ベムのコラム: 2008年10月アーカイブ

 長年広告業界の人間を(自らを含め)ずっと眺めてきた私から見ると、今のネット広告系人材が極めて優れているのは、情報の「上書き保存能力」だと思う。
 ネットの世界は、確立して久しいマス広告に比べると、はるかに多く新しい情報が発生する。しかも古い情報を改訂しなければならないことが多い。日々多くのビジネスに関わる情報が飛び交うなかで、情報を上書きしてアップデートすることが非常に大切だ。
 
 ネット広告の関係者にはブロガーが多いが、ブログは情報のアップデートにたいへん役立つ。しかも誰しもがその情報更新力を享受できる。
 
 ひと時代前なら、ブログを毎日書いているような人はいわゆるオタクで、仕事はできないと相場は決まっていた。が、今は違う。継続的にこうした作業をできる人間にこそ、仕事ができる者が多い。こうした情報武装できる人材こそ、次世代広告マンといえる

 コンピュータがいわゆるメインフレームから徐々にダウンサイジングをし始めた時、当時、主だったコンピュータ会社は、「あんなものは玩具みたいなもの」と云って、金額が大きい大型コンピュータを売りつづけた。その間に、ワークステーションなどの小型コンピュータを扱うサンマイクロシステムなどの新しいプレイヤーが参入し、その後コンピュータの世界を席巻する。
メインフレームシステムでのプログラム言語で育った人たちは、PCそしてITプロトコル、Webという流れに対応できない恐竜としてほぼ絶滅に近い。

 今、広告業界でも同じことが起きている。マス広告を売ることに収斂した職能は、新たな競合勢力に漬け込ませる余地を与えてしまった。そしてなお、サービス領域は周辺領域に広がっている。次々に新しいプレイヤーの参入が、広告ビジネス周辺に起こっている。そして一番肝心なことは、広告会社が周辺だと思っていた領域が、いつのまにかコアになってしまうということだ。

 従来の自分たちのポジションが常に真ん中だと思っていることは極めて危険である。総合広告会社の云う「クロスコミュニケーション」は、まだ本来の自分たちの領域が中心で、新しい周辺領域を加えるという発想である。
 しかし、本当にそれだけで対応できるのだろうか。
今までやってこなかった領域を中核にしたサービスを売るビジネスを用意、育成することも必要なのではないか。

 欧米のメガエージェンシーグループは持株会社として、事業会社を次々に傘下に置き、様々な機能をもつグループとして編成している。こういうスキームであれば、求められる機能が変遷しても、グループとしては時代の変化に対応できる。
 しかし日本ではどうしても本体である事業会社が(もっと云えばそこにいる人が)生き残ることだけ考える。そこに変化への対応力の構造的な差がある。

(G社Y社長との会話からヒントを得て書いたエントリーである。)

 いつも思うのだが、ネット媒体(ヤフーやMSN・・・)を雑誌や新聞のビークル(朝日新聞や週刊ポスト・・・)と同等にビークルとして考えている人が多いが、実態はかなり違う。雑誌は、そのビークルと読者が常に紐付く。ビークルを選ぶことは限りなくユーザーを選ぶことだ。しかしネットでは、掲載面単位で管理することには意味があるが、ビークル単位で管理する意味はあまりない。ヤフーに掲載することに意味があるのではなく、ヤフーの○○という掲載面ないし広告メニューに意味がある。ユーザーから見れば一連のセッションのひとつであり、閲覧しているURLに意味はあるが、送り手がサイトとして括っているURLの集合体には取り立てて意味はない。そこはプリント媒体と違う。はるかにテレビ、ラジオに近い。(番組単位に考えるか、スポットでは局単位よりはエリア単位&GRP単位)

 そこにユーザーのブラウザ別に配信する仕組みがでてきた。アドネットワークがそうであるように、個別のURLを束ねた掲載面ネットワークでは、サイトの概念を超越してしまい、むしろブラウザという配信対象に意味がでてくる。

 「行動ターゲティング」に注目が集まっている。またその議論も、ユーザー側から見ると、そんなに特定の対象者に限定されてくるのはいかがなものかという議論が結構ある。

 私の見解から云うと、行動ターゲティングなどが目指しているのは、単純に配信対象を絞り込むことばかりではない。もちろんバイイングサイドは、広告のROIを最適化したい。その意味で無駄な投下は極力避けたい。ただ「アウェアネス→レリバンシー→購入意向→購入」というプロセスがあるとして、どこに一番作用するコミュニケーションをしたいのかは、商品カテゴリーやブランドによって違うので、購買行動寸前に投下対象を限定したいブランドもあれば、アウェアネス獲得のコミュニケーションと、レリバンシー醸成のコミュニケーション、購入意向から購入への最後のプッシュなど、プロセスごとにコミュニケーション内容を最適化したいというニーズもある。
 つまり行動ターゲティングは、配信対象を絞り込むだけではなく、プロセス別にコミュニケーションを最適化するターゲティングツールである。逆にそうでないと、メディア側からすると、単価は高くなっても常に在庫の一部しか売れないことになってしまう。広告投下の価値は、ターゲティング技術とその精度によっては配信対象別に価格差はつくと思うが、需給や価格形成の主導権がかなりバイイングサイドに移ることを除けば、広告が特定の人間にしか配信されないということはないと思う。

前々回エントリーに過激に、「クリエイティブのパフォーマンスはすべて広告レスポンスによって測られるべきだ。」と書いたので、もう少し説明しようと思う。では、「広告レスポンスとは何か」だが、もちろんCTRとかVTRとかだけで考えようと云っている訳ではない。
 キーファクターはマーケティングの時間軸をどう設定するかだが、ブランディングコミュニケーションも含め、最終的にはROI管理されるのが当然の時代になるということだ。
よって、ブランディングコミュニケーションも含め、ROIに貢献した結果を「広告レスポンス」と考えている。そして、そこに一番影響力をもつのがクリエイティブだということだ。

最初のアプローチは、短期的なレスポンスのROI管理になるのはある意味いたしかかないが、短期を測りつつブランディング効果が刈り取り効率を上げる効果をし
て、どう評価できるかに進歩するだろう。

ダイレクトセールスにベタな表現は、短期的には刈り取り広告としては機能するだろうが、それだけ続けると刈り取り効率はどんどん悪化する。中長期での最適化を考えれば、ブランディング施策は必ず必要である。(これは当たり前)しかし、これをデータや理論で証明するのが難しい。あまりに変数が多い。

 昨年、シカゴで行なわれたDMA(ダイレクト・マーケティング・アソシエーション)で評判になったリチャード・ローゼン氏が提唱する「Rosen Velocity Scale」では、広告の訴求要素をブランドイメージ100%からダイレクトレスポンス100%まで10段階のグラデーションに分けて、コストパーセールスを出すモデルをつくっている。
 短期ではダイレクトレスポンス要素が高くなるが、中期長期になるとブランディング要素がほどよく表現されているものの方が、費用対効果が良くなる。
 この事例になっているブランドはゴルフクラブだったが、当然商品やサービスのカテゴリーによってこのスケールの曲線は変わってくるだろう。


 私は26年広告をやっているが、前半の13年は典型的なマスマーケティングのクライアントを担当してきた。いわゆる「ブランディング・コミュニケーション」を、しかも業界のトップブランドのクライアントさんに勉強させていただいてきた。
 当然、私はブランディングコミュニケーションを否定したりしない。今の時代だからこそより、ブランド資産を活用する方が良いと考えている。
 しかしそれはあくまでROIないしROASとして管理されるべき時代になってということだ。その意味でのクリエイティブも「広告レスポンス」という評価にさらされることを回避はできない。

 テレビCMのクリエイティブは実にハイエンドなクリエイティブである。で、これをそのままネット広告のクリエイティブに応用するとなるとどこかやはり借りてきた感が強い。

 テレビ広告が、送り手主導&アウェアネス獲得を基本とするのに対して、ネットはどちらかと云うと、受け手主導&レリバンシー醸成という感じだろうか。そうなると表現のクオリティもプロがつくるハイエンドなものでなければならないということはない。この辺は随分語られている話だと思うが、プロ仕様を敢てしない考え方がある。「広告表現はアマチュアの時代」になるかもしれない。

 随分昔、ネットでインセンティブキャンペーンをやると、不思議に「外車が当たる!」より「図書券5000円」の方が応募が多かったりすると云われたことがある。どうも身近で現実的な方が良いらしいと、変な結論で深く真相を追わなかったが、意味するところは何となく分かる気がする。

 動画もテレビ仕様より、Youtubeやニコ動の需要が圧倒した。ネット広告の表現もチープな方が良いとまでは言わないが、おそらくネット広告型のクリエイティブの流儀があるのだろう。勝手CMみたいなのは本当に面白いし、わざわざ観てしまう。

 今はまだクリエイティブというより原稿といった方がいい趣きのネット広告表現だが、リスティングのワードにあわせて広告文を書くように、一定のコンテキストでの流入向けのメッセージでつくるディスプレイ広告を量産する装置が今後必要だろう。

 さて、ちょっと前のエントリーで日本のネットマーケティングが広告レスポンス評価をクリックベースばかりでやっていると書いた。
 ポストインプレッション効果を評価しないので結果、クリエイティブによる最適化の概念も希薄になる。

 最近、atlas insutitute などで書かれている内容を見ると、流入直前のトラフィック効果だけ見るのではなく、そのユーザーがどんな広告接触の末に、バナークリックやリスティングで流入しているのかを分析することを奨励している。

 少なくとも、バナーを配信した先のブラウザを認識しておいて、企業サイトのサンキューページまで、そのブラウザが到達していれば、広告のクリックを伴なわなくても、ポストインプレッション効果として指標化する考え方は、Atlas institute.をざっとみるだけでも、もっともっと進化している。

 例えば、あるディスプレイ広告を配信したブラウザが、その広告主企業サイトをクリックを伴なわず訪問したとする。何らかの広告効果をもってサイト訪問を果たした場合、このブラウザ(=ユーザー)を大事にしなければならない。
 広告のクリックであれば、リンク先はそのブランドのページであり、LPOを駆使して最適化する発想はさすがに日本でも定着した。しかし、ポストインプレッション効果には全く対応できていない。
おそらく、このユーザーは広告を観たことで、企業サイトにアクセスしてみてくれたが、多くの場合、その企業サイトのトップページに来ているものと思われる。ところがトップページは、広告したブランドにすぐ導いてくれるわけではない。

 せっかく、広告の効果をして態度変容させて、企業サイトに訪問してもらったのに・・・である。

 この場合、特定の広告配信をしたブラウザがトップページを訪問した場合、そのブラウザ(=ユーザー)だけにはトップをダイナミックに生成して、広告したブランドをフィーチャーした内容にすることも考えられる。


 随分昔の米国ダブルクリック社のデータでも、CTRよりVTR(ビュー・スルー・レート)が2002年ごろから上回って以来、ずっとVTRの方が高いのに、日本ではクリックベースでしか広告を評価しない。

 ネットマーケティングの基本は、行動を起こしてくれたユーザーをいかに手厚くもてなすかである。入力フォームしかり。リアルな店舗で、店舗の構造が悪いとか、店員の応対が悪いとかで、怒って帰っちゃったお客さんがいたら、たいへんな問題として考えるだろうが、ネットではこうしたユーザーストレスに無頓着だったり、せっかくのアクセスに不親切だったりすることがまだまだ多い。

 誰が来客してくれるか分からない不特定多数に対して、駅前でチラシを撒くのもいいが、その金と労力がかけられるのであれば、来客したくれたユーザーをちゃんと誘導する。ちゃんと理解してもらう。ストレスなく申し込んでもらう。などのところにより神経を使うことが大事だ。

 その意味でのクリエイティブの使命は非常に大きい。

 

 


前々回のエントリーで、日本のネットマーケティングが未だ発展途上とした。その要因のひとつは、見込み客流入策に広告スペースのパフォーマンスしか見ないで、クリエイティブのパフォーマンスを活用していないことと定義した。(もうひとつはクリックベースしか測定しないで、ポストインプレッション効果を全く評価しないこと。)

あるブログに「クリエイティブは指標化しづらい」という内容が書かれていたので、私の見解を書くことにする。

クリエイティブのパフォーマンスは、広告レスポンスとして表れる。リスティングでキーワードごとの広告コピーを考えるように、ディスプレイ広告においてもコンテキスト(文脈)と表現における様々な要素に分解して、受け手が反応するエレメントを幅広く用意する。それらを実際に配信する。そして広告レスポンスの良いクリエイティブを良いクリエイティブとして、反応の良いクリエイティブに寄せて最適化を図る。クリエイティブのパフォーマンスの評価はただひとつ。「広告レスポンス」が高いかどうかだ。

従来の送り手主導の広告表現開発では、実際に広告を投下、露出する以前に評価をする。つまり送り手がいいか悪いかを評価する。当たり前だが、いろんな素材をつくる訳にはいかないからだ。
送り手主導で、生活者のアウェアネスを獲得するのは目的であればそれで良いが、生活者のレリバンシー(自分に関係があるものと意識させる)を得るには、(または興味関心が顕在化している人の背中を押す表現は)ひとつのメッセージ、コンテキスト、表現では対応できないのだと思う。

そのためには、広範囲のアプローチで、多様な表現を開発する装置が要る。
今バナーを量産しようとすると、プロダクションに発注する訳だが、おそらくこの作業に関わるのは一人か二人だ。ひとりで100種類つくるのと、100人が1種類づつつくるのでは、表現の幅は圧倒的に後者の方が広い。
ネットワークを駆使して、高いパフォーマンスを得たクリエイティブをつくったクリエーターに、その分のフィーが渡る仕組みが必要なのだと思う。

それに近い仕組みが、いろんなところで始まっているようだ。実は業界人間もこの仕組みの開発に参画しようと思っている。

この前のエントリーにトラックバックしてくれた方の文章を読んだ。たいへん評価していただいて恐縮だ。しかし第三者配信サーバーを基本トラッキング(効果測定)システムというように理解されている部分があったが、その理解はちょっと違うかもしれない。

「第三者配信サーバー」は別名「バイイングサイドサーバー」と呼ばれる。つまり広告主が使うシステムであって、媒体社が使うものと区別される。アドサーバーとしては技術的には同じだが、使用者がバイイングサイドかセリングサイドかで役割が違ってくる。
  結論から云うと、第三者配信サーバーとは、広告主(バイイングサイド)にとって最適な広告クリエイティブを最適なプレイスメントに最適なタイミングで配信するもの(オプティマイザー)である。決して効果測定システムではない。

 今から10年ほど前に、この第三者配信サーバーを世界で始めて市場にローンチしたアドナレッジ社をボストン郊外に訪ねたことがある。CEOは元南アフリカ空軍パイロットで非常に頭のキレる男だった。アドナレッジ社はその後このバイイングサイドサーバーをダブルクリックに売ってしまうことになるが、バイイングサイドが広告配信を主導するという概念を始めて実現した功績は大きい。
 その後もIBMが世界中で、DFA(Dart For Advertisers)を使って広告配信を行なうことをポリシーにしたので、日本でも当初はヤフーもタグを受け入れていた。
 
 バイイングサイドサーバーの効用は、まずアド配信をサイト(メディア)単位ではなく、キャンペーン単位でコントロールすることにある。キャンペーントータルのUUのオーバーラップも把握できるので、到達効率の最適化が可能だ。しかし最大の効用はクリエイティブの最適化のために基本広告素材の入稿が広告主主導で配信できることである。
 
 この発想の原点として、インターネットではメディア(サイト)ごとに掲載面をベースに広告配信を考えることがナンセンスだということがある。ここは従来のメディアでのビークルごとにメディアプランニングする思考と最も違うところだ。
 つまり、「どこに掲載するか」から「誰に配信するか」という考え方にシフトしていることと、広告レスポンスの高いところに自動配信して最適化を図るという発想をベースにしている。
 (だからこそ、アメリカでは第三者配信の延長としてアドネットワークが台頭したのだ。)

 最適化というポイントでは、クリエイティブとプレイスメントのマッチングをアドナレッジも最初に指摘していた。つまり、同じクリエイティブでもサイトAではCTRは高いが最終的なコンバージョンはイマイチとか、サイトBではCTRは比較的低いがポストインプレッションでの誘引が高くて、トータル(ポストクリック&ポストインプレッション)のCPAは良いということがある。この場合、ポストインプレッションが高いスペース用にクリエイティブを最適化することができる。こうしてプレイスメントとクリエイティブの最適化(マッチング)をクリック、ポストインプレッションの両面から見ることができる訳で、こうした手法でベンチマークを積み上げた欧米のネットマーケターが日本より先を行っているのは当然だろう。

 そして現状で第三者配信サーバーは、いわゆるオプティマイザーとして進化している。広告レスポンス(CTRではなく最終効果)の高い「プレイスメント」×「クリエイティブ」×「ブラウザ」(配信対象)×「配信タイミング」・・・の組み合わせを発見して配信比率を自動的に制御することで、コストパフォーマンスを最大化する。従来のPDCサイクルのように人が介在しない。今私が云っている「第三者配信サーバー」とはこのオプティマイザーである。データオリエンテッドにプリプランをつくり、実際に配信し、広告レスポンスデータ(アクチャルデータ)から最適化を図るというサイクルをつくることはネット広告のメディアプランニングシステム開発に着手し始めた今から10年前から発想していた完成形だ。


 バイイングサイドの発想では、第三者配信とは、広告主にとっての最適のアドネットワークをキャンペーンの都度形成していくものである。

 メディアが自社の掲載面への広告配信を自分でコントロールしたい気持ちは良く分かる。しかし長い目で見ると、広告主側がクリエイティブ(広告原稿)とプレイスメントをコントロールしてネット広告のパフォーマンスをあげることで、CPMを上げることはメディアにとってもいいことだと思うのだが・・・。

 ネットマーケティングにおいて本当の最適化を実践できている企業は日本ではまだまだ少ない。

 問題点はふたつあって、ひとつはコンバージョンを上げるサイトづくりのノウハウがまだ未発達であること。もうひとつは見込み客の集客(流入)戦略に、クリエイティブのパフォーマンスを上げる仕組みをいまだ持ち込めないことにある。

 ひとつめのコンバージョンを上げるサイトづくりということに関しては、まだそもそも見込み客にアクセスしてもらうマーケティングWebサイトというものに関する基本的な考え方が理解されていないことが多い。

 企業Webサイトには見込み客が「買う理由」を求めてアクセスしてくれる。一方通行のマス広告には「売る理由」を凝縮したメッセージを載せて送り込んできたが、Webサイトは、ユーザー一人ひとりの「買う理由」にすべて応えられるようにつくらなければならない。(またそれができるのがインタラクティブな装置であるWebサイトである。)
 ところが、多くの企業サイトには売る側にしか通じない用語が目につく。この発想の転換がまず出発点である。マーケティングメッセージの受け手の立場になって、見込み客が興味関心を顕在化させて、自ら購買情報を求めてくる行動に対応するマーケティング活動をもっと丁寧に(徹底して研究して、お金をかけて)するべきである。
 例えば会員獲得など入力フォームをもった企業のマーケティングWebサイトでは、情報入力のユーザビリティを良くすることで、コンバージョン率を上げることができる。というより、多くのサイトがストレスのない入力フォームをつくろうとする努力の跡があまり見受けられない。当然、入力するユーザーの立場になれば、改善すべきところがたくさんある。
 獲得型のマーケティングを展開していて、集客流入のためのネット広告、リスティング、アフィリエイトを駆使しているわりには、最終段階の顧客化作業で詰めが甘いことが多い。例えば流入策に1億円使っている企業は、流入後のサイト改善でコンバージョン率を20%上げることに成功すると、2000万円の広告支出効果を得られる。広告支出の多いマーケターほどよりコンバージョン向上にコストを使うべきだ。というより、同じ金額を使うのであれば、より顧客化直前に使うべきである。
 (まだ購買行動をとってくれるかどうか分からない人と、今購買しようと入力している人を同じレベルで扱ってはいけない。せっかく買おうと購買購買を起こしてくれている有難いお客様が入力のストレスかた脱落することをもっとクリティカルに考えて対処すべきだ。脱落の多いサイトを運営している企業は、流入にコストを裂いている場合ではない。)

 
 
 もうひとつの問題は、流入を獲得するためのネット広告のパフォーマンスを、広告スペースベースでしか測っていない点である。しかもクリックベースでポストインプレッション効果を測定していないことが大半である。(つまり集客効果の半分しか測定していない。)
実は日本のネット広告のCPMはアメリカの1/2~1/3程度にまで下がってしまった。その原因はネット広告のパフォーマンスを広告スペースにばかり負わせていて、クリエイティブによってパフォーマンスを上げようとする試みがほとんどなされないことと、集客効果をクリックベースでしか測ろうとしないことによる。
日本のネットマーケティングは、集客に偏重して、流入後のパフォーマンス管理不足であること、その集客もスペース選び、しかもクリックベースオンリーと、あまりに単純化が進んでしまったことで、おそらく顧客獲得効率は落ちているのでないだろうか。

 この発展途上状態を打開するには、ひとつに仕組みとして多様なクリエイティブを開発する装置(広告会社の体制やシステム)と第三者配信サーバーが市民権を得ることが必要だ。

 この話の詳細はまた別途・・・。

ベムのコラム: 2008年10月: 月別アーカイブ