ベムのコラム: 2015年2月アーカイブ


 1982年私が広告会社に新卒で入社したとき、TBSで「クイズ100人に聞きました」の1社提供を同期が担当していました。当時は「この『100人に聞きました』の一番メジャーな回答をすぐに想起できることがアドマンの資質かもしれないね。」と言っていたのを思い出します。しかしデジタルマーケティング時代の今日、100人どころか1万人いても最もマイナーな回答までデータを使ってすべて「言い当ててしまう」ことが求められていると言えます。

 データドリブンに「シナリオ設計」をしてマーケティング施策を企画実施することで初めてデータは成果に結びつきます。

 データ分析からファインディングスがあっても、「ふ~ん。なるほどね。」と感心しているだけでは、マーケティング的には何の意味もありません。

 データドリブンにマーケティング施策を企画実施するには、そういう経験のある人でないといわゆる「シナリオ設計」のイメージが出来ないでしょう。いくら統計や数学に強いデータ分析のプロでも、その知見だけではダメなのです。
 
 では、マーケティングコミュニケーションに従来携わってきた伝統的な広告会社の人材のスキルがあればいいのかというと、そう簡単には行かないのが実態です。がっぷりデータと向き合うことが出来るかどうかは当然のことですが、まずもって、伝統的な広告会社では文化的に、「ひとつの文脈に修練させること」をやってきました。よって、コミュニケーション開発においては「できるだけ多くの人が、少しでも反応するように」つくるのが習い性となっています。しかし、前述の「100人に聞きました」ではないのですが、これからは、「このセグメントの人たちが強く反応する文脈はコレ」また、「別のこのセグメントの人たちが強く反応する文脈はコレ」というように複数のターゲットとそれぞれの「琴線にふれる文脈」を設計することが必要です。

 さて、本論ですが、この「出来るだけ多くの人が少しでも反応するように」つくることがTVCMの欠点になってきました。「みんなに刺さる」は「誰にも強く刺さらない」ことであり、「みんなに刺さる」ようにつくると、みんなが自分事化しないようになってしまいました。

 そして、TVCMのもうひとつの欠点。むしろこちらが重要かもしれないのですが・・・。
CMで特定のターゲットに刺さるようにつくると、そうでない既存の顧客ないし見込み客が離反してしまうということです。
 とかくTVCMを使うということは、マススケールつまり大きな売上を上げる商品であり、多くの消費者を獲得しなければいけない商品です。しかし、そのためにはいくつかの複数の層を対象にしなければならないのですが、その中のひとつのターゲット層または新たなターゲット層に刺さるようにCMをつくると、そうでない層の人が「これは自分向けのブランドではなくなった。」とブランドから離反してしまうリスクがあるということです。

 例えば、CMタレントを替えると、「このタレントがこのブランドのユーザーということなら、私は違う。」と思わせるコミュニケーションを図らずもしてしまう。

 「みんなに刺さる」は「誰にも強く刺さらない」、でも「ある層に強く刺さる」をつくると、顧客でいて欲しい別の層の人に「私は違う」と思わせるリスクがある。

 これが現代におけるTVCMの欠点です。

そこでオンラインの出番です。

ターゲティング出来るということは、「当てたい広告を当てたい人に当てる」ということだけでなく、「当てたくない人には当てない」ことでもあるのです。

(*今のネット広告の問題はせっかくターゲティング出来るのに「見たくもない広告」をたくさん配信してしまっていることかもしれません。)

 米国から発信されるアドテクベンダーのいわゆる「カオスマップ(LUMAscapes)」に日本の企業がいない。何百というプレイヤーのなかにひとつやふたついてもいいと思うが・・・。

 「広告ビジネス次の10年」にも書いたことだが、デジタルとグローバルは表裏一体、コインの裏表の関係である。つまりグローバル化しないデジタル技術は生存できない。だから積極的な日本のベンダーやネット広告サービスはアジア進出をする。しかし、鎖国によって守られてきた日本市場もだんだん状況が怪しくなってきた。アジアに出て行っても肝心な日本市場から日本製がグローバル標準テクノロジーによって駆逐されてしまうリスクがある。

 僕は前から「難しいのは重々分かっているが、何としても米国のカオスマップに名前が入るように北米進出をすべきで、アメリカから日本に逆輸入するくらいでないと、結局日本だけの技術の限界が来る。」と言っている。

 立場を変えて見れば、日本に東南アジアや南米あたりから「アドテクで~す」と言って売りに来られても最初は抵抗があって、そうそう信用するわけにはいかないだろう。だから日本から北米に売りにいくことが簡単でないことは言うまでもない。少なくてもネイティブな人間が営業しないといけないだろう。

 「ネイティブな人間が営業する」という視点で言えば、これは資本政策も含んでのことになるだろう。
 
 米国で日本からのテクノロジーが成功するには、日本で起業しててはやはり難しいということかもしれない。
 
 
これまでの発想は、
1)日本で起業した > 2)なんとかビジネスになった、余裕でた。 > 3)さあ、海外進出

だったが、この流れではなくて、たぶん、こんな流れ

1)世界を制覇したいぞ(少なくともアメリカ制覇したいぞ)アイデアあるぞ > 

2)アイデアを引っさげてシード投資が受けられるように米国で様々なメンター、エンジェルを回るぞ

3)無事にテスト、アクセラレーター支援受けられたぞ、3ヶ月西海岸で缶詰 >

4)無事にデモが認められ、事業拡大、投資ラウンド2へ、、、、

つまり、グローバルのテスト市場として、日本を選んではいけない、という事。

日本の1億2000万市場で事業を立ち上げ、日本ターゲットでうまくいってしまうと、
そこそこ食えてしまえる。ここで頭打ちで終わりとなる。もがいてアジアに行って、体力使って、日本国内が海外産に食われて終わる。
米国のスタートアップは、ほんとうに飲まず食わずで、モニターの前に寝泊まりして、
メンターと投資家とモニターの前でずーっと指導を受け、開発についやし、投資を募る営業をする。

 日本にもアクセサレーターがどんどん出てきてはいるか、これらの日本のベンチャーファンドから出資を受けてしまうと、その時点で(有頂天になってしまうのだろうけど)グローバル展開が出来ないという烙印になるんだと思う。

 むしろ、自力で米国で活躍できなくても「買わせる立場」になって、強力な外資に買収させるEXIT目標を持って、東証上場など目もくれず、外資傘下の懐に食い込んで行って、彼らのなかに入り込んで、グローバルプレイヤーとして立ち上げる成功例があるといい。

 というDINYの榮枝と会話をブログに上げてみました。

ちなみに、参考本あります。

http://goo.gl/Ekjo2q

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