ブログ管理者: 2016年7月アーカイブ

久しぶりにデジタルインテリジェンスニューヨーク(榮枝代表)からのレポート抜粋です。


旧来のエージェンシーとは全く別の「新種のエージェンシー」が数多く登場した事により、依頼主(クライアント)とエージェンシーとの取引形態に変化が起こっている。

まずは「業態が違えば、それぞれにふさわしい報酬系がある」という大前提が存在する。例えばメディア扱いの無い「デジタル・エージェンシー」と、メディア・バイイングを行なう「メディア・エージェンシー」と、ECを管理しCRMのプラットフォームを走らせる「CRMエージェンシー」では報酬システムが違うのは想像つくだろう(図1はCRMエージェンシーが駆使する代表的なSaaSプラットフォーム例)。

gazo22.jpg

「コンサル系がエージェンシー業界にやってきた」とか、「M&Aが進行する」という変化の「結果」部分がこれほど溢れてしまうと、何が変化しているのか見えづらくなる。エージェンシー・ランキング表の塗り分け変化も見慣れてしまった。「エージェンシー」の呼び名も違和感を感じ始める。この変化を見極めるためにエージェンシーの(マーケティング・サービスの)「報酬は、どう課金されるのか」という切り口で整理した。


現在、エージェンシー(マーケティングサービス)に見られる報酬系の変化は下記の4つに集約される。

1)衰退したと思われたコミッション・ベースの報酬が、デジタル・エコシステムの中で復活している事

2)コスト積み上げ(Input)ベースから、バリューベース(Output)への関心移行
 (Fee-for-Serviceから、Value-Based Reimbursementへの移行)

3)インセンティブ(ボーナス)ベースのトライアルの増加

4)ビジネス結果(OUTCOME)を計測しやすいプラットフォーム・エージェンシーの登場
 (MA、SFA・CRMコンサルタント)


アクセンチュア・インタラクティブでは、
「風上のOracle and Microsoft などのmanagement software の管理・操作から
風下の end-to-end agency servicesまでを扱う」を業務領域とし、皮肉を言えば
雑誌やテレビの扱いだけは、やらないwと。

報酬は、 a rev share basis 「レベニューシェアモデル」

なので、彼らが採用「していない」報酬モデルは旧態の
「キャンペーン単位の受注」や、
「billable hours(合意された時給x時間)方式」や、
「月額リテーナー」方式でさえ、古くて使わない、と述べています。

採用するのはクライアントの「billable outcomes (ビジネスの結果)」だけに
連動するモデルを採用している。
(注:Outcomeはクライアントのビジネス結果、Outputはエージェンシーの行った事。彼らの課金モデルでOUTCOMEはキーワードです)

例えば自動車メーカーのクライアントの場合は
「何台売れたか」だけが我々の報酬に連動する報酬モデル、
( we only get paid on net new cars sold.)

と紹介しています。
MA、SFA/CRMのクラウド・ツールを扱う事が基準


この1)~4)の内容詳細は是非MADMANレポートをご購読いただきたいが、日本でも本格的なデジタルエージェンシー登場の年となっている今年、報酬体系の変化は必然かもしれない。

もう少し詳しくは引き続きこのブログでも書きます。

  「広告会社という業態を維持していていくためには、今の人材では立ち行かなくなった。」そう感じる関係者が多くなった。「業態」の維持というより、今の販売先と仕入先、つまりはポジション(立ち位置)の維持ということを言っているのかもしれない。消費者のコミュニケーション構造が変わり、クライアントの求めるものが変わった。広告主とは言うが「広告」が買いたいのではない。
 
  ベムには、マーケティングのデジタル化に関わるコンサル要請が多く来るが、このところ広告代理店の変革に関してのコンサル要請も増えている。

  そのほとんどが、今の「業態」を維持するためにはどう変革したらいいでしょうか?というものだが、「ポジション」を変えずにその会社を維持するためには人材のほとんどを入れ替える必要があり、日本ではそんなことをするより、その会社は潰して、まったく新しい会社で、新しい人材で始めるほうがずっと現実感がある。そもそも経営者がデジタル対応できない人材なのに、社員だけ「デジタル化に対応して生き残ろう」ということ自体無理があり、ずいぶん図々しい話だ。

 特にハウスエージェンシーに関しては、「知見とデータを社内に確保する」という大きなテーマを企業グループ内で実践する必要があり、本来ならデジタルマーケティングの「核」として機能することが求められる。「立ち位置」からしても、企業のインハウスマーケティングラボとして生き残るしかない。またメディアレップ型エージェンシーであれば、取引のオンライン化(プログラマティック化)の主導をしなければいけない。広告の「手売り」に限界があるのは誰が見ても明らかだ。ところが伝統的な古いタイプのハウスエージェンシーにはどうにもそうしたスキルがない。テクノロジーにもデータ分析にも弱い。
 
 さて、どうしたものか・・・。

 会社のポジションで今後もビジネスをするなら、人材を(経営者も含め)大量に入れ替えて、全く違うスキルをもつ人材を導入する。今の人材でビジネスを続けるなら、上記のような構想は新会社に任せて、既存のスキルとその競争力を最大限生かせる市場に開放する。つまり資本から離れる。そもそもその競争力もなくて、資本でだけ仕事をしていたなら、解散する。

 企業はハウスエージェンシーというものを考え直す時期だろう。

 従来型のハウスエージェンシーがない企業は逆に「インハウスマーケティングラボ」「インハウストレーディングデスク」機能、つまり企業グループ内のデータドリブンマーケティングを担う存在をイチからつくるチャンスである。
 新会社というものには、人材をハイブリッドにするチャンスがある。初めから新たなスキル開発を想定して、マーケターとデータサイエンティストをコンビにして仕事をする体制とかを組むことも出来る。

 今、食いつないでいる日々の仕事がある従来型のハウスエージェンシーをまったくスキルの異なるデータドリブンマーケティングを主導する集団に変えるのははっきり言って無理である。

 ということは、ハウスエージェンシーの生き残りだけを模索することにはほとんど意味はなく、その企業ないし企業グループのデータマーケティングをどう構想するかが先になければならない。

 規模はあまりに違いすぎるが、ウォルマートのラボはマーケティングテクノロジー会社を買収した。リテーラーは特に進んでいる。

 グループで多くの事業会社が展開している、または同じ商品カテゴリーでも多くのブランドを展開している大企業は、マーケティングラボをグループ内でPLを切り出して持つことが必然だろう。しかしそこには分析人材をどれだけ集められ、ビジネスを実践してきたマーケターとどう融合できるかのビジョンがないと成り立たない。

 「データを制する者がビジネスを制する」これは、「広告ビジネス次の10年」のサブタイトルだが、データがそのままビジネスを制するのではなく、データドリブンなマーケティング施策がビジネスを制するのである。つまりデータそのものには何の価値もなく、データをインテリジェンス化し、マーケティング施策の企画実施に反映させてこそ価値を生む。そこには今までにはないハイブリッドはスキル開発が絶対に必要である。

 新しいスキルには新しい器がふさわしい。

 「左脳でインプットして、右脳でアウトプットする」人を育成できる場としての「新会社」である。

 ベムは、新組織でも新会社でもその「器」のなかに入れるべき人材のスキルをしっかり、具体的に定義することが本当に大事だと思う。例えばデジタルインテリジェンスのコンサルではこれを非常に具体的に定義する。具体的に何ができる人がいるべきか・・・。そこが大事だ。

 デジタルインテリジェンスからGAP「グロス・アテンション・ポイント」の測定と指標化について昨日リリースした。

 テレビ画面注視率(アテンション・インデックス)をその投下CMすべてにおいて他仕上げた数値と言ったらいいだろうか。GRPと相当する注視率総計である。
 
 ベムは昨年から「視聴質」の測定や分析にトライしてきたが、極めて大きな金額が動くテレビ広告の世界を「最適化」する仕組みの構築を考えると、テレビCMの本当の効果をリアルタイムで把握して、リアルタイムの「打ち手」に繋げることに価値があると確信している。

 CMクリエイティブの「視聴質」を個別に測定、データ化して「最適化」の材料にしていこうという試みも重要だが、結局「テレビCMの本当の効果」とは、ターゲット(誰が)、タイミング(いつ:時期・曜日・時間帯)、どんなコンテンツと(どんな番組に挿入して)、どのくらい(量:GRP)というメディアプランニングの変数に、クリエイティブ力という変数を掛け算した結果である。

 「誰が」はブランド側としてはターゲットが明確でないといけないので、ここが変数として揺らいではいけないが、その他の変数を掛け合わせた結果としての「本当の効果」をリアルタイムにしかも競合ブランドのそれとの比較において、把握することの意味は大きいと思う。

 下記のグラフは、同一カテゴリーの商品の2つのブランドが、同時期にほぼ同量のGRPを投下したアクチャルGRPとそれぞれのGAPを示している。

GAP.png

 GRPが同量に関わらず、いわゆるアテンション率総量(GAP)は30%も相違がある。

 原因としては、クリエイティブ力の差が出たということになる可能性がある。

 もし、GRPは変わらないのに、GAPが落ち込んできたら、クリエイティブ素材の賞味期限が切れてきているので、素材差し替えをした方がいいということになるだろう。それも競合と比較してということも重要な要素である。

 マーケティングはある意味競合ブランドとの戦いでもある。「相手のあること」なのだ。ただ自社ブランドのキャンペーンが事前のプランどおりに執行すれば、目標が達成されるというものではない。そもそも一定以上のGRP投下を考えると、多くのブランドは適正量を超えている場合もあり、それでもやるのは競合ブランドよりサウンド量を大きくするためである。
 
 そこで競合との「戦い」ということでは、相手の状況をしっかり把握して、自社の「打ち手」を講じなければならない。「敵」を知り、「己」を知るということだ。

 相手の「山」に敢えてぶつけるのか、相手の「谷」につけ込むのか、同じ量、同じコストを使ってもどんなタイミングで投下するかは、常に「相手のあること」である以上、効果が違ってくる訳だ。

 その意味で、ダッシュボード上に自社及び競合のGRPとGAPを並べてリアルタイム把握することに大きな価値がある。

 さて、このGAPという指標、前述したように、メディアプランとクリエイティブ力の掛け算としての結果(実際の効果)と言える。

 これは、ブランド力、クリエイティブ力という広告主側の責任による結果であるので、テレビ局にギャランティさせるものではない。

 ベムは前回のブログにも書いたように、将来的には広告主がこうした実際の効果を把握しながら、適正な価格で、最適なポジションのスポット枠、番組枠を買い付けに行くという取引きが始まると思う。つまり入札応札による取引である。

 GRPが「何発打ったか」で、GAPが「何発当たったか」だとして、両方をしっかり見て「手を打つ」というのが大きなコストをテレビCMにかける広告主に求められることだろう。予算化はあるものの、実際にどこにどの程度お金をかけて、最も大きな効果を生み出すかを「運用」で行うことが今後の発想である。

 宣伝部は事業部からお金を預かって、最適なマーケティング効果にする(預かったお金をより大きな効果にする)ファンドマネージャーみたいなものである。株式を扱うファンドマネージャーは当然「損切り」をしてでも、売り買いして、最大化させる。同様に宣伝部も、「事前に最適なプランがあるのではなく、運用で最適にする」のだ。

 「運用」型の広告発注の知見とデータを社内に一回は取り込んでおかなければならない理由である。そこにデジタル広告だけでなく、テレビのデータが入るのは当然であり、GAPはそのひとつになると思う。

 詳細は、デジタルインテリジェンスにお問い合わせを。