2017年2月アーカイブ

 よくテレビとデジタルのアロケーションに関する相談を持ちかけられる。
予算で何対何がいいのかと問われる。

 しかし、テレビはほぼ予算がプランを決めるが、デジタルは必ずしもそうではない。デジタル広告1億円分の使い方は何通りもある。そもそも機能や役割も異なる中で、端から予算配分から入るのがどうなの?ということだ。

 ブランドによって、購買プロセスのどの部分にマーケティングコストを配分するのかが違う。またブランドによって(ターゲットによって)、テレビCMの1インプレッションとデジタル広告の1インプレッションの価値も違う。

 また、デジタルへのマーケティングコストシフトはいいが、根拠なくテレビを否定するのはいかがなものかと思う。

 テレビの本当の効果が見えていて、そう言っているのか。
 テレビの間接効果や中長期に渡るブランド力への底支え(貢献)は簡単にデジタルで得られるものでもない。
 
 やはりテレビとデジタルの本当の効果と、その相乗効果を突き詰めることが肝心だ。

 テレビCMの「リーチの初速」は絶大であり、サチるターゲットリーチをデジタルで補完させることから始め、テレビCMのフリークエンシー分布のアンバランスを補正することで認知効率を高めること、そしてクリエイティブ素材を替えて、テレビ×デジタルで被る視聴者/ネットユーザーにおける態度変容効果を最大化するところまでに施策が展開するところまでは2020年前には必須の到達点だろう。

 これは、テレビCMを制作し、テレビメディアを買い付けているマス広告宣伝部が、やらないといけないことだ。
 マス広告宣伝部がデジタルにコンプレックスを感じている場合ではない。

 企業の広告マーケティング活動は、こうしたスキルが広告主にあるかどうかで大きな差がつく。従来メディアへの投下量(広告予算)があれば、企業間の差はさほどつかなかったと言える。しかし、これからは50億の予算の企業が、100億の企業を凌駕する時代になる。
 
 2020年代のメディア環境に対応するための企業の広告マーケティング体制とは・・・。そのP・O・E、つまりP(買うべきもの)、O(企業内で所有すべきもの)、E(それによって得るべきもの)を今年中には整理し整備をスタートしなければならない。
 
 まさに、これをコンサルしているのがベムであり、デジタルインテリジェンスであります。

 広告主のみなさん

 2/28は既に満席ですが、是非デジタルインテリジェンス主宰の「デジタルマーケティング研究会」に参加され、研究会会員に・・・。

 テレビCMは長年かけて広告として許容されてきた。視聴者はCMを受け入れている。番組とCMのアテンションデータを見ても、CMは落ちるものの、総じて注視度合いに決定的な差はない。

 一方、デジタル動画広告はどうだろうか。
 
 習慣的にスキップする人をかなり多い。

 ネイティブ広告が提唱されるということは裏を返せば、エイリアン広告である要素がまだまだ拭えないからだろう。

 以前、スマホへの動画広告市場は、成長はするが、いったん踊り場が来てから2段ロケット噴射になるだろうと書いた。

 それにはスマホにユーザーの受容性の高い枠や広告フォーマットの登場が条件となる。

 そうなるとやはりコンテンツとの親和性や、コンテンツの番組化そのものへの新たな取り組みが必要だろう。
当然、ネイティブ広告の正確な理解と取り組みは必須だと思う。

「意見を聞くマーケティングから行動を把握するマーケティング」と言ったのはかれこれ10年前。行動データはネットのログデータからセンサーデータやスマホのロケーションデータに拡張する。


 かれこれ10年くらい前にベムは講演で「意見を聞くマーケティングから行動を把握するマーケティングへ」というフレーズで潮流を説明していた。
 この時、昔のグループインタビューでの経験談を話して、「消費者に意見を聞いてはいけない」という話をした記憶がある。

 そもそもグループインタビューという調査手法は「鵜呑み」に出来ない。モデレータの技術でもかなり左右される。ベムのカミさんはその昔、女性対象商品のグループインタビューのモデレータをやらせると結構な高いスキルをもっていたと(身内を褒めるのもなんだが・・・)思う。で、カミさん曰く、「インタービュールームに入ってきた時にファッションやアクセサリーや化粧などで、誰が意見をリードして、誰が迎合して自分の意見を言わないか分かる」と言っていた。
 そもそも、日本人は自己主張をすることが少なく、こういう答えをしてあげるといいのかなと慮ったりもするので、本音の引き出し方は案外難しい。

 で、ベムの経験談は、いろんな種類のテーブルウェアを評価してもらって、家で使いたいものなどを聞いたグループインタビューだったのだが、最後に「みなさんせっかくですから欲しいものをひとつづつお持ち帰りください」というと、さっきまでこれが欲しい、これを家で使いたいと言っていたものでなく、みんな普通の丸皿を持って帰ったのである。

 「行動」こそが真実である。

 そう考えていた25年以上前にはなかったインターネットが普及し、ネット上の行動をログデータという形式で把握できるようになったことを、前述の「意見を聞くマーケティングから行動を把握するマーケティングへ」と称した訳だが、ネット行動に限定されていた行動データは、リアル行動データやセンサーデータといったものに拡張されていっている。

 拙著「届くCM、届かないCM」で、テレビ画面をそのくらい注視したかというセンサーデータを使って、CMに対するアテンション(画面注視)を秒間データで取る分析手法を解説しているが、例えばこのデータは実際のテレビ視聴における視聴者の行動データと言える。

 そしてこのデータがアンケートによるCMの評価と違うことがあるのだ。

 アンケートで評価を聞くとネガティブなのに、AI値(画面注視率)は高く、こちらはある目的変数と相関している。

  そうなると、センサーデータによる視聴者行動を「打ち手」(この場合CMクリエイティブ)の最適化に使おうということになる。

  ユーザーの移動データ(スマホのロケーションデータ)にもおそらくアンケート調査では分からない「行動に表れる真実」があると思う。

  ベムは最近、こうした分析が楽しいw。

  一緒に切り口を考えて分析してくれる仲間を募集してます。

デジタルインテリジェンスNY榮枝から米国状況をレポートしてもらった。

この話の詳細は2/28のデジタルインテリジェンス主宰「デジタルマーケティング研究会」(広告主限定)で聞けます。

http://eventregist.com/e/GP7x9IUn24xT


「枠から人へ」のトレンドと、「枠から番組へ」のトレンド
「オートメーテッド・ギャランティード」の名の下に、米国で昨年から火が付いたテレビ・メディアのプログラマティック化(プライベート・オンライン取引化)が進んだが、今年は「テレビ番組視聴」の新データ指標が登場する動きがある。今年1月に日本で発表があったビデオリサーチと米ニールセンとの資本業務提携は、この米国での議論の延長線にあると考えられ、広告主各社は意味合いを掴んでおく事が必要だろう。
日本でも昨年あたりから「見逃し視聴」に関するデータの扱いがようやく注目されるようになってきたが、米国では約10年前からニールセンが提供するC3(放映から3日後までの録画視聴によるCM視聴のデータ)、C7(同7日後)という積み上げ数字がCM枠バイイング取引の通貨となっていた。しかしこのC3/C7はオンライン上でのCM+番組視聴の数字が拾いきれてなく、モバイル視聴を含めたコンテンツの分散配信に適応できていなかった。放映チャンネル局側はこの部分を加えた指標を登場を、数年待ちわびている。


■テレビ視聴数の減少の原因はNetflixやYouTubeの影響だけではない
テレビの視聴数(米国では視聴率、だけでなく視聴数を重要視する)が年々下降しているのは日米同じ。これはNetflixやYouTubeを始めとしたネット上の優良コンテンツが増え、「テレビ電波」や「ケーブルテレビ」だけが映像コンテンツでは無くなったから、が一般的な解釈だ。
しかし米国の4大チャンネル局は納得していない。彼らの考えでは「ニールセンの数字が、分散配信されている番組視聴を拾いきれて無いから数値が下がっている」、あるいは「新しいネット配信先も含めると、むしろプレミアム番組に関しては視聴者は増えているのではないか」というのが本音だ。
マルチスクリーン上でのオーディエンス・データならコムスコアやニールセン(でさえ)が、調査しているではないかと思うかもしれない。確かに「ネットに閉じた」数字は調査されているのだが、テレビ視聴の数字と足並みを揃える基準が登場していない。まさかネット上の単純インプレッション数とテレビ視聴者数は合算できないし、かと言って「1分あたりの平均視聴者」で合わせて良いのか等、技術上の難しさは想像できるだろう。さらに様々なネット上の視聴形態とテレビとの「重なり」も考慮しなければいけない。
いずれにしても基準となる土台は「これまでのテレビ視聴者数」にどう足し合わせるかであり、その意味で「新データ」はテレビ視聴データを持つニールセンが主役になる。日本ではビデオリサーチが主役になるデータであり、この背景が先の提携の意図する方向だろう。
ここで念押ししておきたい事は、現在米国で「待たれる新しい指標」というのは、「(動画)広告」の配信のカウントではなく、「テレビ番組の総露出」のカウントなのだ。上記のC3/C7の「C」はCommercialの「C」で、広告露出部分のカウントに力点を置いている。C3/C7は裏返せば番組コンテンツそのものをカウント・評価している数字ではない。プレミアム番組(コンテント)を持つチャンネル局は、自社の宝である番組そのものの価値の評価を待っているのだ。


■プレミアム番組で広告枠を減らすNBCUの場合
例えばNBCUであれば、人気番組「Saturday Night Live(SNL)」は若年層の支持が非常に厚い番組であるが、今年この番組に関しては(番組離れが起きないように)広告枠時間は30%削減させると発表している。アドレサブルにターゲティングできる「CM枠」を減らす傾向だ。その代わりNBCUの制作部がブランデッド(ネイティブ)コンテンツを特定の広告主に提供するモデルに収益をシフトさせる。
そしてNBCUは番組を自社の放映電波だけでなく、親会社のComcastのパイプ(ケーブル、ネット、OTT含む)で分散配信している。さらにNBCUは「ディストリビューション・パートナー」としてオンライン・プラットフォームであるAOL、BuzzFeed、Vox、Snapchat等とも提携関係にあり配信できる。この流通になれば「視聴者数がむしろ増えているのでは」と考えられるのは大いに理解できる。このようにNBCUの番組は、これらの分散配信露出の全ての価値を含んだ番組の「総視聴」の数字が必要になってくる。
さらにNBCUのセールスポイントは、広告主に対してプレミアム番組(前出SNL等)を「男性25-54才」のデモグラ・データを追うのではなく、「年収10万ドル以上のセダン所有者」に対して番組(コンテント)視聴数が積み上がったかどうかを検証でき、その数字に対してNBCUは「露出保障(ギャランティード)(補填)」するビジネスモデルを構築したいのだ。日本のテレビ局との事業ステージの差にも気付くだろう。


■いよいよ新C3/C7が今年稼働、しかしTotal Content Rating(TCR)はいかに。

ニールセンは前出C3/C7のネット露出を含めたクロスプラットフォームでの数値(Total Audience Measurement Platform内でのDigital in TV Ratings)に関しては米国の非営利協会のMedia Rating Council(MRC)からお墨付きがもらえ、今年から稼働予定だ。平たく言えばC3/C7の数字に「ネット数字を加算」した数字(つまりC3・C7の数字が大きくなる)が登場する。

Nielsen Receives Media Rating Council Accreditation for Its Digital TV Measurement
http://www.adweek.com/tv-video/nielsen-receives-media-rating-council-accreditation-for-its-digital-tv-ratings/

待たれるのは「番組露出」の計測(Total Content Rating:TCR)だ。TCRのネーミングのCは「コンテント=番組」のCだ。これも、今週、3月1日に「実験版(Limited)」が開始する事も決まったらしい。

Total Content Ratings Rollout, With ‘Limited’ Release on March 1
http://www.adweek.com/tv-video/nielsen-modifies-its-total-content-ratings-rollout-limited-release-march-1-175805/

「らしい」と断定していないのは、昨年12月~今年直近まで、各大手チャンネル局はこのTCRに対し「待った」をかけて騒ぎになっていたからだ。ニールセンの計測数字が「不十分」とし、良いことナシで混乱だけが生じると各チャンネル局が同じトーンの声明を出していた。


(大手チャンネル局NBCUはニールセンのTotal Content Ratings(TCR)をプライムタイム番組の評価に当てる事を書面で拒否した時の報道。Adage 2016 年12月15日)

そんな折、1月末の上記リンク記事は、「折衷案」という着地を見せたようだ。2年も延期に延期を重ねていたTCRがまたしても今年のアップフロントに間に合わないのか、というスレスレの時期での発表だ。今年のアップフロントでの大きな話題の一つは、TCRがLimited Editionということで、どのように試験運用されるのかが注目される。今年のアップフロントの状況は例えば、

・セールスの基準にTCRを採用している、と宣言するチャンネル局はないけれど、
・ニールセンはチャンネル局のTCR情報を、その局だけには公開提供する。
・同時にエージェンシーにも公開するので、エージェンシーが裏でつなげてしまえば、複数局を比較して実験利用ができるというイメージ。その中において大手エージェンシーグループのWPPやOmnicomのメディア・エージェンシーの役割は大きい。

整理したいのは、米国でのテレビ視聴に対する新指標TCRは、「クロスプラットフォームへの対応」、というよりも番組に溶け込む「ネイティブコンテンツ配信における、チャンネル局側の新事業モデルへの対応」、という側面に気づけるかどうかだ。

この動向に影響を受ける広告主は「プライムタイムに局といっしょにネイティブコンテンツを露出する大企業」という事になる(注:タイム枠の復活、ではない)。スポット買いの広告主は、引き続き広告のプログラマティック・バイイングの動向を見て行けば良いだろう。

企業メッセージを広告枠を選んで配信するのではなくてオーディエンスを選んで配信する、いわゆる「枠から人へ」の概念がある。この概念は、チャンネル局や新興パブリッシャー(Netflixを含む)が持つ「プレミアムの番組(コンテント)」に関しては、少し当てはまらない。プレミアム番組では、広告主が広告枠でコンテントを邪魔をするのではなく、あるいはそのコンテントの枠の中でターゲット別に広告メッセージを差し替える事を喜ぶものでもなく、いかに番組に溶け込むかという「枠から番組へ」の傾向が始まった。
先のスーパーボウルで言えば、レディー・ガガの「ハーフタイムショー」では300機のドローンが空を舞い、ペプシのロゴを夜空に描いたシーンを見た人も多いだろう(実際は録画合成)。インテルがあのドローンのシステム・スポンサーだ。両社は見事にハーフタイムショーのコンテンツの中に溶け込んでいる。プレミアム・コンテンツを開発するチャンネル局は、自社コンテンツの価値が広告枠の販売だけではなく、番組コンテンツそのものの中で昇華させる考えにシフトしてきているのだ。
 続報はDI. MAD MANレポートでお伝えする。

  「枠から人へ」というワードはずいぶんいろんなところで使っていただいたようだが、DSP/RTBを象徴する概念だったのは間違いなかった。ただ、プログラマティックの進化は一方で、掲載面の質を問うことを怠ってしまった。
クッキーやIDをターゲティングする配信なので、ターゲットの出現率を高めるために掲載面は基本どんなものでも良いという感覚で掲載面網羅が進んだ。結果、とりあえず検索からビューを獲得できるならと他人のコンテンツをコピペするキュレーションメディアなどというものも誕生させた。質が悪くても1ページビューは1ページビューという「広告」の本質論からは受け入れがたい方向に行ってしまったと思う。


さて、昨年問題になったいくつかの事象は、ネット広告における「掲載面」の再評価と良質な一次コンテンツをつくるパブリッシャーがマネタイズできないと結局損するのはユーザーであることを再認識させたと思う。

「べき論」だけで言っている訳ではない。「枠から人へ」は、新たな「枠」志向にシフトする。
手売り対象だった純広枠と、プログラマティックなオンライン入札対象枠は、さらに再編と再整備が進むだろう。あらゆる掲載面に繋げたRTBだけではなく、ホワイトリスト化やオートメイテッドギャランティードや本格的なPMPもその価値を追求されるだろう。また、過度なリタゲによるブランド毀損も考慮されるだろう。

広告主も今後「質」を問う。ビューアビリティやアドフラウドの課題も検証されることになるはずだ。

新たな「枠」の概念は、プログラマティクの優位を生かしつつも掲載面の質をいかに担保し再構成するかという考え方になる。
ターゲティングは、コンテンツによるターゲティング、オーディエンスデータによるターゲティング、タイミングのターゲティング、などブランド側からその効果的な配信設計が必要になる。広告主はしっかり勉強して、セルサイドからのターゲティング提案を受けるだけではだめだ。

2020年代にはデジタル広告がテレビ広告を超えるだろう。


デジタルと従来のマス広告との構造的な違いを理解し、買う側が次世代のデジタル広告「枠」はどうあるべきかを主張しないといけないし、それにセルサイドも真摯に対応しなければならない。

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