ベム: 2009年4月アーカイブ

そろそろ新卒の研修も終わって、配属になるころだと思う。
さて、広告業界の新人研修というのもかなり難しいものがある。そもそも非常に広範囲のことを教えないといけない。知識中心かスピリット中心か、知識といっても全部網羅できるはずもないので、せめてこれからどんなことを覚えなければならないか、領域マップが頭に入るようにしてやるといい。最初に体系的に整理しておいて、インプットするべきところにインプットできるようにしておくことが大事だ。
 さて、ベムはずっと「これからの広告マンは、まずデジタルスキルを身に付けてから、マス、リアルを習得する方がいい。」と言ってきた。
 まずはネット&モバイル広告、デジタルソリューションテクノロジーをしっかり吸収できる素地をつくる。なぜかというと、この領域は日々情報更新しなければならない世界であり、正確な情報キャッチアップができる「脳」にしておく必要がある。これは「刷り込み効果」のようなもので新社会人になった時の「三つ子の魂」にしつけておくことだ。

 もうひとつは、ITリテラシーを徹底的に習得することである。業務に関してシステムに入力行為をすることは当たり前で、みんながシステムに登録やデータ入力をすることで、結果全員が効率的なオペレーションができる。これを全く面倒臭く思わないようにしつけることである。

 だいたい広告マンは、「自分のスキルで仕事をしている。」というような妙な自負があって、情報システムを使うことを、システムに使われているような抵抗感を覚えるやつが多い。ただITリテラシーが低いだけなのだが・・・。未だにいるみたいだが、これ見よがしにシステム手帳を小脇に抱えている広告マンの姿は、私から見ると、「こいつは自分の仕事が自分だけでクローズしていて、情報共有ができていない。」象徴だ。今はいろんな業務サポートシステムがある。「情報共有」から「ナレッジ共有」までしっかり利用しない手はない。それらを使いこなす習慣は、早めに躾けておくにかぎる。
 
 マス広告などの従来の広告ビジネスは、その手法や開発プロセスがもう確立している。教わることが比較的楽だ。であれば、まだ確立していないために、例外的対応が多く、覚えることが本当に多いデジタル領域を、頭の柔らかいうちに鍛錬しておく方がいいのだ。
 また、デジタル領域のスキル獲得には、従来より座学やロールプレイングなどの継続的な学習プログラムが必要だ。従来、新人研修以降はほとんどがOJTで済ませていたと思うが、OJTだけではトレーナーの力量で左右されすぎる。
 新人の訓練プログラムとして「ネット広告『虎の穴』」(仮称)を始動する。(名称の別案としては「Y’s ブートキャンプ」)
 トレーナーの側もトレーニーを付けることで鍛えられる。「スキルトランスファー」はこれからの広告会社のたいへん重要なテーマだ。

 六問目以降の解答例です。

⑥アドワーズ(キーワードマッチ)とアドセンス(コンテンツマッチ)。直接的な効果はどちらが高いと思うか。その理由も記せ。

 直接的な効果が高いのは  アドワーズ(キーワードマッチ)

 理由  
興味関心が顕在化した結果としての検索行動に対してカウンターで送り込まれる広告だから

コンテンツマッチが必ずしも関心の度合いが少ないとは言えないが、閲覧しているページに特定キーワードが入っているというだけの条件で、すべてのその閲覧行動に、そのキーワードに関わる関心がユーザーに顕在化しているとまではいかないと思われる。やはり直接的な効果を問われるとすると、アドワーズ(キーワードマッチ)とするべきか。

⑦ネットユーザーの情報登録を前提にするメールマーケティングと比較して、行動ターゲティングのアドバンテージは何か。

・ユーザーによる個人情報登録まで要求しないのでハードルが低く、比較的コストがかからない。
・固定的なリストではないので、リストとしての価値の劣化がない。
   (1年前登録した人が今も興味をもっている可能性はむしろ低い。)

 一番答えて欲しい要素は、常に直近のユーザー行動にフォーカスを当てられること。固定的(スタティック)なリストは、どんどん劣化する。見込み客リストとして囲い込んであるだけで満足してしまいがちだが、個人情報をとるから見込み客リストという概念はブラウザベースのマーケティングにはない。


⑧SEOとリスティング広告の活用において、SEOに重点を置く場合、リスティング広告に重点を置く場合を、それぞれ述べよ。

◆SEOに重点を置く場合:
・中長期的にサーチから県連性の高い効果を引き込みたい場合、
・マーケティングコストがかけられない場合、
・単品系で商材の軸が変わらない場合、
・長期的マーケティング展開の場合、自然検索の方が圧倒的にパフォーマンスが良い商品カテゴリーの場合・・・

◆リスティングに広告に重点を置く場合:
・短期的にサーチからの集客効果を得値場合、
・商材が変動する、多品目に及ぶなど
・キーワードテキストの埋め込みがしにくいなど(フラッシュで視覚的表現を重視するサイトで)
・・・
この問題はいくらでも答えがある。ただ成果を最大化するにはオーガニックなSEOとリスティングを組み合わせたほうが良いのは言うまでもない。


⑨SMO(ソーシャル・メディア・オプティマイゼーション)の基本的な考え方を記せ。
 情報をリンクや引用されやすくすることによって、ソーシャルメディアにおける存在感を高めておくこと。

  SMOの5原則は以前にもここで書いてあるからご参照ください。

 今回は実験的な試みで社内でもやってみましたが、持ち回りで問題をつくらせてみんなで解答し合うようにしたいと思う。インタラクティブ広告の世界は「これ日々勉強」である。従来のアナログ広告ではあまり座学研修や検定試験などは重要視されなかったかもしれないが、デジタルは研修が大事である。まず体系的に頭の中を整理しておかないと、情報量が格段に多いのと、日々更新されるので、混乱や誤解を招きやすい。
  業界としては、インタラクティブ広告、デジタルソリューションの研修や演習が効果的にできる仕組みを考えなければいけない。これに関しては一番責任があるのは私かもしれないが。

さて、問題だけ出しておいて解答例を示さないのはいけないので、ベムが正解とした答えを公開しましょう。問題を書いた前回のエントリーでも言ったように、この問題は、これだけが正解と特定できる良い問題ではない。正解はいくつかあって、その範囲内はみな正解とした。

①経済産業省発表の「情報流通センサス」レポートによると、平成7年から平成17年までの10年間に消費情報量は○○倍に、選択可能情報量は○○○倍になっている。

消費情報量は            13倍

選択可能情報量は        410倍

選択可能情報とは、スタンバイされていてアクセスすれば取得可能な情報ということ。もちろんインターネットによってこの情報は爆発的に増加した。
実際に消費されている情報量も10年間で13倍になっており、この情報量の爆発的拡大が情報の受け手をして、その取得態度を根本的に変えてしまったといえる。

②情報量が爆発的に増えたこと予想される消費者のメディア接触態度の変化とは何か。

情報は興味関心が生じたときに、こちらから取りに行くものという意識が定着し、プッシュされてくる情報に常に耳を欹てることがなくなった。よって関心のスイッチが入るか入らないかによってあからさまな差がでるようになった。

これは、解答のひとつの方向性。あまりに情報が多いので自分にとって有益だったり、楽しめたりする情報(自分向けの情報)でないものが過大になって、すべての情報を受け取ろうとすると神経が磨り減るので、スイッチをオフにしている状態が想定される。一方、ネットによって世の中には自分の知りたいことはどこかに必ず格納されていることを認識しているので、普段はオフでも何か琴線に触れる刺激で関心が顕在化すると、能動的な情報取得行動が引き起こさせるようになった。
つまり、従来の送り手の論理で一方的に送りつける「広告情報」は、テレビが点いていても届いていないことが想定できる。

③コミュニケーションが送り手主導から受け手主導に変化していることを象徴している通信手段とは何か。その理由も記せ。

手段:メール

理由:受け手の都合に合わせて通信が行われる、受け手が送り手の時間に合わせる必要がない受け手主導の通信手段だから

これはもちろんインターネットでも正解。正解範囲の広い問題。
ここではメールと電話という通信手段との対比で、この送り手主導型から受け手主導型コミュニケーションの象徴的なものであることからメールとしている。

④世界中で書かれるブログのうち約37%が日本語で書かれているといわれる。その要因と思われることを、ふたつ記せ。

・日本人の気質として、日記の記述を好みかつ継続する傾向が強いため

・日本語のブログの多くがケータイブログである。日本のケータイネット文化がすすんでおり、ケータイのカナ入力がむしろアルファベットより記述しやすいため

前回の問題に38%と書きましたが、37%が正解でした。失礼しました。
これもまた何とでも書ける問題。
日本人の気質が本当にそうかなんて証明しようもないのにこういう解答例でたいへん恐縮ですが、ここでは特に携帯によるブログが日本語記述のブログを促進していることを書いて欲しい問題。もうひとつは何でもOK。解答者の見識とセンスしだい。

⑤ネット上で話題になっているかどうかをブログやSNSでのキーワードを探索することで調査する技術を提供している企業ないしテクノロジー名称をふたつ記せ。

これもたくさん答えがある。
もちろんテクノラティ、グーグルもそうだし、kizasi、ホットリンク、niftyやBiglobeも提供しています。

  
  後半の解答例は次回に・・・。

 ああ、それからスケダチさんからメールで、第六問の「アドワーズとアドセンスはどちらが、直接的な効果があると思われるか」という出題に対して、

「これ、もしかして、アドワーズ=検索連動型広告、アドセンス=コンテンツ連動型広告、になってませんか。アドワーズは広告主向けのサービスで、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告も、広告主向けサイドから見たらアドワーズ、です。アドセンスは媒体社がGoogleから検索結果やサイトのコンテンツの内容にあわせた広告配信を受ける仕組みのことをさします。
なので、対象者が違うので効果がどちらが高いか、という質問にはあたらないのかと思いまして。」

という貴重なご意見をいただきました。
ご指摘のとおりで、おっしゃるようにアドワーズ=検索連動、アドセンス=コンテンツ連動と解釈して、これで通じると思って出題しているのでご勘弁を・・・。

(全く私のメールに返信してこないくせに、こういう時だけ文句言ってくるやつだ。(笑)しかしこういうレスポンスはうれしいですね。どんどんご意見ください。)

社内で抜き打ちテストをしてみました。
ベムの主観でつくった問題で、「正解はこれ」と特定できにくい、検定試験としては「問題の多い」問題ではあります。
しかし、解答を見ると結構その人の実力が垣間見れるものでもありました。

せっかくなので公開します。

インタラクティブプロデューサー 研修用試験問題

名前:             

①経済産業省発表の「情報流通センサス」レポートによると、平成7年から平成17年までの10年間に消費情報量は○○倍に、選択可能情報量は○○○倍になっている。

消費情報量は            倍

選択可能情報量は          倍

②情報量が爆発的に増えたことで予想される消費者のメディア接触態度の変化とは何か。

③コミュニケーションが送り手主導から受け手主導に変化していることを象徴している通信手段とは何か。その理由も記せ。

手段:

理由:


④世界中で書かれるブログのうち約38%が日本語で書かれているといわれる。その要因と思われることを、ふたつ記せ。
1:
 
2:

           

⑤ブログやSNSで記述されているキーワードを探索することで、ネット上で話題となっている事柄やその評価を調査する技術を提供している企業ないしテクノロジー名称をふたつ記せ。
1:

2:


⑥アドワーズとアドセンスの直接的な効果はどちらが高いと思うか。その理由も記せ。

◆直接的な効果が高いのは
           
◆理由:


⑦ネットユーザーの情報登録を前提にするメールマーケティングと比較して、行動ターゲティングのアドバンテージは何か。

⑧SEOとリスティング広告の活用において、SEOに重点を置く場合、リスティング広告に重点を置く場合を、それぞれ述べよ。

◆SEOに重点を置く場合:


◆リスティングに広告に重点を置く場合:


⑨SMO(ソーシャル・メディア・オプティマイゼーション)の基本的な考え方を記せ

 ネット上で商品やサービスを売るわけではないマスマーケティングモデルであっても、Webはもちろんたいへん大きな役割を果たす。
 ただ、そこにはビジネスのゴールに直結するサイトのゴールを見つけたり、サイトのゴールとビジネスのゴールをつなぐ施策が必要である。例えばサイトで採れる情報を営業支援ツールと連携するとか・・・ネットとリアルをつなぐ連携が重要だ。

 同様に上流でもマス広告やリアルなプロモーション活動のROIをWebサイトで捕捉することが求められる。
 また、ビジネスのゴールに直結するサイトのゴールを実現できれば、その指標を最大化させるようにあらゆる広告、プロモーション活動のコストパフォーマンスを最適化すればいいわけだ。それがテレビ広告だろうと、新聞や雑誌であろうと、(もともとネット広告はサイトでROI把握ができるのだから)広告コミュニケーション活動、プロモーション活動のすべての最適化指標をサイトに求めることができるかもしれない。
 もちろんすべての商品サービスカテゴリーでこれが可能とは思わない。しかし、広告の費用対効果を測定するために、Webサイトを効果測定装置として活用する事例は今後圧倒的に増えると思われる。
 広告サービスを提供する者は、測定装置を扱う技術がないと立ち行かなくなるだろう。

 「上流のリアルメディアをサイトのゴールで測定管理し、下流でサイトのゴールをビジネスのゴールに連携する。」これが次世代型へのマーケティングリモデルのひとつのゴールである。

従来のマスマーケティングでは、メーカーを中心とした広告主は直接エンドユーザー(最終消費者)とのコミュニケーションをとりづらい状況にあって、そうであるが故にメディアと広告会社に依頼して、広告コミュニケーションの実行と、マーケティングデータの収集を行ってきた。
 ところが、インターネットの普及は、企業Webサイトを自社メディアであり、自社のマーケティング装置として機能させられる環境をつくっている。
 この状況で起こっていることは、マーケティングデータの収集や処理の考え方が変わっていくということである。自社のWebサイトというインタラクティブな装置に消費者としてのユーザーが直接アクセスしてくれるのだから、紙ベースでアンケート調査やグループインタビューで調査していた時代とはずいぶん事情が違う。

 まず、Webでのデータは「全数調査」を常にやっているようなものであることだ。またレスポンスがあったユーザーを把握できるので、レスポンスに至った効果や経路を逆引きしていけることである。
 これは従来の「顧客となってくれるであろうと推定されるターゲットの『意見』を聞くマーケティング」から、「実際に顧客化したユーザーの『行動』を分析するマーケティング」になったということである。「意見」を聞くマーケティング手法は、調査対象本人にそのつもりはなくても「ウソ」がある。私も昔はずいぶんグループインタビューなどをやったものだが、特に女性のグループインタビューなどは、意見をリードする人がでてきて、他の対象者が思っていることを話さないなど、正確な情報をとることが難しい。その人の着ているもののブランドやアクセサリーなどで被験者6人の関係値が決まったりする。意見を聞くというマーケティング手法は実に危ういのだ。

 一方、Webサイトには行動の履歴がデータ化される。行動には「うそ」がない。特に購入したという行動データによって立つマーケティングのリアリティは従来の「意見」を参考にするものとは比較にならない。

 企業マーケターにとって、今起きているこうしたマーケティングデータ取得方法の進化をしっかりものにできるかどうかは大きなテーマだ。