ベムのコラム: 2010年5月アーカイブ

ADKインタラクティブが広告主セミナーを実施する。内容はgoogleツール(analytics、insight for search、doubleclick Ad Planner , Keyword tool)を使い倒せ!
まずは無償のgoogleツールを使ってみて、ダッシュボード戦略を練るといい。

https://www.adk-i.jp/resources/seminar_top.php

 鳩山首相の体たらくにマスコミが一斉攻撃をしている。ただこうした報道の調子に対して視聴者の多くはどこか完全に同調しづらい何かを感じているのではないだろうか。テレビ朝日のやじうまプラスで、この攻撃一辺倒のメディアの姿勢に江川紹子氏が不自然さをコメントしたが、他のコメンテーターに押し流されてしまった。
 彼女の感覚は何なのか。彼女自身がそのメディアの張本人として中にいるので、はっきり言い切れなかったかもしれないが、それはメディアに、こうまで居丈高に首相を攻撃できるほどの資格があるかという違和感だ。メディア=本土の人間にとって、誰も「肩代わりしましょう。」と言わないにもかかわらず、沖縄の人といっしょに、全く同じ立場のようなふりをして、首相を攻撃できるのかという割り切れなさだ。沖縄からは「これは差別だ」という発言がある。差別があるとしたら、それは政治家だけが差別しているのではない。

 結局鳩山さんは前政権の方針より後退させ普天間の危険をさらに長引かせる結果になりそうだ。結果責任がすべての政治家にとって、これは万死に値する失政である。しかし彼が何とか沖縄県外に持っていけないかとしたことは事実で、(それはあまりに稚拙だったが)本土にいる人間が、すべて丸ごと非難の対象にだけして済ませてしまっていいのだろうか。どこか、いくばくかはあるはずの責任は棚において「あいつが悪い」とだけ言っているように感じる。鳩山さんは我々が選んだ首相だ。選んだ責任を全く感じないなら日本人にはやはり民主主義は根付いていない。

 おそらく、こうした一辺倒の論調は次第に多少自己反省的にもなるだろう。ただそれは論調に飽きてくるからで、最初から見識があってではない。
 論理的な批判はメディアの使命でもある。しかし、見識を欠いた「ただの非難」はよろしくない。

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 先日リリースされた野村総研さんの「ソーシャルCRMのロードマップ」について、詳しいお話をわざわざNRI情報技術本部技術調査部主任研究員の亀津さんに解説していただいた。亀津さん有難うございました。

 この「ソーシャルCRMのロードマップ」という資料は、野村総研さんのITロードマップセミナーSPRING2010のなかで発表された「ソーシャルメディア時代の顧客リレーションの新展開」というプレゼンテーションのなかにある。このセミナーに参加された方も多いだろう。

 まず、興味深いのは、「ソーシャルメディアのオープン化のトレンド」
「ライフストリームの共有が消費者の新たなメディア接触の入り口」という表題のページで、「消費者のネット利用のスタイルが変わる」と予見している。
 つまり、これまでのAISASモデルの真ん中のSearchがなくなっている。「ソーシャルフィルタリング」(ツイッターでいえばフォローしている人のツイートで情報を得て、認知と興味関心をもち、そのままリツイートというかたちで「ソーシャルリコメンデーション」が行なわれる。

フォローしている人のツイートから情報をキャッチアップして、購買行動に繋がるが、ここではリツイートという情報シェアが先で、アクションがその後という面白い現象もありそうだ。フォロー⇒インタレスト⇒リツイート⇒アクション⇒シェア だとすると、FIRAS かな?(これはNRIさんの資料ではなく、ベムの感想です。)

 いずれにしても、「これまでのWebページを前提とした顧客導線とは異なる流れが登場する。」としている。

 また「ツイッターやフェイスブックのような新しいソーシャルメディアはデータをオープン化している。蓄積された消費者のライフストリームデータを利用する周辺ビジネスが拡大するとともに、これまで企業がリーチできなかった消費者の声が分析可能になった。」
 特にWebページ単位のブログと異なり、APIを介してのデータ取得・操作が容易であることを指摘している。

 そして、今後、ツイッターやフェイスブックのような新しいユーザーの流れが、従来のWebサイトと連動する。Twitter 「@anywhere」やFacebook 「Like」ボタンなどによって、ソーシャルメディアが共有している「関心のネットワーク」が新たに分析可能となるということだ。つまり「人のつながり」から「関心のネットワーク」へ、ソーシャルグラフの定義が拡張するとしている。

 次に、「ソーシャルメディアがもたらすCRMモデルの変化」について語られている。ここが今回NRIさんのレポートのへその部分だろう。
 「ソーシャルメディアのマーケティング活用の核」はCRMにあるということだ。
「従来のCRMが主眼にしてきた既存顧客に加え、顧客になっていない消費者の声を分析できるようになったため、CRMモデル全体に様々な変化が生じる。」としている。

具体的に図に表記されているのは・・・

・ 顧客戦略・・・・・・・・・・・・・・・ソーシャルメディア戦略
・ 顧客インサイト(顧客理解・識別)・・・・ソーシャルインテリジェンス(消費者理解)
・ マーケティング・・・・・・・・・・・・ソーシャルメディアモニタリング
・ セールス・・・・・・・・・・・・・・・セールス管理へのソーシャルメディア追加
・ サービス・・・・・・・・・・・・・・ソーシャルメディア経由のカスタマーサービス

と、CRMの全体構造をささえている要素がそれぞれ変化をきたすということだ。

ソーシャルメディアモニタリングに関しては、リスニングプラットフォームが登場する。組織的にソーシャルメディアを活用するためには、会社の誰かがその個人のスキルで対応するのではなく、会社として装置化しなければならない。
また、まずはソーシャルメディアで自社及び競合のサービスについての評判の分析をすることが肝心だ。
 そして、企業に向けられた消費者の問い合わせ、質問への対応への応用していくことが求められる。
 さらに、最終的には企業からのメッセージの発信にソーシャルメディアを利用していくという順番(プロセス)が良いのでは?としている。

 こうした考え方をベースに、メディア環境、ユーザーの進化を想定して、できているのが「ソーシャルCRMのロードマップ」ということになる。

 この資料が公開されてから、「もっと早い時期にこうなるのでは?」という反応が多いらしい。もちろん早く対応する企業もどんどんでてくるであろうが、大手企業が組織的対応で臨む時期はグラデーションがあるもののこのロードマップの各々の矢印のなかなのではないかというのが亀津さんのご意見だ。
私の感想で言うと、ソーシャルメディアを企業マーケティングサイドから見たときに、これを『CRM革命』の要素だと切り取るところが「実に頭良し」という感じだ。
 
 今はツイッターを熱っぽく語る人が、イノベーター、アーリーアダプター中心にいっぱいいて、のめり込み方もヘビーだが、いずれ普通のプラットフォームになっていく、その時に「話題のツイッターを使ったキャンペーン」ということではなく、一番煎じでも二番煎じでもない、地に足のついた活用法を確立することが重要であると思う。
 そのために、ソーシャルメディア単独での利用ではなく、様々な既存のチャネル(電話・メール、Web・・・)との統合・全体最適が必要だと、NRIさんも話を締めている。

ADKインタラクティブが、ホームページで自社のソーシャルメディアポリシーと、それを公開するに至る経緯をADKインタラクティブ総研ブログに掲載している。

http://aii.adk-i.jp/2010/05/adki_socialmediapolicy.html

ソーシャルメディアに関わる仕事のなかで、クライアントにソーシャルメディアポリシー策定の依頼を受けることも想定し、まずは自社のソーシャルメディアポリシーを策定したとのこと。

そのために、公開されている他社のポリシーを研究し、社内での議論及び全社への内容説明が行なわれたとのこと。

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ソーシャルメディアポリシーは、企業の事情や意思を反映させたものであるべきだと思います。したがって、「ADKインタラクティブ ソーシャルメディアポリシー」の汎用性は限られているでしょうが、ソーシャルメディアポリシーに興味を持つ方々の参考になれば幸いです。ADKインタラクティブは、ソーシャルメディアポリシーを策定するうえで学んだことを、企業向けのソリューションに活かしていきます。


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とうことで、きっとバージョンアップされていくと思います。

「紺屋の白袴」であることを意識することから始めた・・・という感じ。


iPadでラグジュアリー系雑誌の電子版サンプルを見せてもらった。極めて単純な感覚として「実に楽しいものになる」と感じた。画面へのタッチで展開する5次元マルチメディア(つまりテキスト、画像、サウンド、動画、インタラクションの5次元)は、その高精細な画質とともに、全く新しいコンテンツ価値が創出したことを表現している。

出版のビジネスをしている人たちがこれを好機として、「やっと紙媒体の呪縛から解き放たれた。」とポジティブに思うのか、危機として「紙が売れなくなる。」とネガティブに思うのか、その差こそ「実に大きな差」であろう。

広告屋の目線で見ると、何て面白くて訴求力がある「編集タイアップ」ができるんだろうかと期待する。指で触れるインタラクションにはマウスとはまた感覚の違うアナログ感がある。体験感覚が強く醸成できる。ブランド体験を展開する「場」として、このデバイスで表現する手は確実にあると感じた。またiPadに限らず、Android タブレットも含めれば、かなりの普及率となってクリティカルマスを超えるだろうし、何より一人がこのデバイスに関わる時間とその関与度は非常に大きいように思う。

 インターネットでオペレーション出来ることが増えて、広告会社のオフィスロケーションの考え方も変わって当然になった。都心の1等地にいなくてはいけないのは、どんな機能をもつ人たちで、高い賃料を払ってまで1等地にいなくてもよいのはどういう機能を担うメンバーか、そもそも同じオフィスに同居しなければならないのか、など改めて考えても良い。日本では大手広告会社は比較的1等地にずっといる。しかしニューヨークではアドマンのオフィスは景気のよい時とそうでない時で結構エリアが変わる。テレビシリーズ「マドマン」ように華やかなころはマディソン街にいましたが、今はダウンタウンに近いこのあたり・・・ってな感じだ。欧米の広告マンからすると広告会社が自社ビルを持つなんて信じられないかもしれない・・・。(まあ電通さんは、ただの広告会社じゃない違う業態だし・・・)

 オフィスロケーションの話をするのは、それだけまあ、その家賃が気になるくらい、なかなか儲からない商売になったことの裏返しでもある。しかし本来は、適切な人的リソースなのか(つまりリストラ)をしっかり考えてからでないと、賃料だけを販管費抑制材料にするのは本質ではない。

 そもそも、広告会社は社内間移動が極めて多い業態である。ふつうエレベーターは出入り口である1Fフロアと各々のオフィスフロア間で乗るのが普通だが、広告会社は社内のほかの部署を行き来することが非常に多い。昔の博報堂さんの東京ビルのように水平に広いほうが便利で、電通さんが聖路加にいたときのエレベーターはたいへんだった。おかげで汐留のビルは実にエレベータービルみたいだ。
 
また会議室がたくさん必要である。アイディアが生産物だから、会議室はある意味工場でもある。クリエイティブスタッフのスペースもその意味で工場だと言える。この工場(ファクトリー)機能も、付加価値の高いプランニング機能と付加価値の低いオペレーション機能がある。いわゆるオペレーションも従来の物理的な作業から、ネットを介在させたデジタルデータをやり取りする作業に変わった。昔ほど顔を合わせての打ち合わせが必ず要るわけでもない。だからと言ってコミュニケーション(作業の意味、方向性を認識、理解し合うこと)が大事なのは昔と変わらない。
 しかし、メディアスペースを買ってもらうことで収入となるマージンが比較的高い時代は、周辺作業にかかるコストはすべて吸収できたが、今は周辺サービスも個別に利益を出す必要があるのと、メディアバイイングオペレーションほかに関わるコストを効率化する必要がある。全員が1等地にいないといけない時代ではない。
 
 日本の広告会社も成長一辺倒の時代には、どんどん人員も増えて、オフィススペースもどんどん拡張して、移転を繰り返してきた。ただそろそろ「みんな一緒に1等地」はないんだろうと思う。
 電通さんは、銀座、築地、汐留、博報堂さんは、神保町、東京駅、田町、赤坂、ADKさんは新橋・日比谷、銀座7丁目・日比谷、築地・・・。博報堂さんの田町時代を除いてやはり都心1等地。一方、橋を渡って賃料の安い場所に出て行った広告会社もあるが、業界には橋を渡ると会社の勢いが悪くなると思っている人も結構いる。

 社員のモラールや、学生の就職希望を募るためには、オフィスロケーションは重要である。人しかリソースがない広告会社では優秀な人材を集めるためには最低限賃料コストを裂くのは必要なのだけれど、逆にいいところに拠点を維持するためにも、事業の高収益化、効率化を見直さなければならない。

辞書を引くと、古英語の「ぐずぐずする」から「一箇所に留まる」→「住む」という意味になったと書いてある。動詞で「住む」「暮らす」、物事が心に「残っている」「存在する」という意味である。
この「Dwell」というワードを、どうやら新しいディスプレイ広告におけるエンゲージメント力を含むインプレッション効果として表現したいらしい。

「『Dwell』とは、基本的に広告におけるアクティブなエンゲージメントのレベルを意味する。」とマイクロソフトの資料「DWELL ON BRADING」に書かれている。

http://advertising.microsoft.com/europe/WWDocs/User/Europe/ResearchLibrary/ResearchReport/Dwell%20on%20Branding%20Research%20Report%20Apr10.pdf

おそらく、今までのオンマウスでインタラクションを返すフラッシュを使ったりする一連のリッチメディアのディスプレイ広告に対するユーザーレスポンスを、もっと細かくログを録ることで、ユーザーにどれだけ響いたのかを図ろうという試みである。

 ここでは、Total Dwell = Dwell Rate × Dwell Time と公式化されている。

Dwell Rate とは、すべてのインプレッションのなかでDwellしたインプレッションの比率
Dwell Time とは、広告に「Dwell」した平均時間

この指標をもとに800のキャンペーンでのDwellを数値化して、Low Dwell、Average Dwell、High Dwell を分けて比べてみている。

まず、High Dwellのキャンペーンでは、Low Dwell の3倍以上の検索行動を誘発している。
サイト訪問も70%アップ、サイト滞留時間で83%アップ、サイトのページビューは125%アップした。また業種別では、エンタメ、テレコム、金融、小売で平均を上回った。
さらに、広告フォーマット別のTotal Dwell スコアとCTRがグラフ化されているが、クリックレートが高い広告フォーマットが必ずしも高いDwellスコアになるとは限らず、むしろ比較的CTRの高いフォーマットは、Dwellスコアは低い傾向にある。

資料の最初に、「広告の効果の70%~80%はクリエイティブによるもの」と書かれていて、いまさらのように再認識させられる。
日本ではいまだに「掲載スペース」だけを評価するPDCAサイクルが多いが、クリックのみで測ること、短期のレスポンスのみで測ること、クリエイティブの力を測らないことで行なわれるPDCAは実に稚拙なものであることが想像できる。

 このブログでもいろいろな視点で、「広告ビジネスの構造変化」を書いてみた。広告会社の進化は、スペースブローカーから発して、広告スペースを買ってもらうために、周辺のソフトサービスを提供するスキルを磨いてきたというものだ。特にテレビ広告のタイム・スポットを買ってもらうために、マーケティング調査、クリエイティブ提案、連動したプロモーション施策などを提供してきたのだ。
 しかし、「買うメディア」はマーケティングメディアのひとつになろうとしている。従来の広告活動においては広告メディアを買って、コミュニケーション、プロモーションを行なうことがほとんどすべてだったが、そうした時代は終焉しつつある。
 しかも、「買うメディア」以外に急激に台頭する「所有するメディア」「評判を得る(ソーシャル)メディア」は、いずれも広告会社に知見が乏しいものだ。企業の自社メディアに至っては、全く広告主に太刀打ちできない。
 つまり広告会社に訊かないと分からない世界は、広告マーケティングにおいて3つのうちのひとつになってしまったのだ。
 さらに、その「買うメディア」でさえ、様々な広告プラットフォームの出現で、中抜きに合う可能性が非常に大きい。広告主はオンラインで直に買える。代理店に任せたとしても、それは単に面倒臭いからアウトソースするだけで、そういう付加価値は極めて低い。
 さらにさらに、広告会社以外にも広告マーケティングのプレイヤーが増える。今まで広告会社、システム会社、戦略コンサル会社、調査会社などの領域ははっきりしていたが、これらの領域がオーバーラップしてきている。ネット広告専業会社が台頭したように、新たな参入組は今後も増えるだろう。

 今の広告会社の仕事には、様々な付加価値の仕事が同居している。コンサルティング(これはほとんど出来ていないが・・・)、プランニング、オペレーションなどだが、これらを同一の給与体系で行なうのはすでに無理がある。またこのネット時代にオペレーションを東京のど真ん中でやらなきゃいけない理由はない。とはいえワンストップでこうしたサービスを行なう価値は高い。いずれにしても根本的なリストラクチャーが必要なのである。
 
・ 今の社員の知見の及ぶ範囲が、基本「買うメディア」だけである。
・ 「買うメディア」も広告プラットフォームで広告主が直で買う。
・ 領域がオーバーラップして競合するプレイヤーが増える。

 基本、この3つが「広告会社が直面する試練」である。そしてもちろん最大の敵は、今の経営幹部が未だに持っているマス広告での成功体験であることは言うもでもない。

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