
というランク。

ワールドワイドのランキングに置き換えると
東急エージェンシー(36位)と、ほぼ同じ(38位)だ。

アクセンチュアも
アクセンチュア・インタラクティブとして、
イギリスのFJORDというエージェンシーを買収して。
P&G、BMW等の担当扱いを取っている。
今年5月のAdage記事
http://adage.com/article/agency-news/agencies-accenture-s-invading-turf-big-time/241338/

コンサルの王道、IBMインタラクティブにおいては、グローバル13位、
これはADK(16)より、差をつけて上だ。

コンサルタントの方が、どうも風上にあるようで、
コンサル会社が風下のデジタルエージェンシーを吸収する、
という形での侵食が見受けられるが、
逆にエージェンシー側が「コンサルタント」領域に入るケースは
見受けられない。

WPPがFabricというコンサル系ユニットを立ち上げたり、
PublicisがRazorfishにその役目を期待したり、の
風のうわさ程度が現状だ。

「クリエイティブがマーケティングのドライバー。
データはそのインフラに過ぎない」という理論は、納得できる。

ところが(経営)データは、やはり「データ・ドリブン」な企業が
結局上位に伸びているのを示しているように思える。

エージェンシー経営には、コンサルティング会社同様、
「データに対する、経営センス」は避けられない。

少しばかり話題にするのが遅れたが、昨年のエージェンシーランキングをアドエイジ誌が発表している。
 トップ20位までを抽出すると、(見にくい表で申し訳ない。一番右の数字が前年比伸長率%なので、ここを見てください。)

AGENCY HEADQUARTER 2012 2011 %CHG
1 WPP London 16,459 16,053 2.5
2 Omnicom Group New York 14,219 13,875 2.5
3 Publicis Groupe Paris 8,494 8,086 5
4 Interpublic Group New York 6,956 7,015 -0.8
5 Dentsu inc, Tokyo 6,390 5,951 7.4
6 Havas Puteaux 2,287 2,291 -0.2
7 Hakuhodo DY Tokyo 2,184 1,934 12.9
8 Epsilon Irving,Texas 1,223 1,146 6.7
9 MDC New York 1,071 940 13.9
10 Experian MS New York 947 791 19.7
11 Acxiom Little Rock, Ark 823 819 0.6
12 Sapient Corp Boston 772 686 12.6
13 IBM Interactive Chicago 717 439 63.3
14 DJE Holdings Chicago 690 629 9.7
15 Cheil Worldwide Seoul 597 461 29.7
16 ADK Tokyo 580 580 -0.1
17 Aimia Montreal 486 574 -15.3
18 Media Consulta Berlin 481 460 4.6
19 Groupo ABC San Paulo 402 448 -10.3
20 inVentiv Health New York 388 363 6.9
出典:アドエイジ誌

 注目なのは前年比の伸長率だ。
前年比63.3%という驚愕の伸長を果たしているのが、IBM Interactiveだ。前のエントリーで「広告代理店対システムインテグレーター」と書いたが、融合モデルが次世代エージェンシーであり、テクノロジーエージェンシーというかたちが有望なことを物語っていると思う。同様にExperin Marketing Service も20%近い伸びだ。Experianのマーケティングサービス部門のこの会社がエージェンシーランキングに入っていることはある意味アドエイジの見識でもある。Experianは米国の一般人の理解では「個人のファイナンシャルスコアを算出する会社」=銀行や、ローンや、クレジットカードの利用状況を把握し、スコア化して、ローンの利率や査定に役立てるデータを出す3強の一つだ。こういう会社のマーケティング会社が遠慮なくどんどん伸びてる。ベムはデータ活用推進派だが、この手のデータがどこまで使われてるんだろうと脅威に感じないわけではない。

次に注目は、韓国のチェイルワールドワイド。サムスンのAEだからこの伸長率も納得。(サムスンは世界一の広告出稿社になったようだ。)
一昨年秋、ベムはソウルに招かれてチェイルのデジタルマーケテイングリーダーズカンファレンスで、基調講演をやってきた。2000名弱の社員の内800名以上が海外だと言っていたから、正真正銘ワールドワイドなエージェンシー。キム会長は日本語もペラペラ。全部日本語でお迎えいただいて恐縮した。
とにかく勢いがある。一気にADKが抜かれちゃったね。

また出身はカナダのMDCグループ。最も早く自社システムでエージェンシートレーディングデスクを立ち上げたグループである。経営にこうした先見性と機動力があることが奏功しているのだろう。

 さて、話を5大メガエージェンシーグループに移すと、一昔前に比べてるとインターパブリックの不振が目につく。WPP、オムニコム、インターパブリックの3大メガエージェンシーだったはずなのに、ピュブリシスに抜かれてんだね。
電通は単独では今も世界一だし、Aegisの買収で完全にグローバル・メガエージェンシーになった。実態はそうじゃないという意見もあるが、
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/fukabori/2012092000008.html
 ベムはそうは思わない。2位以下とは次元の違うグローバル化を果たしていると思う。電通アメリカの動きなど見ていると今までと全然違う。

 ところで国際会計基準だと、エージェンシーの売上げとは日本でいうところの売上げ総利益だ。Gross Incomeってやつだ。電通さんも国際会計基準にするという記事もでてましたな。日本でいう売上げつまり扱い高はBillingというのかな?WPPだとおそらく日本の広告費より多いんじゃないかな。ただ海外ではBilling(扱い高)はほとんど意味がない。
 日本で扱い高にこだわるのは、メディアの扱い高シェアが問題だからだ。営業部門からすれば本来は総利益がすべてだが、仕入れ部門からすると、仕入れ額がそのエージェンシーの仕入力の指標だから扱い高主義になる。だが、もうそういう時代じゃなくなるだろう。日本の広告代理店というところは、従来、経営陣でもBSどころかPLもろくに読めないのが多い。人件費が何にどれだけかかっているか管理できていないので、総利益まででしか評価できていないケースもまだある。まあ経営が前時代的なんですな。営業利益ベースで管理できないようでは経営などできない。逆に言うと、昔はよくあんなどんぶり勘定で経営できたもんだなと感心する。

 ところで、WPPって何の略か知ってますか?と先日のセミナーでも受講者に訊いてみた。まあ有名な話だから広告関係者はほとんど知ってるでしょうが、Wire Plastic Products なんですな。ワイヤーとプラスチックを扱って籠かなんか作ってた会社の法人株を買って、持ち株会社にしたわけです。ベムはアサツー出身なので、BBDOと提携した時とWPPと提携した時の違いを体験的に言うと、BBDOは広告会社なので、マーケティングのフィロソフィーやメソッドを教えてくれた会社だ。マーケティング部門に心理学博士がゴロゴロいるのでビックリしたのを憶えている。BBDOウエストのLAオフィスとCM制作した時はハリウッドクリエータを自在に駆使できるそのクリエイティブ開発力には脱帽だった。
 一方、WPPはホールディング会社なので、そういうクリエイティブやマーケティング手法での具体的な連携がそんなにあるわけではないように思う。グループのJWTやOMも競合会社だしね・・・。日本以外ならグループのリソースはもっとうまく使えるだろうが、そこは日本の特殊事情がいろいろあって・・。

 
 アドエイジ誌のランキングにどんな会社が入ってくるかは、その時代の趨勢を反映している。そもそもアドエイジがエージェンシーとしてどんな会社をランキングに入れるかからしてそうだ。IBM Interactive や、Experian Marketing Serviceがこのランキングに入っているところに意味がある。
 ベムは日本国内で競合する広告代理店同志で合弁会社をつくるということをやってみた。しかし、これからはシュリンクする広告業界内でシェイクハンドすることはもうあまり意味はないだろう。いかに業界の外のプレイヤーと組めるかという視点が大事だ。

 私がADK-i社長の時に毎週水曜日の昼に1時間実施していた座学講座「横山塾」は、デジタル広告の最前線だけに、とかくデジタルメディア戦術だけに嵌りがちなメンバーのために、川上で何が行われているかを知る講座だった。もちろんデジタル領域も知るべきことが次から次に出てくるので、その道のエキスパートの方に講師になってもらってインプットしていた。全部で80週分のコンテンツになっている。
 川上で何が行われているかというのは、ブランドの表現戦略とメディア戦略が、どういうブランド課題や目標設定のもとに設計されていくのかを知るということだ。クリエイティブは何を訴求し、どんな課題を解決しようとしているかTVCMとしてアウトプットになる手前を理解することが、メディア戦略の一部となっているネット広告を担う人間にも大事だ。

 もちろん、ネットのスペシャリストももっとマス広告の実際を知るべきだ。私がDACの新人研修の講師をするときは、最後に必ずテレビスポットの作案演習をやらせる。おそらくTVの仕事はすることはないだろうが、マス広告がどんな取引形態で、そんなプランニングが行われているか「知っている」方がいいのは当然だ。

 「横山塾」の講座内容は、このマトリックスにプロットしていた。網羅しているかと、最新情報を得ると、以前の話はどこがどう変わるか(これを私は「上書き保存能力」と呼んでいた。)がすぐ理解できないといけない。

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 さて、最近、ネット広告代理店がやっている「クリエイティブ」って、私が昔やっていたマス広告の「クリエイティブ」と概念や解釈がちがうよね・・・という話をする機会があった。ひとりはアサツーで同僚だった佐藤達郎氏(多摩美術大学教授)、もうひとりはDSP/RTBオーディエンスターゲティング入門」の共著者の菅原健一氏だ。

 ネット広領域では、広告の「クリエイティブ」と言っても、例えばリスティングの広告文作成やバナーでも出来合いの素材を使ってレイアウトする程度(といったら怒られるかな)ではある。リスティングの広告文もメソッドみたいなものがあって創られるようだ。
時折、こういうメソッドを破って、マス広告のコピーライターに書いてもらってものを使うと中にはえらいCTRを叩き出すものが出てくるらしい。
 
 菅原氏と話していて、野球に例えると、ネットのクリエイティブはバントヒットを狙って3つか4つを試して、どの辺に転がると出塁率がどのくらい上がるかという野球だが、マスのクリエイティブは1000回バットを振り回して、打席に立ってホームランを狙う野球だという話になった。ただしマスはどうしてホームランが出たか、またどうして凡打に終わったかは検証しない。とにかく1000種類くらいバットの振り方を考えて、その1打席にかけるのである。

 この話は佐藤氏と話したことと、まったくリンクする。マスのクリエーターは、とにかく1000本ノックをするので、発想を一度大きく拡散させる。でっかいホワイトボードにカードにコンセプトワードやコピー案をたくさん書いて貼りまくる。(この手書きがいいんだと思うが)
 そして、一回拡散させた案を収斂させるプロセスに入る。こうした拡散と収斂というプロセスはネット系にはない。
 私が思うに、パソコンで文字打ってつくるとPC画面をはみ出す発想に拡張できないんではないかと思う。

 とはいえ、マス系クリエイティブも基本マス広告のフォーマット(15秒のCMとか15段広告とか)を前提にしか発想できない「CM職人」化が問題かと思う。

 そこで、ネット系の広告マンに、伝統的なマス広告のクリエーターがどういう開発プロセスで発想するのかを演習したり、マス広告のメディア戦略設計やマス広告のプランニングの実務を研修する講座をやってみようという話になった。
 もともとPDCAを廻すことに身についている人たちに、もっと豊かなクリエイティブ発想の実践を応用することにチャレンジされたい。
 
 詳細はTATEITO社からセミナー実施要領が発表されるかと思う。

私は、刈取りの部分で顧客化のプロセスをよく見ているネット広告系アドマンに、刈取りから上流に上がってアウェアネスを設計するチャレンジをもっとしてほしいと思う。
 特にサーチは「顧客インサイト」そのものである。サーチに対応しているスキルを1000本ノック(文脈)でコピーを考えられるようになって欲しいのだ。

 こうしたハイブリッド人材の育成が、きっと日本のマーケティングに貢献できるものと思っている。


マイクロソフトに買収され、その後またAgency部門は売られてしまったaQuantiveは,
もともとは、アヴェニューAレイザーフィッシュというエージェンシーと、Atlasというテクノロジー会社とDrive performance という最初はアドネットワークの3社を統合した全く新しいマーケティングコミュニケーション会社の構成だった。MSに解体されてしまった格好になったのは残念だが、アドネットワークは、進化していわば広告配信先クッキーデータベースとも言えるので、エージェンシーとテクノロジー会社とDMPを統合するモデルで実に斬新だった。アドエージ誌によるとグロスインカムもADKより上位にあった。

aQuantive p.jpg

 テクノロジーは開発力を常に維持することが決め手でもあり、経営統合で1社を囲い込むのが得策かどうか分からない。(エージェンシーとしてバリューチェーンが成立するか難しいかもしれないが)しかし、有力なテクノロジーをニュートラルに使える立場でありながら、自社でも開発力を持ち、なおかつオーディエンスデータも保持できれば、かなりの競争力を獲得できるようにも思う。

 このような機能再編は、広告会社だけが目指すわけではない。むしろ文化的にテクノロジーに明るい、または経営者の判断と実行が早い「広告会社以外のプレイヤー」から主導的にこうした再編にチャレンジしてくるプレイヤーが出てくるだろう。
 そうなると、広告会社は買収されるか、人材の草刈り場になる(使える人であればだが)可能性もある。

 ベムは広告主企業のためのテクノロジー導入コンサルをしているが、そういうニーズがあるのは、テクノロジーベンダーに企業側の課題をしっかり理解し、成果を出す運用方法を的確に明示する力がないからだ。それも無理もない。クライアント自身が自分の課題を理解していない場合が多い。そもそもコンサルとはクライアントの本当の課題は何かを指摘することができないと意味がないのだが・・・。

 ともあれ、そうしたコンサル機能とテクノロジーと価値のあるデータを供給できるようになると、次世代のマーケティングコミュニケーションにおけるサービス提供のできるプレイヤーとなるだろう。しかし、現状、誰もこうした機能を収斂させることは実現していない、というか、まだ誰もトライしていない。

 次世代のマーケティングサービス産業のための再編を主導するのは誰か。興味深いところだ。私ももちろん参画しますよ。!(^^)!

 この電子書籍のことは業界内では結構話題を呼んでいる。ベムも本来なら誰かのツイートで知るような情報だったが、社内の人間が電通さんの友人に教えてもらったそうで、メールが跳んできて知るに至る。

 さて、全般的に広告業界に対しては、そもそも、あまりいい感情をお持ちでない方のようで、しかもそれは最近そう考えたのではなく、ずいぶん長い期間そうだったように思える。基本は業界外の方が非常に良くお調べになって書かれている。ただそのほとんどのご指摘はほぼ「そのとおりだ」と云える。
ほとんどの業界がビジネスモデル改革を余儀なくされてきた中で、護送船団民放ビジネスにぶら下がった、未だに構造改革しないガラパゴスモデルとしていて、まさにおっしゃるとおりだ・・・。

 何人かで書かれているようだという話も聞いたが、私はそうでもないような気もする。後半のDSPなどの件は、必要以上に詳細に書かれているが、ネット広告の業界内にいるベムからすると、やはり表面的になぞっているだけで、こうしたビジネスの実務とは遠いところにいることが分かる。
 こうしたテクノロジーベースのことが理解されている点で、IT系コンサルの方ではないかという気がする。

 とはいえ、業界の直面していることを、実に良く勉強されている。某社が早期に上場を果たしながら、市場から調達した資金を積極投資していないことを断じているが、それはその通りである。「経営に投資対象を見つけ出す能力がない。」という指摘と解釈できる。

 しかし、この本は全体を通じて、メディアバイイングビジネスを全く付加価値のないビジネスのような書き方をしている。HDYの統合も、「メディアバイイングだけにフォーカスした愚かな統合」としている。
 「メディアバイイングのマージンをとるために、周辺サービスを収斂させて、個々の提供サービスで金を取れなくてもメディア扱いですべてを回収する。」というビジネスモデルが破綻することは間違いのないところで、既に破綻していると言っていい。メディアの扱いだけで高収益をあげることは難しいし、むしろソリューションを真ん中において、しっかりしたサービスを提供して、特化した個々のサービスでそれぞれ稼ぐ必要がある。
 ただメディアレップ型ビジネスが、全くの価値を生まないかというとまるっきりそうでもない。メディアが多様化し、拡散し、従来より「売り手市場」でなくなるのは事実だが、だからと言って、すべてがアドマーケットプレイスで、「買われる」状況となるわけではない。メディア自身のセルサイドに立って考えてみよう。セルサイドには「セルフサービスで買ってもらう」方がいい部分と「自ら売りたい」部分がある。すべてをプルに任せていて、広告販売の最適化は叶わない。メディアを「売る」行為の意味は今後もそれほど変わらないというかむしろ重要になる。メディアが分散化すればするほど、メディアには自ら「売る」ことの意味が大きくもなる。よってそれをレップする価値はある。(ただどの程度あるかだ。)
 そして、もうひとつは、メディアプランニングの価値である。従来のメディアプランニングは掲載する媒体情報が詳細に分かっていれば良かった。媒体とブランドのマッチングがすなわちメディアプランニングだったからだ。しかし今後は、広告主は掲載面を買うのではなく、配信対象を買うモデルにどんどん移行する。この時、メディアプランニングとは、誰を配信対象として選択するかというプランニングである。だから、ここには掲載面の情報は基本的に必要ではなく、ブランド側の情報つまりユーザープロフィールやターゲットプロフィール、コミュニケーションコンセプトの理解が前提となるわけだ。
 こうしたプランニングは、オーディエンスデータを駆使して、DSP上でプランニングされるわけだが、ここにこそ新たな付加価値があり、バイイングオペレーションフィー以上のサービス提供価値を創造する余地はある。

 もちろんこうした新しい価値の創造がなければ、広告代理店は崩壊する。だからそれを理解している当事者は危機感と使命感を抱えて対応しようと努力している。

 博報堂さんも何もメディアバイイングにだけにフォーカスして統合したわけではない。むしろ機能分社することで、ブランディング会社の機能はより脱メディアビジネス、つまりソリューションにフォーカスされる方向に行くんだと思う。

 さて、この本には、直接ベムのことが出てくる。いわく、

「飛躍の鍵か?単なる見せ筋?ADKインタラクティブ」

 以下引用
 ------- そんななかで業界内で注目を浴びる存在がDACと折半の出資(これは間違い。折半ではなく、ADK 8 : DAC 2)で別途設立したADKインタラクティブである。同社の出版によるトリプルマーケティング(←これも間違い。書籍名は「トリプルメディアマーケティング」で、会社で出版したわけではない。)はことごとくごもっともな内容満載でご興味のある方は直接お買い求めいただきたいが、同社社長横山氏はネット上で、広告会社のスキルがデジタルに対応していくには、いったんデジタル領域をど真ん中において再構成していく必要があると指摘している。
 中心をデジタルとして、周辺に従来のスキルと接点にそれぞれ融合することでできる新しい価値づくりに挑戦すべきであると唄っている。筆者もその意見を拝見してまさにその通りであるとうなづく部分が多々ある。しかし、ADKインタラクティブなる会社が提唱するデジタルエージェンシーコンセプトはアサツーディーケイのなかでどのように役に立っているのかについては大きな疑問が残る。
 横山氏がそこまで広告代理店がデジタル領域でどうすべきか理解していて、なぜアサツーディーケイ自身がそれを活かして構造改革に踏み切らず、もっとも旧態依然たる組織運営と売上構造にとどまり続けるのかがとても不思議である。櫂より始めよという言葉があるが、同社もデジタル広告については事業拡大を唄っているわけで、既存メディアの扱い減少から営業収益に喘ぎ、赤字転落の損益分岐点で右往左往するのであればますは自社のBPRから手をつけていただきたいものである。
 アサツーディーケイの経営実態を見る限りなんら先進的なチェンジマネジメントが動いているようには見えず、上場系3社のなかでもっとも特長のない、かつ収益力の低い企業へとなってしまっており、今のところADKインタラクティブがレバレッジとなって業務拡大しているようにも全く見られない。
 ADKインタラクティブは平成の松下村塾であって大手代理店ビジネス崩壊後に逸材が排出されるのだろうか?(←「輩出」でしょうね。)あるいは短なる(「単なる」でしょうね。)見せ筋企業として形骸化した論文をまとめる張子の虎でしかないのか?後者であるとすれば失望感は極めて大きい。

引用終わり
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平成の松下村塾とは、すいぶん持ち上げてくれた感もあるが、(これだと私は処刑されちゃうらしい。)ただ、もしこの筆者が、「真ん中がデジタル」という意味を本当に理解しているなら、「アサツーディーケイに役に立っているか」などとは書かないだろう。

またもし松下村塾であって代理店ビジネス崩壊後に、逸材を輩出(排出とは誤字にしても失礼)することができれば、それはそれで結構な話だ。つまりこの筆者からすればどっちみちアサツーディーケイは崩壊するわけで、逸材が輩出できるか、見せ筋企業で終わるかはオルタナティブになっていない。な~んていうくだらない文句をつけるのは置いといて・・・・、ただ、親会社の経営実態に先進性が感じられないという厳しい指摘は、甘んじて受けねばなるまい。

 ベムとしては「見せ筋企業」だ「張子の虎」だのと言われようと、着実に目指すことをやっていくだけである。むしろ関心をもっていただいていることにびっくりしたくらいで、注目を集めているのであれば、もっと頑張らなきゃいけない。

 「トリプルメディアマーケティング」は考え方を提示したに過ぎない。その中身はこれから創っていく。(一部は出来ているが・・・)我々は3つの円のベン図に提供できるソリューションをプロットしていき、最終的に3つの円の3つとも交わる部分の核心(=インサイトからくる統合シナリオ)を企画できる存在になりたい。ただそれには今まで広告屋が不得意だったテクノロジーについてかなりの知見をもつ必要があり、「テクノロジーの理解をベースにいかにコミュニケーションアイディアが出せるか」が課題である。
 私はビジネスとしての広告代理店業がどうなっていくかについては、はっきり云ってあまり興味がない。マーケティング活動に関するサービスをアウトソースすることは、今後もなくなりはしない。要は新しいスキルを開発、つまり人材育成できるかがすべてである。それは1社だけでできる話でも、業界内だけできる話でもない。広告主企業もメディア会社も含め、オープンな環境で育成されないと出来ない。
 
 ベム自身は、業界内で手を組む壮大な実験をやってみた本人である。しかし、広告業の真ん中はどんどんシュリンクしている。だから、もう業界内のパートナーには意味はない。(それは外資であってもそうだ。)周辺ビジネスのプレイヤーと手を組む時代である。まあ広告ビジネスが真ん中にあるような思い上がりは慎まないといけないが・・・。

私は80年代の広告のいい時代も過ごしてきた。しかし、またあんな時代が再来したらいいとも思わない。広告会社が立ち行かなくなったら、立ち行くように再編するだけだ。今まさにそれをやっているつもりだが、今のトライがすべてではない。全く違う挑戦も頭のなかにはある。そんなこれからが楽しみで仕方ない。

アドテックで講演した「トリプルメディアマーケティング概論」が、講演のUstとスライドのPDFがダウンロードできるようになっている。

https://www.adk-i.jp/resources/adtech2010.html

今回のアドテック東京では、「ADK×ADKインタラクティブセミナー」も2日間セミナールームを設けて実施されるようだが、ちょっと面白い調査データが見れると思う。

例の、「グランズウェル」でその考え方は提示され、その後ツイッターの普及で、「会話者」というテクノグラフが追加された「ソーシャルテクノグラフィックス」の日本版の調査を実施したといえば、分かりやすいだろうか。

基本的に消費者のソーシャルメディア活用度を評価するための指標をつくるために設計されている。
ソーシャルメディアアクティビティプロファイル=略して『SMAP』 は果たして国民的指標になれるかどうかは分からないが、こうした調査によって、ソーシャルメディアの基点をおいたトリプルメディア戦略を構築する際のプランニングの指針にはなる。

対象の商品カテゴリーやブランドにおいて、そのターゲットとなる層が、ソーシャルメディアとの付き合い方がどの程度なのかを知っておくのは重要だろう。
例えば、「動画を撮ってアップロードしてね。」みたいな仕掛けをしたとして、そもそもそのブランドのターゲットがそこまでのリテラシーやソーシャルメディアへの態度が、コナれていないのに、アイディアだけでプランニングしても結果はついてこないだろう。
自社ブランドのターゲット層でのSMAPを把握することはたいへん重要になってくる。

基本、ソーシャルメディアの活用度に応じて7グループに分けている。

「創造」、「批評」、「会話」、「収集」、「加入」、「観察」、「不参加」の7グループである。

受発信の積極度に応じたグループ分けになる。

もちろんこれらのグループを性年齢別にみることができるが、特定の商品カテゴリーへの関与度別にも見ることができる。

このデータを使って、

・ソーシャルメディアの有効性を判断する材料にする。

・ソーシャルメディアの活用方法を判断する材料にする。

・実際のプランニングの材料にする。

という活用方法が考えられる。

まずは、アドテック東京での「ADK×ADKインタラクティブ」セミナーで、このデータの説明を受けると良いと思う。


 デジタルマーケティングの業界では著名なメンバーが集まってパートナーズと言うかたちのネットワークを組んだ。詳細は下記URLでご確認を・・・。

http://www.dc-partners.jp/

今はいろんな意味で過渡期、次世代マーケティングに対応できるのも会社や部署ではなく、まだまだ「人」である。「どこに頼むか」ではなく、「誰に頼むか。」
 そういう意味で、名前の立ったコンサルタントがネットワーク組んで、共同プロジェクトや企業別のカスタムメイドなチームを組むという試みは「アリ」だと思う。
 

 ちなみにリリース文を下記に掲載しておく。

 デジタルコンサルティングパートナーズ発足に関して

この度、デジタルマーケティング業界の有力なコンサルタント12名が、サポーター1名を加え、パートナーズという形でネットワークを組むに至りましたので、お知らせいたします。発足は2010年9月15日です。ネットワークの名称は、「デジタルコンサルティングパートナーズ」です。12名のコンサルタントは、それぞれの企業・フィールドで活動しておりますが、全員が、ますます「デジタルシフト」していく次世代マーケティングに対応して、企業戦略、組織戦略、マーケティング、コミュニケーション、人材育成など多方面から、本格的かつプレミアムなコンサルティングサービスを提供しようという理念を共有しております。その実現のために、このたび企業の枠をこえたネットワークを形成することに合意いたしました。(*コンサルタントおよびパートナーの個別プロフィールは別紙をご参照ください)
「デジタルコンサルティングパートナーズ」は、個々のコンサルタントによる対応だけでなく、パートナーズ全員による共同プロジェクトや、最適なコンサルタントをチーム編成するなど、企業へのコンサルサービスを提供するほか、経営幹部向けセミナーや、書籍や電子書籍の出版などの活動を行なっていきます。

◆パートナーズ

横山 隆治         (株)デジタルインテリジェンス 取締役会長兼チーフコンサルタント
                (株)ADKインタラクティブ代表取締役社長
高広 伯彦         スケダチ 高広伯彦事務所 代表

真野 英明         日本インタラクティブマーケティング(株) 代表取締役社長

橘   守          (株)エクスペリエンス 代表取締役社長

遠藤 直紀         (株)beBit 代表取締役社長

渡辺 春樹         (株)beBit 広報宣伝部長

厚川 欣也         (株)デジタルマーケティング代表取締役社長

田中 義啓         タウマーケティングコンサルタンツ(株)代表取締役

平塚 元明         株式会社平塚元明事務所 代表取締役

海老根 智仁        (株)オプト 取締役会長  (株)モブキャスト 取締役

山本 直人      マーケティング/人材育成プランナー 
             青山学院大学経営学部マーケティング学科兼任講師

徳力 基彦      アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 代表取締役社長

◆ サポーター

岸本 義之     ブーズ&カンパニー(株) リーダーシップカンパニー

お問い合わせは、下記へ
info@dc-partners.jp

モバイルのアドネットワークの仕組みと自ら開発したり、コンテンツプロバイダーとしても経験が豊富な河野氏がADKインタラクティブにジョインして、広告主向けのセミナーで講師をする。

テーマは
「ポイントから読み解くモバイルの現在と未来」

近年、我々に馴染みの深い「ガラケー」に代わり、「スマートフォン」の台頭がニュースになる中で、
現実の正しい理解と少し先の未来を予測することが難しくなりつつあります。
携帯電話がインターネット端末となって10余年、
様々な進化を遂げてきた「ケータイ」に今年から異変が起ころうとしています。
今年を元年に何が起こる可能性があるのか、講師自らが体験したこの10年を軸に、
「スマートフォンって何?」から「国の通信施策」まで簡単に理解できる勉強会です。
未来を一緒に考える立場として、皆様のWeb戦略に寄与できれば幸いです。

とのことで、申し込みは下記URLから

https://www.adk-i.jp/resources/seminar_top.php

「トリプルメディアマーケティング」が本日発売されました。よろしくお願いします。

https://www.adk-i.jp/3media/

ADKインタラクティブが広告主セミナーを実施する。内容はgoogleツール(analytics、insight for search、doubleclick Ad Planner , Keyword tool)を使い倒せ!
まずは無償のgoogleツールを使ってみて、ダッシュボード戦略を練るといい。

https://www.adk-i.jp/resources/seminar_top.php

ADKインタラクティブが、ホームページで自社のソーシャルメディアポリシーと、それを公開するに至る経緯をADKインタラクティブ総研ブログに掲載している。

http://aii.adk-i.jp/2010/05/adki_socialmediapolicy.html

ソーシャルメディアに関わる仕事のなかで、クライアントにソーシャルメディアポリシー策定の依頼を受けることも想定し、まずは自社のソーシャルメディアポリシーを策定したとのこと。

そのために、公開されている他社のポリシーを研究し、社内での議論及び全社への内容説明が行なわれたとのこと。

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ソーシャルメディアポリシーは、企業の事情や意思を反映させたものであるべきだと思います。したがって、「ADKインタラクティブ ソーシャルメディアポリシー」の汎用性は限られているでしょうが、ソーシャルメディアポリシーに興味を持つ方々の参考になれば幸いです。ADKインタラクティブは、ソーシャルメディアポリシーを策定するうえで学んだことを、企業向けのソリューションに活かしていきます。


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とうことで、きっとバージョンアップされていくと思います。

「紺屋の白袴」であることを意識することから始めた・・・という感じ。


ADKインタラクティブの社長主催の社内セミナー「横山塾」の実施内容がADKインタラクティブ総研ブログに掲載されている。

http://aii.adk-i.jp/

内容を下記に転載した。

「横山塾」講義

第1週:広告ビジネスの現況と今後(横山)
第2週:トリプルメディアの発想と次世代広告コミュニケーション(横山)
第3週:デジタルセントリックなコミュニケーション開発(横山)
第4週:デジタルソリューションの全体像(横山)
第5週:アドテクノロジー研修 ネットメディアプランニングの実際(DAC秋葉氏)
第6週:Webサイト構築の実際(エクスペリエンス橘社長)
第7週:Webサイトのユーザビリティの実際(beBit遠藤社長)
第8週:アクセス解析ツール活用実践(ADK-i鹿毛)
第9週:SMO概論 ソーシャルメディア対応(ADK-i太駄)
第10週:モバイルサイト構築の実際(駅探河野氏)
第11週:モバイルサイトの実際 EC(ゆめみ深田社長)
第12週:モバイルサイトアドネットワーク(スパイア岡部氏)
第13週アドネットワークとアドエクスチェンジ(横山)
第14週:SEM概論(ADK-i鹿毛)
第15週:リスティング広告とSEO実践(アイレップ紺野社長)
第16週:アドテクノロジー研修広告効果測定ツール(beBit三宅氏)
第17週:メディアとしてのmixi活用法(mixi辻氏)
第18週:アドテクノロジー研修アドサーバー:最適化とリッチメディア(DAC手塚氏)
第19週:アドテクノロジー研修 モバイルソリューション(DI水野社長)
第20週:アドテクノロジー研修 アドビの技術(アドビ太田氏)
第21週:マス広告のプランニング 新聞広告(ADK喜島氏)
第22週:マス広告のプランニング 雑誌広告(ADK久米氏)
第23週:マス広告のプランニング テレビスポット(ADK甲斐氏)
第24週:マス広告のプランニング テレビ番組(ADK甲斐氏)
第25週:マス広告のプランニング ラジオ広告(ADK南氏)
第26週:交通広告のプランニング (ADK飯塚氏)
第27週:クロスコミュニケーション事例解説(ADK井上氏)
第28週:メディア戦略の構築プロセス(ADK亀井氏)
第29週:クロスコミュニケーションプランニング事例(ADK関氏)
第30週:クロスコミュニケーションプランニング事例(Jazzup井上代表)
第31週:クリエイティブの実際(ADK川越氏)
第32週:プラン立案のための確認ポイント(ADK沼田氏)
第33週:バイラルコミュニケーションの創り方(ADK木田氏)
第34週:デジタルメディアと生活者2010レポー(ADK宇賀神氏)
第35週:クリエイティブの実際~ロボット~(ロボット加藤氏)
第36週:最新事例から読み解くキャンペーンの潮流(ADK-i総研太駄氏)
第37週:クロスコミュニケーション事例(ADK竹内氏)
第38週:「Is big media embracing social media?」(ADK原口氏)
第39週:Adobe&Omniure (アドビ 太田氏・小川氏)
第40週:伝わるプレゼンテーション オリエンテーション(ADK甲斐氏)
第41週:伝わるプレゼンテーション プレゼンテーション(ADK沼田氏)
第42週:Googleのマーケティングツールを使い倒す(ADK-i鹿毛)
第43週:プランニング演習 ①
第44週:プランニング演習 ②
第45週:プレゼンテーション演習
第46週:卒業試験 「インターネット広告検定」初級
第47週:卒業試験 「インタラクティブプロデューサー資格試験」


講演のドキュメントだけでなくビデオ録画をしてあるそうだ。

expert_2[1].gif

ADKインタラクティブのWebサイトの採用ページの先に掲載されていたエキスパート制度の図。

「インタラクティブプロデューサー」みたいな人材のニーズが求められるのは云うまでもないが、そう簡単に育成できるものでもない。またそうしたスキルを育成するプロセスもまだ試行錯誤の段階だろう。
その意味で、こうしたスペシャリティをそれぞれ身につけていくやり方もある。

広告コミュニケーションが分かっている人間が、Web解析ツールなどのテクノロジーを一生懸命勉強することで初めて開発される価値というものもある。

また「インタラクティブプロデューサー」という知見も、ひとつひとつの積み重ねなので、こうしたエキスパート的な知見を体得していってプロデューサーになれる。デジタル&インタラクティブな領域はしっかり網羅しているが、特にこの領域はエキスパートだというT型人間が、本当のインタラクティブプロデューサーかもしれない。


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・著作出版に関すること
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ADKインタラクティブが広告主向けの無料セミナーを実施する。
企業のWebマーケティングの担当者の方は、やはり他社の実践事例などの情報が欲しいはず。またアクセス解析ツールなどの活用法なども情報を仕入れたいと思う。
今広告主企業はWeb研などを中心に、どんどん横に繋がって情報交換ができている。そこでは実際に広告会社は取り残されている。企業で実践している人には、実践しているが故の悩みや欲しい情報があるわけで、それに対して代理店の人間はまだまだ感度が鈍い。むしろ広告主企業のネットワークのなかで経験値をお互い交換しあって、実践に役立てるほうがいい。そんな場はいくつあっても良さそうだ。

https://www.adk-i.jp/resources/seminar.html

ADKインタラクティブが2011年の新卒採用情報を出している。

https://www.adk-i.jp/careers/employment002.html

キャリア採用も引き続き強化しているようだ。

デジタルセントリックという概念は、「まずはデジタルをど真ん中に置いて、周辺にマスメディア、ブランディングコミュニケーション、リアルプロモーション、PR・・・といった従来の知見とオーバーラップする領域に新しい価値を創造する。」というものだ。

まずは、デジタルの知見で鍛えられた人材は、次の展開を、デジタルを軸足にして領域を拡げるのが得策だとベムも思う。特にネット系で4~5年やったら、若い感覚のあるうちに「コミュニケーション」をプランニングすることを鍛えたい。

https://www.adk-i.jp/careers/employment001.html

ADKインタラクティブにはエキスパート制度というのがあるそうです。今は6つのエキスパート、すなわち、
・ Webプロデュースエキスパート
・ クロスメディアプランニングエキスパート
・ モバイルソリューションエキスパート
・ SEMエキスパート
・ ROIトラッキングエキスパート
・ ソーシャルメディアエキスパート
の6つがあって、研修と認証プログラムを経て、エキスパートを名乗れるそうです。(名刺にも刷られるのかな。)
とにかく今は顧客とWeb言語で語れるインタラクティブプロデューサーが必要です。しかしインタラクティブ領域をトータルにプロデュースしつつも、そのうちの最低ひとつの分野ではエキスパートと呼ばれるスキルを持つと、いわゆるT型人材としてたいへん価値の高い人材として評価されていくと思います。スペシャリストとエキスパートだと、エキスパートの方がより特定領域に深い知見を持つ人ということだそうで、デジタル&インタラクティブのスペシャリストであり、かつソーシャルメディアのエキスパートなんて感じの人材育成ができるといいですね。

再びキャリア採用を始めているようです。また2011年度の新卒採用もあるとか。
http://www.adk-i.jp/employment.html

ADKインタラクティブの社長の秘書さんから、人材募集をしているのでブログで取り上げてくださいと言われました。日頃お世話になっているのでご協力させていただきます。

求人している模様です。


http://www.adk-i.jp/employment.html

 (株)ADKインタクティブのホームページが開設されているのでご紹介する。
 
  http://www.adk-i.jp

 今日が会社の設立日だそうだ。