ベムのコラム: 2009年9月アーカイブ

 日経ビジネスの最新号の編集長インタビュー、作家の水村美苗さんの「国語こそ競争力の源」という記事に感銘を覚えた。
 そういえば、大学で英米文学科だった私は、就職活動で採用面接に行ったある会社で、「米文学を専攻して何が分かったか。」という問いに、「逆に近代日本文学の質の素晴らしさが分かりました。」と答えたことを思い出した。こう言っては何だが、アメリカ文学といっても原型はほとんど聖書にある。成熟した文化の上に、様々な人間の機微が行間にまで散りばめられる日本文学と比べるべくもない。
 
 ビジネスの世界では確かに英語力の差が、ビジネス展開力の差として日本の競争力を弱めているのは事実だ。外資メディアのカンファレンスに参加した経験からすると、こういう場ではアジア系も南米の人も、とにかく日本人以外はすべての参加者が英語を操る。日本では特に広告・メディアなどの情報産業系の人材に英語力が足りない。こうした状況が「except Japan」といった日本の孤立を生むひとつの原因でもあろう。
 
 しかし、このインタビュー記事にあるように、「日本の科学者の発見も、日本語で考えたことが大きい。英語と違う世界観が大事。」という氏の言うとおり、逆に本質的な日本の競争力のためには日本語思考によるに日本的発想や日本的ホスピタリティが物づくりだけでなくサービス業においても国際競争力をもつと思う。
 氏の言うように、英語は中学からにして、しっかり日本語教育の基礎を再構築することと、一方で優れたバイリンガルの育成に注力することだろう。
 とにかく水村氏の『日本語が亡びる時』をすぐ読んでみよう。

アドビがオムニチュア社を買収する。

欧米の次世代広告マーケティングの発想は、どうやら、「測定」⇒「最適化」⇒「自動化」ということらしい。
広告の最適化は視野に入っていたが、オムニチュアのROIトラッキングは、サイトそのものの構築や動的生成などアドビの技術が十分に活用される。
こうなるとアドビがいっそうアドテクノロジーに関わるビジネス開発をしてくるかもしれない。
「エア」テクノロジーも広告マーケティング活用の可能性はじゅうぶんある。また
「シーン7」など従来のアドビのビジネスモデルにはなかったものが出てきているだけに、今後目が離せない。

9/2、3と日本で初めてのアドテックが開催され、盛況のうちに終わりました。関係者の皆様、お疲れ様でした。特にミスターアドテック武富さん、本当にお疲れ様。みんな武富さんの情熱に感銘して協力しました。私も微力ながらお手伝いできて光栄でした。

さて、多彩なセッションがあり、協賛各社のブースも出てたいへんな活況を呈したアドテックでした。日本での第一回目としては十分及第点だったと思います。セッション内容は次回からもっと良くなるでしょう。パネルディスカッションというわりにはパネリストのプチプレゼンで終わるケースもあって、時間がなくて会場との質疑応答が幾分少なかったかもしれません。しかし、セッション会場だけがアドテックではなく、ここかしこでビジネスのきっかけがあったと思います。あとはもっともっと広告主企業のマーケターや経営者の方が参加されることを期待しています。

広告マーケティングは大変革期をむかえています。従来のいわゆる「広告」の世界はどんどんシュリンクしていきます。一方その周辺では様々なビジネスチャンスがでてきます。現状のビジネスモデル、現状の顧客、現状の営業力、スキルのなかだけで経営を考えていては必ずビジネスは縮小するでしょう。会社はこれが本業だという意識を捨てて、生き残りをかけた闘いに臨まなければなりません。もう競合は業界内ではありません。宣伝部としかインターフェイスできない広告会社では立ち行きません。

こうした意識を確認できたアドテックの2日間だったと思います。

 高校の同級生で某地方新聞社に勤めている友人がいる。地元に帰ればたいへんな有力企業であり、東京で営業部長の彼もいっぱしの名士である。
 しかし、広告大不況のなか、選挙で何とか前年並み近くにも持ち直した営業成績も9月以降はまたどん底だという。
 私は、新聞社という業態は、大きな変革を要すると思う。特に日本のように新聞販売店網を確立し、毎朝毎夕新聞を宅配しているという事業体は、欧米のそれとはずいぶん違いう。この販売店網を足かせと考えるのか、またこれこそ武器と考えるかである。
 新聞販売店網は、ある意味情報物流網として可能性をもっている。また地域のマイクロ広告を集稿する代理店網としても可能性をもっている。

 地方紙では、販売店で雑誌を販売する代わり出版社からコンテンツをもらって紙面をつくる動きもあるようだ。雑誌のコンテンツを10段で再編集して、記事下5段スペースをつくって、そのコンテンツに見合った広告主を探す。出版社に対してはその雑誌を新聞販売店で拡販する。地方では(都市部でもだが・・・)書店が次々になくなっている。コンビニはあるものの届けてはくれない。特に美容院などでは、書店が潰れて雑誌を届けてくれなくなっているので、わざわざコンビニに買いに行っているケースも多いらしい。そんな美容院店主からすれば、新聞屋さんが届けてくれるのは有難い。出版社も販路が増えていい。
 この新聞販売店の情報(情報だけでないかも)物流力が、今後の生き残りの鍵になるかもしれない。

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