ベムのコラムの最近のブログ記事

昔は子供も、お酒やクルマや化粧品のCMをたくさん見ていた。だから、お酒を飲める歳、免許をとれる歳、化粧を始める歳になった時に、さんざんテレビCMで見てきたブランド力が機能する。そういうものであった。

しかし、今クリティカルなのは本当にティーン以下の子供たちのテレビ接触が落ちてきていることだ。
そして、一方企業側ではブランドマネージャー制度が普及し、担当ブランドのターゲットにだけ訴求しようと懸命になる。当然、クルマやお酒や化粧品は子供相手ではないので、ターゲットされない。

このまま行くと、子供たちが相応の歳になった時に。「はい。お酒飲めますね」とか「クルマ乗れますね」とか「もうお化粧するご年齢ですね」と言って、「〇〇です。」とブランド名をコミュニケーションしても、「???」になりかねない。

もちろん広告だけがブランド力形成手段ではない。おそらくもっと商品やサービスそのものの体験がより重要だろう。

 だからブランド体験の場も含め、従来テレビCMが果たしていた若年層へのブランドコミュニケーションは何に代替させていくかを考えないといけない。

おそらく、「コンテンツ」提供や「ブランデッド・コンテンツ」制作にこの課題解決の方向感を得ることができるだろう。

そして、こうしたコンテンツによってブランドが得られるエンゲージメントの質的評価をすることが今後重要になる(これはもちろん若年層に限ったことではないが)。

センサーデータによる視聴動向と認知相関を調べていると、高齢層と若年層には明らかな違いがある。若年層はマルチな情報取得行動が可能で、周辺視野に少し入るだけでも認知したりする。一方高齢層はテレビをぼおっと見ているが感度が低くなっている。

テレビも視聴者の高齢化が顕著だから、もう高齢層相手にするしかないのでは?という意見も出てきそうだが、世帯視聴率ベースで番組制作をするだけではなく、もっと視聴者の8割がティーン~20代という番組づくりにもチャレンジしほしい。そしてそのコンテンツにネイティブなブランドコミュニケーションにもチャレンジして、強いエンゲージメントを得られるように広告主と一緒に番組とCMづくりを作ってくれるテレビ局「出てこいやぁ!」ですな・・・w。

  これはアドウィークアジアでのデジタルインテリジェンスセミナーでのコーナーテーマである。資生堂音部さんにセッションに加わっていただいて、このテーマ(「メディアのブランド化とブランドのメディア化」)設定が示された。(音部さん有難うございます!)
 ニューヨークでのアップフロント(テレビメディアがいっせいに広告主向けプレゼンテーション大会を繰り広げる)が先日行われたばかりで、今年のトレンドが、「プレミアムメディアとブランドセーフティ」・・・。

 しかし、そもそもブランドセーフティなんて、従来のテレビ局は「当たり前過ぎて言ったこともない」というだろう。

 アップフロントやニューフロントを眺めていて、日本と一番違いを感じるのが、メディアがブランド化をとっても意識していることだ。テレビ局も日本より特徴が明確だし、よりエッジを立てたメディアがある。
日本では既存マスメディアは特にテレビ場合、局の特色はそれほどない。まあ似たようなドラマ、似たようなバラエティ、(そもそもベムは思うのでが、「バラエティ」と1語で番組を語っているところも新しい番組の概念を開発できない要因である気がする。いろんなものだからバラエティという1語に括るのではなく、あえて新ジャンルを開発して定義していった方がいい。)似たような報道番組(まあ報道と言っても情報番組)・・・。
局は一生懸命自らの「局」を打ち出してはいるが、それはブランド化とは違うし、実際ブランド化できていない。

一方、カテゴリーキラーが「takes all」のネット業界では、ブランド化をやっている。(まあ、メディアでありサービス事業だからね、ブランド化しないとやっていけない・・・)

免許事業のテレビ局は本当のブランド化を考えたことがないのかもしれない。

 ベムはテレビのブランド化に関しては、例えばこう思う。
 テレビ東京はもっとWBS(ワールドビジネスサテライト)をブランド化して、デジタルメディアに留まらず、プリントメディア(雑誌「WBS」)も展開すればいいと思う。(もちろんサブスクライバー化して)すべての番組をブランド化するのは無理だし必要もないが、一定の支持が定着したコンテンツをブランド化することは、コンテンツプロバイダーとしてのテレビ局が今後チャレンジしないといけないことだろう。

 地上波の放送枠の中身としてのコンテンツ開発だけでなく、さまざまなディストリビューション手段に展開できるコンテンツをつくること、リニアなテレビ放送から視聴者の接触が多様なメディアにバラけてきている現状で、いつまでもテレビ放送枠だけを前提にしたものしか作れないとしたらクリティカルだ。(こんなこと言い飽きたことだが・・・)

 で、資生堂ブランドに、マキアージュやエリクシールというブランドラインがあるように、TBSブランドを形成するのはしっかりしたコンセプトとオーディエンスを獲得したコンテンツブランドが必要だ。こういう個性のあるコンテンツブランドをつくるのはTBSだよなって思ってもらえばいい。これを意識しないと、今はこのドラマはどの局かなんてほとんど意識していないしね。
 またドラマももう少し局別の個性があったが、今はだんだんなくなっている。視聴者には別にどこの局かなんてどうでもいいからだ。

 さて、ニューヨークのアップフロントでメディアがアピールするのはもちろんコンテンツである。広告主もコンテンツを買う。でも日本では広告主は番組枠を買う。もちろん事情は分かっている。ずっと売り手市場だったからいったんその枠を手放すと、すぐには買い戻せないから、同じ枠の番組企画変更にもスポンサーはお付き合いしないといけない。
ドラマ枠も当然コンテンツがコロコロ替わるが、さてドラマの企画変更によってオーディエンスがどう変わっているかどれだけ把握してますかね・・・。スポンサーが狙いたい視聴層でしょうか?広告主も視聴率さえ一定以上ならいいんでしょうか?
 
 テレビの視聴率って同じ10%でも中身が全然違うことがありうる。ドラマのように視聴者の8割以上の人がは放送時間のうちほぼ全時間見てくれる10%もあれば、音楽番組のように自分の見たいアーティストのところだけ10分くらい見て離れる視聴者が最も多く、入れ替わり立ち代わりいろんな視聴者が観た10%もある。また箱番組(週1回のやつ)であれば、定番客(ロイヤル視聴者)がどのくらいいるのか、(ベムは1クール13週のうち8週以上観る人をロイヤル視聴者と呼んでいるが、このロイヤル視聴者が一回でも見た人のうち何%いるかで番組定着率が違う)これも番組によってリーチとフリークエンシーの内訳が違ってくる。

 また、オーディエンスの流出流入も当然把握しておかないといけない。どんなオーディエンスが欲しいか、同じ枠でもドラマ企画を変更したらどんなオーディエンスが流出し、どんなオーディエンスが他局から流入したのか・・。こういうこと広告主もテレビ局にデータを要求したほうがいいんじゃないかな。

 ニューヨークのアップフロントから学ぶことは、テレビ局はコンテンツによるブランド化をもっと意識すべきであること・・・。「メディアのブランド化」がキーワードであることだ。

 それにしても、新たな番組企画を広告主にアピールするイベント(デジタル系ならコンテンツやオーディエンスをアピールするイベント)、日本でもやるといいよね・・・。

 アメリカではもう6~7年前から、C3、C7といったタイムシフト視聴を合算する指標があります。放送後3日後まで、または放送後7日まで入れましょうということだ。

 それがここきてなんとC35などという話が出てきた。
そのココロは、4週間分のドラマをまとめて「一気見する」からだそうだ。

 ベムも体験的に週末海外ドラマを「一気見」することが多い。面白くなると半日かけて「ハウス・オブ・カード」シーズン1全部観ちゃうとか・・。(全部画面を注視しなくてもいいので、最近吹き替えを選ぶことが多いのは「一気見」仕様といえる。長時間なのでコーヒー淹れにいきながらも音声でフォローできるからだ。)

 こういう視聴スタイルはベムのようなおじさん特有でもないだろう。特にテレビ端末で見るVOD型の番組視聴は、こうした視聴スタイルがすでにかなり広がっているだろう。スマホは隙間時間にいつでも入り込むが、テレビ画面では時間のある時に面白いコンテンツをじっくり連続して楽しみたいというわけだ。

  さて、「見逃し視聴」を取り込みたいということでスタートしたTVerが基本1週間分だけなのにはいろいろ「大人の事情」があるのは分かっている。

  しかし、どうせならこの「一気見」需要を取り込まない理由はない。
しっかりCMを見てもらえるTVerは、広告主が比較的長尺CMを試すいいチャンスになる広告枠だ。今後広告インベントリーがもっと増えてある種のターゲティング配信ができるようになると、15秒のCMより、もっと見込み客層に近い消費者へのメッセージとしのて長尺動画と位置付けてもいいだろうから、単なるアウェアネス狙いのターゲティングではなく、パーセプションフローの次のステップ狙いのコミュニケーションが長尺もので叶うかもしれない。
 ターゲティング配信できるくらいにインベントリーを増やす意味でも、「一気見」需要をとりこむべきではないだろうか。

 ベムは以前テレビ局での講演で、「『見逃し視聴』とおっしゃってますが、今の視聴者で本当に番組を「見逃した~」って思っている人はほとんどいませんからね・・。」と悪態ついてきたりしてました。テレビ局が視聴者に「あれっ?見逃しちゃったの?」という発想自体ナンセンスです。とっくの昔に編成権は視聴者のものであって、テレビ局の編成のものではありません。

 だから今の時代、小売り業がリアル店舗に客を取り戻そうとか、テレビ局がリアルタイム放送に視聴者を連れ戻そうとかいうこと自体、意味のある努力とは言えないのです。もちろんSNSで評判が広がってリアルタイム視聴が上がる例は昨今もあります。でもそれはSNSの力で寄与した関心はコンテンツに対してであって、リアルタイム視聴行動に対してではありません。もちろん放送しているのですから、その放送時間で見てもらえるようになることはありがたいことではありますが、いろんなコンテンツ視聴形態が用意できていればいいわけです。むりやり「リアルタイム視聴に」と考えずに、総体としてオーディエンスに届く、しかもセグメントされたターゲットに強く届く(またそれがレポートできる)方が価値が高いのです。

 ところでTVerではフジテレビさんはFODでのユーザー登録を促しますよね。ベムはもうあれが嫌で、そもそもTVerでCXを選びません。それに、デモグラデータを入力してもらってもほとんど意味はほとんどありません。全然アノイマス(匿名)でいいのです。
 そのユーザーがどんなコンテンツを選んでいるオーディエンスかがわかり、視聴しているコンテンツでセグメントできればいいのです。そもそも今までそれが出来てなったからです。

  ある視聴ログデータとサードパーティデータをつなげた見た事例では、50代の男性を、家に子供がいるグループ、もう独立して奥さんとふたりのグループ、単身の50代男性グループでは視聴番組がほとんど被っていません。つまり50代男性というセグメントは意味がないのです。
 M1とかF1とか、パネル数が少ないので比較的幅広い年齢区分になっていて、20歳と34歳を同じに括るとか、50以上は80過ぎまでひとくくりみたいなベムも噴飯もののデモグラセグメントでマーケティングできるんでしょうか?
 そういうデータしか取れないと思っていたから今までは仕方ないのですが、実は取りようはあるのでは?と考えてみましょう。コーヒーを1日4杯以上飲む人で括るとこの番組の視聴率は?とかね・・・。

 だから、100万人単位で、もしかすると今後は1000万人単位で視聴データが取れるかもしれないTVerにもっと視聴者をとりこむ努力が必要なのではないでしょうかね。ねえテレビ局さん。「一気見」対応しましょう。

5/31にミッドタウンで行われているAWASIA  今年はデジタルインテリジェンスも協賛してセミナー枠をもちました。


さて、このブログではこのセミナー内容をレポートします。

デジタルインテリジェンスのHPでもレポートしていますのでこちらも是非ご覧ください。

http://www.di-d.jp/?p=3413

レポートその①は、デジタルインテリジェンスNYの榮枝からのアップフロント情報からです。


テレビ局は「ブランド・セーフティー」なのは当然。目的はブランド価値を作る事

2年目となるアドバタイジング・ウィーク・アジアが六本木ミッドタウンで開催され、「動画広告からテレビCMへの予算の揺り戻し 〜米国プログラマティックTVと広告主の新策トレンド〜」のタイトルでベム+音部大輔氏(資生堂チーフマーケティングオフィサー)とニューヨークの榮枝でセッションを開催した。

http://asia.advertisingweek.com/replay/-digital-intelligence-seminar-2017-05-31-1735?lang=ja

そのセッションの一部を紹介しよう。
米国では毎年5月頃に「TVアップフロント」の呼称で、各テレビ局が(視聴者に向けてではなく)広告主とエージェンシーに向けて各チャンネルの強みや価値をプレゼンテーションを行う。昨年あたりから、YouTubeやFacebookなどでの(ビデオ)広告がブランドが意図しないコンテンツと並列で掲載されてブランド毀損を避けるため、一時キャンセル、ボイコットが起こった。これに比例するかのように昨年はアップフロントの業績が突如回復し、テレビCMへの揺り戻しが起こっている。

しかし大局を見てみれば、優良な「プレミアム」テレビコンテンツを狙って、巨大な資本が虎視眈々と狙っているのは明らかで、その規模の違いに驚かされる。図は5月20日時点での各TVコンテツに関係する企業の時価総額をビジュアル化したものだ。

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テレビへの揺り戻しの好調さを維持したい各テレビ局は、アップフロントにて「自社のオーディエンスの価値」について、「ニールセン以外」の指標を使い、各広告主・エージェンシーに視聴の質をアピールしている。

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図:アップフロント、に参加するパブリッシャー/テレビ局の一覧。

「視聴率」というメディアの購買通貨であり、広告枠の評価基準をニールセンの視聴データ。年々下がり続けるこのデータを、人びとが「テレビを見なくなった」では片付けられない。データそのものが「漏れ」があり、「不備」であることに主原因があるとするTV広告の取引を行う業界関係者が41%もいる(下図)。

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ニールセンの年齢・性別デモグラデータ(女性18―34歳等)はセグメントが大雑把すぎる上に、デジタル分散露出される視聴を取りこぼしている。

米国での広告取引は2007年頃から導入が始まったニールセンのC3/C7(生+録画3日、7日の「見逃し視聴」の総計)視聴率を頼りに、性別&年齢のデモグラをベースにしたGRPを積み上げるモデルを採用し、丸10年が経過した状態だ。現在では「イッキ見」に対応するため、C35(35日分)の数字も出す程だ。

チャンネル局はこれまでの手作業による、エクセル上でのニールセンのオーディエンス・ベースでの買付けプラニングを、自社開発のプラットフォーム上で顧客に解放し、そこで組み立てた数字を基に「ギャランティード」売りを始めた。これは今年のTVアップフロントの特徴と言える。

具体的にはチャンネル局が提供するプラニングツールにログ・インして、局が契約するサードパーティ・データによるオーディエンスのセグメントを選び、広告主が自社のファーストパーティ・データと組み合わせて「プログラマティックに」プラニングができるメニューが用意された。「年収1,000万円以上で、車購入から3年以上経過の家庭」を基に何GRPを獲得したいか、という目線でテレビCM枠のアップフロントでのコミットが出来るのだ。

中でもNBCUは広告主に対し近年話題の「ブランド・セーフティー」に関しては「基本中の基本で、当然の事」とし、「そんな低い次元よりも、広告主が本来目指すべき商品が売れてブランド価値が引き上がる事を支援するのがNBCUの役目だ」と訴える。ブランド毀損を防ぐためにYouTubeやFacebookへの出稿ボイコットした広告主への大きなメッセージだ。下の写真は「ラジオシティ・ホール」で開催された2時間にわたるNBCUのプレゼンテーションの模様。

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図はNBCUがアクセンチュアと共に調査をした自社(NBCU)のオーディエンス調査。YouTubeやFacebookでの動画広告よりも、視聴の「質」が違う事を訴えている。ブランド認知のファネル上部で対YouTubeで11.6倍、対Facebookで4.1倍。ファネル下部の購買意向に繋がる部分でも対YouTubeで2.5倍、対Facebookで1.8倍のオーディエンス・メッセージがあるとしている。

これらのデータを自前で完備し、NBCUは過去二年、アップフロントでの広告セールスの手法として「ニールセン・ギャランティード(年齢性別のみのセグメント)」の販売方法とは別に、自社開発のATP(Audience Targeting Program)を使った「オーディエンス・セグメント・ギャランティード」の方法を一部のクライアントに「お試し」提供していた。

広告主企業は自社のファーストパーティ・データと、Axiom、Experianらのサードパーティ・データを合わせて、NBCUプレミアム番組を「吟味」できる。広告主の選択は自由であるが、ニールセン計測式を使っても、ATP計測式でも「ギャランティード」売りなので、NBCUと合意した契約数値に達しない場合は、NBCU側が追加スポット等何らかの方法で補償(メイクアップ)を行う。Viewable計測はMoat(Oracleが買収)を使う。

すでに過去2年でATPを利用した広告主からの反応も良く、試した広告主の7割が利用をリピートしており、2〜3倍の上積み予算を出す企業もあるので、NBCUは6,600億円規模(60億ドル)と言われるTVアップフロントでの販売目標の約6分の1の1100億円(10億ドル)分のプレミアム枠をATP用に優先確保し、今年は「全ての」広告主に提供できる。(裏返せば、それ以外のアップフロント枠は、引き続きニールセンのC3/C7データを使う<併用する、と考えられる)

テレビ局は熱心に、自社メディアの視聴の質データを完備し、デモグラ視聴率に頼らない販売方法を開発してきた。ブランド広告主目線では、これらのデータは「プラニング」のためのデータであり、最終的には自社ブランドに対しての視聴者(消費者)行動や感情の変化に関するデータと揃えて蓄積(レビュー)が必要になる。「効く枠」、「安い枠」等の価値判断は個々の広告主(+エージェンシー)によって違うはずだ。米国のテレビ局は、そんなブランド広告主の意向に沿い、二人三脚でのデータパートナーとしての行動結果として評価できる。次はクロス・プラットフォームを含めた「新しいテレビ(ビデオ)」の独自知見の蓄積が今年の広告主の大きな課題となる。

第二弾はまた・・・。

さて、アドウィークアジアでデジタルインテリジェンスもセミナーを開催します。
ベムでもそこに向けていくつか発信します。

まずは、デジタルインテリジェンスNYからのレポート

【インハウスについて考えておく目線】


P&GがAudienceScienceの契約を終了させる件の過去経緯について、
先週のAdageの報告に続き、AdExchangerが長文報告しています。

The Ecstasy And Agony Of AudienceScience’s P&G Partnership
(AudenceScienceのP&Gとのエクスタシーな時期と、痛み分けの時期)

https://adexchanger.com/advertiser/ecstasy-agony-audiencesciences-pg-partnership/


昨年、P&Gがメディアのアカウントの大レビューを行い
Omnicomの新設データドリブン・メディアエージェンシーの
Hearts & Science(とCarat/Dentsu Aegis)に大移行した事とも
タイミング的に辻褄があいます。

この記事では
おそらく、AudienceScienceの9割のアカウント規模ではないかと予測されていますが、
AudienceScience側はこれまで一切取引が禁じられていたCPG企業との取引が
「解禁」になるので「未来は明るい」という高楊枝なコメントも登場しています。

これまでAudienceScienceはCPGとの取引が禁止されているどころか、
P&Gの扱いについてすら、公言できない縛りでした。

The captain of the football team is your boyfriend, but no one’s allowed to know.

すでに過去の話になりますが、
AudienceScienceのP&Gとの契約上は7年だったのですが、
その前身も入れると2000年頃からの付き合いになります。
(digiMine → Revenue Science → AudienceScience)

その経緯も、P&Gが社内システムHawkeyeとRight Media(Yahoo)との
ハイブリッド・マネージド・サービスを2009年に設定したときに
当時RightMediaとの取引が大きかったAudienceScienceを
RightMediaがP&G紹介する形でAudienceScienceを採用して付き合いが広がったいきさつ。。

P&Gのインハウスの必須項目は「グローバルで」運用する事。

この直近にP&Gが発表した数字は
次の5年かけて、グローバルベースで約1100億円(10億ドル)のメディア費用を削減し、
その内、約550億円(5億ドル)のエージェンシーの人件費を削減する、、と宣言しています。

コモディティー化するCPGを販売する企業なので、典型的「コストカッター」な企業です。
ベンダーの取り扱いについても、「コスト」の一部として見ているような
(ちょいと厳しい)企業風土が垣間見られます。

===
ここからは私見ですが、P&Gはこれまで
マーケティング戦略や広告の事について静かな企業だったのですが、
去年の終わり頃から、「突如として」Chief Brand OfficerのMarc Pritchard氏が
メディアに登場し、啓発的な発言をされている事が私には少々不思議に思えます。

・ANA(広告主協会)のチェアマンに就任したから、就任式としてコメントをしたから、
・ANAとしてリーダーシップを発揮する必要があったから、

等を割り引いても、なんとなく自然な感じがしませんでした。

Marc Pritchard氏はこれまで、
「透明性、Viewabilityが大事だ → 調べたら身内にもサビがあった 
→ 原因をしらべたらエージェンシーの利益モデルにも踏み込む必要がありそうだ。」

、との一連のコメントをされていたので、この部分にAudienceScience
も何らか関係していた、、と連想されます。
何らか、「透明性」の部分にお気に召さない不具合があったよう感じます。


P&Gはインハウス(という名の、ベンダーのエクスクルーシブ採用)でのデジタル買付けは
今後もNeustarとThe Trading Deskとで継続されます。
そして、
メディアエージェンシーとの付き合いはHeart & ScienceとCaratとの付き合いは変わりません。

(参考までに対抗馬であるUnileverはP&Gのインハウス化とは対照的に
WPPとがっぷり組んでMindShareを「オペレーター役」に徹する付き合いを継続しています。)

=== インハウス、、について。ここからが本題 ===
「Programmatic Buying」の名の元に
デジタルメディアのバイイング「機能」をインハウス化させるトレンドにも代わりがないでしょうし
ますます増える傾向は予想されます。

考えておきたいのは、
Data ManagementやProgrammatic Buyingのインハウス化に気をとらわれず、
今後は「クリエイティブ」や「ブランディング」の部分とを包括する体制や取り組みが
ますます増える傾向になるだろう事。そういう人材や部門が求められる事。

AudienceScienceやThe Trading Deskの事だけを切り出して、あれやこれやと
考えてもあまり意味がなく、むしろP&GがOmnicomのHeart & Scienceとの関係が要注目。

「クリエイティブな人びとにデータやメディアの事を教えるより、
データやメディアな人びとがクリエイティブの事を考える方が、近道だ」

詠み人知らずwのこの一句が象徴するように、
コンサルティング会社がクリエイティブ機能を取り込んでマーケティング領域に進出している傾向もこの事。

そして、落ち目気味だったレガシーな米国テレビ局が
「プレミアムコンテンツ」というクリエイティブを引っさげて
そのコンテンツがProgrammaticに配信される売り言葉で反撃に出ているのも同様。

この米国テレビ局の反撃キックオフが来週から始まる「TV アップフロント2017」での
一連のプレゼンテーションです。
インハウス、ではまだまだ対応しきれていない部分が「プレミアムコンテンツの制作や確保」。

データ動向と合わせて、マーケター企業がどのようにプレミアムコンテンツを
確保(契約)していくのかが注目です。


 最近、広告マーケティングコストの「デジタルシフト」が叫ばれるようになっている。ベムも基本的にはそう主張しているが、なかには安易にテレビを全く使わないという選択をするケースが垣間見れて、それには少々苦言を呈したい。

 消費者のメディア接触もデジタルシフトを起している。ベムが主張するように若年層へのテレビCMの到達効率は昔に比べて非常に悪くなっている。人口の多い高齢層の視聴時間が長く、人口の少ない若年層の視聴時間が短いから非常に偏向する。
 しかし、だからと言って簡単にテレビ広告出稿をどんどん削る(無くす)ことには賛成しない。

 デジタルの効果、テレビの効果を精緻に把握してのことならいいが、どうも安易にテレビを使用しなくてもいいと判断しているように思えて仕方ないのだ。

 この要因のひとつに、従来代理店が「テレビスポットは一定以上の投下をしないと意味がない」ということを広告主に刷り込んできたことがある。
 だから広告主側も「どうせ1000GRPくらいはやらないとだめなんでしょ?それだと億単位のキャンペーンコストがかかるし、デジタルで億かからないくらいのキャンペーン企画で行ってみます。」てな感じなんだろう。

 手売りのテレビ広告は、代理店も予算が多ければ多いほどいいので、ついつい「やるならこのくらいは・・・」と言ってきた。

しかし、そもそも「1000GRP以下は意味ない」なんてことは全くない。テレビは100GRPでも効果がある。逆にテレビスポットなどの立ち上がりの到達初速は他のどんなメディアも全く敵わない。フリークエンシーが1回だけじゃあまり効果がないのはそのとおりだが、今はそのフリーエンシーの積み上げをテレビだけでつくる時代ではないのだ。
ただテレビCMで1回でも2回でも接触させておく価値は大きいとベムは考える。

 テレビCMという広告フォーマットは長い時間をかけて視聴者に受容されてきた。CMタイムはおしっこタイムと揶揄する向きもあるがベムが把握しているCMの画面注視率はもちろん番組そのものよりは落ちるが決して低いものではない。1社提供番組などはある意味「ネイティブ化」しているのでCMの画面注視率は落ちない。
 
 

テレビ広告の出稿を大きくカットした広告主は過去にはいくつもある。
やめた直後は「な~んだ。テレビやらなくても商品は売れるじゃないか」と思うが、半年、1年経つと「なんだか動きが悪くなってるなぁ・・・」となる。やめたことはボディブローのように効いてくる。そして「やっぱりテレビをやらないとだめなのか」と再開しても、その効果が元に戻るのはやめていた期間くらいかかるものなのだ。

テレビの効果にはタイムラグがある。


 テレビには主に2つの効果があると思う。

 ひとつは即効性のある「認知」効果
 これがあるから通販もダウンロードさせたいアプリもテレビCMを出稿している。
 残存GRPという概念も基本この効果を見ている。

 そしてこの効果も間接効果としてもどう評価するかが今の課題だ。

 起点がテレビCMによる認知だが、それによってスマホで検索したり、ブランドへの興味関心が一度は顕在化する。そしてそれをデジタルがリマインドして購買行動に導いているケースもある。この場合、効果測定としてはリマインドをかけた広告の効果を100%として評価しがちだが、実際にはテレビがなければ発生していない関心だったと言える。

「購買行動に近いステージに貢献するデジタル」という考え方はいいが、そもそもそこに至る前の「認知」や「購入意向」を獲得できているのかを見ないといけない。

またエリアプロモーション展開も結構だが、そもそもマス商材にはマス認知(マススケールの認知)が要るのでは?

 とか、安直なデジタルシフト&テレビカットには突っ込みどころが満載なのである。

 そしてテレビ広告の効果のもうひとつは、ブランドコミュニケーション資産の蓄積に長い時間をかけて寄与しているということだ。

 よく精緻なマーケティング施策のROI分析をすると、当該キャンペーンをやらなくても売れた分(=ベースライン)が出てくる。これはブランド力がある企業ほど比率が高い。ブランドエクイティの要素のひとつと言い換えてもいい。
 こういう分析をすると広告主はせっかく大きなコストをかけてキャンペーンをしたのに、それで増えた売上はこんなもんかとがっかりするが、それは逆で、やらなくてもこんなに売れていることが素晴らしく、またこのキャンペーンコストは短期の売上寄与だけでなく、長期のベースラインの維持拡大に貢献しているのである。

 その部分にはやはりテレビ広告の貢献度は絶大なのである。

 ベムはデジタルシフトによるメディアのリアロケーションが専門と言ってもいいので、ひとつ大事な視点を提示しておこう。

 よく、テレビとデジタルの予算配分を何対何にすればよいのかという質問がくるが、いきなり予算配分から決まるものではない。
 テレビとデジタルは、購買プロセスのどのステージにマーケティングコストをアロケーションするかというブランドごとの課題から入らないといけない。
 それぞれのステージへの効果がテレビとデジタルで違うものであり、また同じステージに対してでも組み合わせることで新たに醸成できる効果もある。

 (またテレビはほぼ予算がプランを決める傾向にあるが、デジタルは同じ予算でも使い方は無数にある。)

 そうした上流から下流までの全体設計のなかで初めてコスト配分が決まってくるのである。

 で、テレビ×デジタルを
 
① テレビだけでは到達しづらくなっている層に対するリーチ補完としての
  「統合リーチ」の考え方
 
② ターゲット認知を補完するために、フリークエンシーバランスの悪いテレビをデジタルで補正する「ターゲットのフリークエンシーコントロール」の考え方

(昔のネット広告でのフリークエンシーコントロールは何回以上は出さないというキャップの議論だったが、それはCTRがバーンアウトするからというクリック目的のだったからで、ブランディングのためともなればターゲットには最低何回以上見せようというフリークエンシーコントロールになる。)

③ テレビCMとデジタル広告の両方に接触したことによって態度変容を起こす効果を狙う「態度変容(購入意向)醸成」の考え方

これには「ブランドの文脈」で出来ているテレビCMと「ユーザーの文脈」でつくるべきデジタル動画広告を、別素材で開発することだと思う。

この時、ベムは出来ればこれらを一緒に、またはデジタル動画からつくって行って、消費者反応データも分析した上でテレビCMを開発するというプロセスはあると思う。


 の3段階で知見を構築していくことをお薦めする。

 ベムの会社でコンサルしておりますので、お問い合わせくださいw。

 よくテレビとデジタルのアロケーションに関する相談を持ちかけられる。
予算で何対何がいいのかと問われる。

 しかし、テレビはほぼ予算がプランを決めるが、デジタルは必ずしもそうではない。デジタル広告1億円分の使い方は何通りもある。そもそも機能や役割も異なる中で、端から予算配分から入るのがどうなの?ということだ。

 ブランドによって、購買プロセスのどの部分にマーケティングコストを配分するのかが違う。またブランドによって(ターゲットによって)、テレビCMの1インプレッションとデジタル広告の1インプレッションの価値も違う。

 また、デジタルへのマーケティングコストシフトはいいが、根拠なくテレビを否定するのはいかがなものかと思う。

 テレビの本当の効果が見えていて、そう言っているのか。
 テレビの間接効果や中長期に渡るブランド力への底支え(貢献)は簡単にデジタルで得られるものでもない。
 
 やはりテレビとデジタルの本当の効果と、その相乗効果を突き詰めることが肝心だ。

 テレビCMの「リーチの初速」は絶大であり、サチるターゲットリーチをデジタルで補完させることから始め、テレビCMのフリークエンシー分布のアンバランスを補正することで認知効率を高めること、そしてクリエイティブ素材を替えて、テレビ×デジタルで被る視聴者/ネットユーザーにおける態度変容効果を最大化するところまでに施策が展開するところまでは2020年前には必須の到達点だろう。

 これは、テレビCMを制作し、テレビメディアを買い付けているマス広告宣伝部が、やらないといけないことだ。
 マス広告宣伝部がデジタルにコンプレックスを感じている場合ではない。

 企業の広告マーケティング活動は、こうしたスキルが広告主にあるかどうかで大きな差がつく。従来メディアへの投下量(広告予算)があれば、企業間の差はさほどつかなかったと言える。しかし、これからは50億の予算の企業が、100億の企業を凌駕する時代になる。
 
 2020年代のメディア環境に対応するための企業の広告マーケティング体制とは・・・。そのP・O・E、つまりP(買うべきもの)、O(企業内で所有すべきもの)、E(それによって得るべきもの)を今年中には整理し整備をスタートしなければならない。
 
 まさに、これをコンサルしているのがベムであり、デジタルインテリジェンスであります。

 広告主のみなさん

 2/28は既に満席ですが、是非デジタルインテリジェンス主宰の「デジタルマーケティング研究会」に参加され、研究会会員に・・・。

 テレビCMは長年かけて広告として許容されてきた。視聴者はCMを受け入れている。番組とCMのアテンションデータを見ても、CMは落ちるものの、総じて注視度合いに決定的な差はない。

 一方、デジタル動画広告はどうだろうか。
 
 習慣的にスキップする人をかなり多い。

 ネイティブ広告が提唱されるということは裏を返せば、エイリアン広告である要素がまだまだ拭えないからだろう。

 以前、スマホへの動画広告市場は、成長はするが、いったん踊り場が来てから2段ロケット噴射になるだろうと書いた。

 それにはスマホにユーザーの受容性の高い枠や広告フォーマットの登場が条件となる。

 そうなるとやはりコンテンツとの親和性や、コンテンツの番組化そのものへの新たな取り組みが必要だろう。
当然、ネイティブ広告の正確な理解と取り組みは必須だと思う。

「意見を聞くマーケティングから行動を把握するマーケティング」と言ったのはかれこれ10年前。行動データはネットのログデータからセンサーデータやスマホのロケーションデータに拡張する。


 かれこれ10年くらい前にベムは講演で「意見を聞くマーケティングから行動を把握するマーケティングへ」というフレーズで潮流を説明していた。
 この時、昔のグループインタビューでの経験談を話して、「消費者に意見を聞いてはいけない」という話をした記憶がある。

 そもそもグループインタビューという調査手法は「鵜呑み」に出来ない。モデレータの技術でもかなり左右される。ベムのカミさんはその昔、女性対象商品のグループインタビューのモデレータをやらせると結構な高いスキルをもっていたと(身内を褒めるのもなんだが・・・)思う。で、カミさん曰く、「インタービュールームに入ってきた時にファッションやアクセサリーや化粧などで、誰が意見をリードして、誰が迎合して自分の意見を言わないか分かる」と言っていた。
 そもそも、日本人は自己主張をすることが少なく、こういう答えをしてあげるといいのかなと慮ったりもするので、本音の引き出し方は案外難しい。

 で、ベムの経験談は、いろんな種類のテーブルウェアを評価してもらって、家で使いたいものなどを聞いたグループインタビューだったのだが、最後に「みなさんせっかくですから欲しいものをひとつづつお持ち帰りください」というと、さっきまでこれが欲しい、これを家で使いたいと言っていたものでなく、みんな普通の丸皿を持って帰ったのである。

 「行動」こそが真実である。

 そう考えていた25年以上前にはなかったインターネットが普及し、ネット上の行動をログデータという形式で把握できるようになったことを、前述の「意見を聞くマーケティングから行動を把握するマーケティングへ」と称した訳だが、ネット行動に限定されていた行動データは、リアル行動データやセンサーデータといったものに拡張されていっている。

 拙著「届くCM、届かないCM」で、テレビ画面をそのくらい注視したかというセンサーデータを使って、CMに対するアテンション(画面注視)を秒間データで取る分析手法を解説しているが、例えばこのデータは実際のテレビ視聴における視聴者の行動データと言える。

 そしてこのデータがアンケートによるCMの評価と違うことがあるのだ。

 アンケートで評価を聞くとネガティブなのに、AI値(画面注視率)は高く、こちらはある目的変数と相関している。

  そうなると、センサーデータによる視聴者行動を「打ち手」(この場合CMクリエイティブ)の最適化に使おうということになる。

  ユーザーの移動データ(スマホのロケーションデータ)にもおそらくアンケート調査では分からない「行動に表れる真実」があると思う。

  ベムは最近、こうした分析が楽しいw。

  一緒に切り口を考えて分析してくれる仲間を募集してます。

デジタルインテリジェンスNY榮枝から米国状況をレポートしてもらった。

この話の詳細は2/28のデジタルインテリジェンス主宰「デジタルマーケティング研究会」(広告主限定)で聞けます。

http://eventregist.com/e/GP7x9IUn24xT


「枠から人へ」のトレンドと、「枠から番組へ」のトレンド
「オートメーテッド・ギャランティード」の名の下に、米国で昨年から火が付いたテレビ・メディアのプログラマティック化(プライベート・オンライン取引化)が進んだが、今年は「テレビ番組視聴」の新データ指標が登場する動きがある。今年1月に日本で発表があったビデオリサーチと米ニールセンとの資本業務提携は、この米国での議論の延長線にあると考えられ、広告主各社は意味合いを掴んでおく事が必要だろう。
日本でも昨年あたりから「見逃し視聴」に関するデータの扱いがようやく注目されるようになってきたが、米国では約10年前からニールセンが提供するC3(放映から3日後までの録画視聴によるCM視聴のデータ)、C7(同7日後)という積み上げ数字がCM枠バイイング取引の通貨となっていた。しかしこのC3/C7はオンライン上でのCM+番組視聴の数字が拾いきれてなく、モバイル視聴を含めたコンテンツの分散配信に適応できていなかった。放映チャンネル局側はこの部分を加えた指標を登場を、数年待ちわびている。


■テレビ視聴数の減少の原因はNetflixやYouTubeの影響だけではない
テレビの視聴数(米国では視聴率、だけでなく視聴数を重要視する)が年々下降しているのは日米同じ。これはNetflixやYouTubeを始めとしたネット上の優良コンテンツが増え、「テレビ電波」や「ケーブルテレビ」だけが映像コンテンツでは無くなったから、が一般的な解釈だ。
しかし米国の4大チャンネル局は納得していない。彼らの考えでは「ニールセンの数字が、分散配信されている番組視聴を拾いきれて無いから数値が下がっている」、あるいは「新しいネット配信先も含めると、むしろプレミアム番組に関しては視聴者は増えているのではないか」というのが本音だ。
マルチスクリーン上でのオーディエンス・データならコムスコアやニールセン(でさえ)が、調査しているではないかと思うかもしれない。確かに「ネットに閉じた」数字は調査されているのだが、テレビ視聴の数字と足並みを揃える基準が登場していない。まさかネット上の単純インプレッション数とテレビ視聴者数は合算できないし、かと言って「1分あたりの平均視聴者」で合わせて良いのか等、技術上の難しさは想像できるだろう。さらに様々なネット上の視聴形態とテレビとの「重なり」も考慮しなければいけない。
いずれにしても基準となる土台は「これまでのテレビ視聴者数」にどう足し合わせるかであり、その意味で「新データ」はテレビ視聴データを持つニールセンが主役になる。日本ではビデオリサーチが主役になるデータであり、この背景が先の提携の意図する方向だろう。
ここで念押ししておきたい事は、現在米国で「待たれる新しい指標」というのは、「(動画)広告」の配信のカウントではなく、「テレビ番組の総露出」のカウントなのだ。上記のC3/C7の「C」はCommercialの「C」で、広告露出部分のカウントに力点を置いている。C3/C7は裏返せば番組コンテンツそのものをカウント・評価している数字ではない。プレミアム番組(コンテント)を持つチャンネル局は、自社の宝である番組そのものの価値の評価を待っているのだ。


■プレミアム番組で広告枠を減らすNBCUの場合
例えばNBCUであれば、人気番組「Saturday Night Live(SNL)」は若年層の支持が非常に厚い番組であるが、今年この番組に関しては(番組離れが起きないように)広告枠時間は30%削減させると発表している。アドレサブルにターゲティングできる「CM枠」を減らす傾向だ。その代わりNBCUの制作部がブランデッド(ネイティブ)コンテンツを特定の広告主に提供するモデルに収益をシフトさせる。
そしてNBCUは番組を自社の放映電波だけでなく、親会社のComcastのパイプ(ケーブル、ネット、OTT含む)で分散配信している。さらにNBCUは「ディストリビューション・パートナー」としてオンライン・プラットフォームであるAOL、BuzzFeed、Vox、Snapchat等とも提携関係にあり配信できる。この流通になれば「視聴者数がむしろ増えているのでは」と考えられるのは大いに理解できる。このようにNBCUの番組は、これらの分散配信露出の全ての価値を含んだ番組の「総視聴」の数字が必要になってくる。
さらにNBCUのセールスポイントは、広告主に対してプレミアム番組(前出SNL等)を「男性25-54才」のデモグラ・データを追うのではなく、「年収10万ドル以上のセダン所有者」に対して番組(コンテント)視聴数が積み上がったかどうかを検証でき、その数字に対してNBCUは「露出保障(ギャランティード)(補填)」するビジネスモデルを構築したいのだ。日本のテレビ局との事業ステージの差にも気付くだろう。


■いよいよ新C3/C7が今年稼働、しかしTotal Content Rating(TCR)はいかに。

ニールセンは前出C3/C7のネット露出を含めたクロスプラットフォームでの数値(Total Audience Measurement Platform内でのDigital in TV Ratings)に関しては米国の非営利協会のMedia Rating Council(MRC)からお墨付きがもらえ、今年から稼働予定だ。平たく言えばC3/C7の数字に「ネット数字を加算」した数字(つまりC3・C7の数字が大きくなる)が登場する。

Nielsen Receives Media Rating Council Accreditation for Its Digital TV Measurement
http://www.adweek.com/tv-video/nielsen-receives-media-rating-council-accreditation-for-its-digital-tv-ratings/

待たれるのは「番組露出」の計測(Total Content Rating:TCR)だ。TCRのネーミングのCは「コンテント=番組」のCだ。これも、今週、3月1日に「実験版(Limited)」が開始する事も決まったらしい。

Total Content Ratings Rollout, With ‘Limited’ Release on March 1
http://www.adweek.com/tv-video/nielsen-modifies-its-total-content-ratings-rollout-limited-release-march-1-175805/

「らしい」と断定していないのは、昨年12月~今年直近まで、各大手チャンネル局はこのTCRに対し「待った」をかけて騒ぎになっていたからだ。ニールセンの計測数字が「不十分」とし、良いことナシで混乱だけが生じると各チャンネル局が同じトーンの声明を出していた。


(大手チャンネル局NBCUはニールセンのTotal Content Ratings(TCR)をプライムタイム番組の評価に当てる事を書面で拒否した時の報道。Adage 2016 年12月15日)

そんな折、1月末の上記リンク記事は、「折衷案」という着地を見せたようだ。2年も延期に延期を重ねていたTCRがまたしても今年のアップフロントに間に合わないのか、というスレスレの時期での発表だ。今年のアップフロントでの大きな話題の一つは、TCRがLimited Editionということで、どのように試験運用されるのかが注目される。今年のアップフロントの状況は例えば、

・セールスの基準にTCRを採用している、と宣言するチャンネル局はないけれど、
・ニールセンはチャンネル局のTCR情報を、その局だけには公開提供する。
・同時にエージェンシーにも公開するので、エージェンシーが裏でつなげてしまえば、複数局を比較して実験利用ができるというイメージ。その中において大手エージェンシーグループのWPPやOmnicomのメディア・エージェンシーの役割は大きい。

整理したいのは、米国でのテレビ視聴に対する新指標TCRは、「クロスプラットフォームへの対応」、というよりも番組に溶け込む「ネイティブコンテンツ配信における、チャンネル局側の新事業モデルへの対応」、という側面に気づけるかどうかだ。

この動向に影響を受ける広告主は「プライムタイムに局といっしょにネイティブコンテンツを露出する大企業」という事になる(注:タイム枠の復活、ではない)。スポット買いの広告主は、引き続き広告のプログラマティック・バイイングの動向を見て行けば良いだろう。

企業メッセージを広告枠を選んで配信するのではなくてオーディエンスを選んで配信する、いわゆる「枠から人へ」の概念がある。この概念は、チャンネル局や新興パブリッシャー(Netflixを含む)が持つ「プレミアムの番組(コンテント)」に関しては、少し当てはまらない。プレミアム番組では、広告主が広告枠でコンテントを邪魔をするのではなく、あるいはそのコンテントの枠の中でターゲット別に広告メッセージを差し替える事を喜ぶものでもなく、いかに番組に溶け込むかという「枠から番組へ」の傾向が始まった。
先のスーパーボウルで言えば、レディー・ガガの「ハーフタイムショー」では300機のドローンが空を舞い、ペプシのロゴを夜空に描いたシーンを見た人も多いだろう(実際は録画合成)。インテルがあのドローンのシステム・スポンサーだ。両社は見事にハーフタイムショーのコンテンツの中に溶け込んでいる。プレミアム・コンテンツを開発するチャンネル局は、自社コンテンツの価値が広告枠の販売だけではなく、番組コンテンツそのものの中で昇華させる考えにシフトしてきているのだ。
 続報はDI. MAD MANレポートでお伝えする。

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