ベム: 2009年7月アーカイブ

 「マルチメディア2.0」というメディアに対する新しい考え方が、CNETに掲載されている。

http://news.cnet.com/8301-13641_3-10237112-44.html

従来マルチメディアというと、テキスト、音声、画像、動画などのメディア形式を複層的に扱うことを称していた。しかし、メディアの概念を、買うメディア(Paid Media)、自社メディア(Owned Media)、得られるメディア(Earned Media)の3つに分けて考えている。「買うメディア」は広告枠を買うメディアということだろうから従来の広告メディアということになる。「所有するメディア」(Owned Media)は企業にとってWebサイト、モバイルサイトとして保有するメディアということになる。「得られるメディア」(Earned Media)はソーシャルメディアを有効に機能させることを言っている。「得られる」とは信用や評判を得られるということだ。
「買うメディア」と「所有するメディア」が「得られるメディア」を増幅させて、それがまた自社メディア機能をドライブさせるという考え方で、ソーシャルメディアをマーケティング的に強く意識した発想である。
このブログでもSMO(ソーシャルメディアオプティマイゼーション)の5原則を紹介したが、企業の自社メディアのソーシャルメディア対応ももちろんのこと、買うメディアもソーシャルメディアを意識したものにしていく必要性がある。
ソーシャルメディアに持ち出せたり、ソーシャルメディアを持ち込めたりする広告である。その事例はまたの機会に集める。

 そして、3つのメディアの連携と同時に重要な視点が、テレビ画面、PC画面、携帯画面の3つのスクリーンに対応したコンテンツ開発装置の用意である。できればこの3つに対してシングルソースマルチユースで対応したい。

「3つのメディアの連携と3つのスクリーンの連携」これが次世代広告マーケティングの重要な視点である。

 従来広告コミュニケーションの強力なメディアとしてテレビや新聞の枠をその都度買ってきた企業からすると、「メディアを自社で保有する」といわれるとピンとこないかもしれない。しかし、現状大企業のWebサイトは既に十分マススケールのメディアである。企業サイトが広報サイト、ブランドサイト、キャンペーンサイトと次第にマーケティング活用されてくると、さらにメディアマーケティング事業参入のチャンスも出てくる。
 企業サイトはメディアとしての「資産」である。従来マス広告をキャンペーンの度に、賃貸で利用していたが、持ち家メディアを自在に使う時代が来た。
 メディアを借りている時代は、企業のブランド力が勝負だったが、自社でメディア事業が可能になると「ブランド力」×「メディア力」が企業のマーケティング力になる。また自社のメディア力がブランド力をドライブする構造を実現できる。

 キャンペーンごとにメディアパワーを賃貸していく「フロー」の発想から、自社メディアの資産価値を年々向上させていく「ストック」発想に切り替えることも考えてみたらいいかもしれない。
 さらに、ソーシャルメディアとの親和性を高めることで、トータルなメディア力を獲得することができそうだ。
 この件は次のエントリーで・・・。

昨日、友人のK氏と久しぶりの再会。その際の会話は、まずはキリンビールとサントリーの経営統合の話から・・・。K氏いわく「これは4社が3社になるということではなく、それ以上の影響が出る。もう日本では競争しないということ。」
 今日の新聞には「統合に高い壁」とはあるが、日本市場を考えればそうしたことはあるだろうが、海外市場が最大のテーマだから、乗り越えていくだろう。こうした勝者同士の連携は、すべての業界で「アクションを起こせない会社」に対して大きな刺激となっているに違いない。
 
 広告業界にとっては、「シュリンクする市場では競争はしない。競争しないから広告は出さないよ。」と読み取れる。もちろん経営統合だからそれぞれのブランドは残る。が、同じ資本内で今までのようにシェア・オブ・ボイスを競い合うとは思えない。
 広告業界にとって、構造的なマス広告減退に加え、日本国内市場で広告主の数が減り、それ以上の影響が出ることが予想される。この業界は本当のリストラクチャリングが必要だ。

 約100年前、「近代広告の父」と呼ばれたJohn Wanamaker(1838~1922)が有名な「広告費の半分が無駄だということは分かっている、だが問題はどの半分かが分からないことだ。」という言葉を残している。

 従来も広告の効果指標をどこに置くかによって手法は違うものの、事前、事後調査などで広告効果を評価することは可能だ。しかし、広告活動のどこが効いていて、どこが効いていないかを把握して、マーケティング投資を最適化したいという広告主の期待に沿うには、効果をマクロでみるだけでは不十分だろうと思う。
 つまり、ひとりのユーザーを捕捉して、どのような広告接触を経験して、Webではどんな行動を起こして、店頭でどういう購買行動を起こしたかを把握する必要がある。もちろん全数調査は不可能だが、統計学的に十分なサンプルで、シングルソースデータを分析することで、全体を把握することができる。
 そしてこうしたことが、Webを測定装置として活用することで実現可能になってきている。

 私は、ROI測定を3類型に分けている。
第1類型は、Web完結型でほぼビジネスのゴールに対する広告投資の最終効果を把握できるモデル。ネット通販など顧客獲得装置がネットであればこうしたことが分かる。マス広告の効果も、実施タイミングとWebでの反応を見ればほぼ把握できる。

第2類型は、リード獲得型と呼んでいるが、自動車のようにネットで販売するわけではないが、カタログ請求などをWebで行った見込み客を、リアルな営業マンに繋いで成約を獲得したらデータをフィードバックするモデルである。

第3類型は、非リード型と私が呼んでいる飲料やトイレタリー商品のようなカテゴリーだ。このようなカテゴリーでは、マス広告やリアルなプロモーションと、Webなどのデジタルな装置、そして店舗(POSデータなど)がそれぞれ独立していて、連続的な把握が難しい。

 第2類型ではセールスフォースのようなツールを使うことで、最終的なビジネスのゴールをもってマーケティングROIを把握することが可能だ。また第3類型もデジタルなツール、決済システムなどの応用で実現できる。

 アメリカ人のアクセス解析ツールのシステムベンダーの人と会話したときに、彼は日本にはモバイルや電子マネーが普及していて、データを繋げる可能性が欧米より高いと話していた。

 確かにそうである。
アメリカでは、巨大なデータを取り込んで、あらゆる傾向値を分析するシステムがどんどんできている。またWebのアクセス解析ツールに、広告の配信サーバーやセールスフォースのようなシステムもAPIで繋がれていく。

マーケティングROIを測定管理しようとする試みは、大きなうねりとなって始まったところである。