エージェンシーランキングから趨勢をみる。

少しばかり話題にするのが遅れたが、昨年のエージェンシーランキングをアドエイジ誌が発表している。
 トップ20位までを抽出すると、(見にくい表で申し訳ない。一番右の数字が前年比伸長率%なので、ここを見てください。)

AGENCY HEADQUARTER 2012 2011 %CHG
1 WPP London 16,459 16,053 2.5
2 Omnicom Group New York 14,219 13,875 2.5
3 Publicis Groupe Paris 8,494 8,086 5
4 Interpublic Group New York 6,956 7,015 -0.8
5 Dentsu inc, Tokyo 6,390 5,951 7.4
6 Havas Puteaux 2,287 2,291 -0.2
7 Hakuhodo DY Tokyo 2,184 1,934 12.9
8 Epsilon Irving,Texas 1,223 1,146 6.7
9 MDC New York 1,071 940 13.9
10 Experian MS New York 947 791 19.7
11 Acxiom Little Rock, Ark 823 819 0.6
12 Sapient Corp Boston 772 686 12.6
13 IBM Interactive Chicago 717 439 63.3
14 DJE Holdings Chicago 690 629 9.7
15 Cheil Worldwide Seoul 597 461 29.7
16 ADK Tokyo 580 580 -0.1
17 Aimia Montreal 486 574 -15.3
18 Media Consulta Berlin 481 460 4.6
19 Groupo ABC San Paulo 402 448 -10.3
20 inVentiv Health New York 388 363 6.9
出典:アドエイジ誌

 注目なのは前年比の伸長率だ。
前年比63.3%という驚愕の伸長を果たしているのが、IBM Interactiveだ。前のエントリーで「広告代理店対システムインテグレーター」と書いたが、融合モデルが次世代エージェンシーであり、テクノロジーエージェンシーというかたちが有望なことを物語っていると思う。同様にExperin Marketing Service も20%近い伸びだ。Experianのマーケティングサービス部門のこの会社がエージェンシーランキングに入っていることはある意味アドエイジの見識でもある。Experianは米国の一般人の理解では「個人のファイナンシャルスコアを算出する会社」=銀行や、ローンや、クレジットカードの利用状況を把握し、スコア化して、ローンの利率や査定に役立てるデータを出す3強の一つだ。こういう会社のマーケティング会社が遠慮なくどんどん伸びてる。ベムはデータ活用推進派だが、この手のデータがどこまで使われてるんだろうと脅威に感じないわけではない。

次に注目は、韓国のチェイルワールドワイド。サムスンのAEだからこの伸長率も納得。(サムスンは世界一の広告出稿社になったようだ。)
一昨年秋、ベムはソウルに招かれてチェイルのデジタルマーケテイングリーダーズカンファレンスで、基調講演をやってきた。2000名弱の社員の内800名以上が海外だと言っていたから、正真正銘ワールドワイドなエージェンシー。キム会長は日本語もペラペラ。全部日本語でお迎えいただいて恐縮した。
とにかく勢いがある。一気にADKが抜かれちゃったね。

また出身はカナダのMDCグループ。最も早く自社システムでエージェンシートレーディングデスクを立ち上げたグループである。経営にこうした先見性と機動力があることが奏功しているのだろう。

 さて、話を5大メガエージェンシーグループに移すと、一昔前に比べてるとインターパブリックの不振が目につく。WPP、オムニコム、インターパブリックの3大メガエージェンシーだったはずなのに、ピュブリシスに抜かれてんだね。
電通は単独では今も世界一だし、Aegisの買収で完全にグローバル・メガエージェンシーになった。実態はそうじゃないという意見もあるが、
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/fukabori/2012092000008.html
 ベムはそうは思わない。2位以下とは次元の違うグローバル化を果たしていると思う。電通アメリカの動きなど見ていると今までと全然違う。

 ところで国際会計基準だと、エージェンシーの売上げとは日本でいうところの売上げ総利益だ。Gross Incomeってやつだ。電通さんも国際会計基準にするという記事もでてましたな。日本でいう売上げつまり扱い高はBillingというのかな?WPPだとおそらく日本の広告費より多いんじゃないかな。ただ海外ではBilling(扱い高)はほとんど意味がない。
 日本で扱い高にこだわるのは、メディアの扱い高シェアが問題だからだ。営業部門からすれば本来は総利益がすべてだが、仕入れ部門からすると、仕入れ額がそのエージェンシーの仕入力の指標だから扱い高主義になる。だが、もうそういう時代じゃなくなるだろう。日本の広告代理店というところは、従来、経営陣でもBSどころかPLもろくに読めないのが多い。人件費が何にどれだけかかっているか管理できていないので、総利益まででしか評価できていないケースもまだある。まあ経営が前時代的なんですな。営業利益ベースで管理できないようでは経営などできない。逆に言うと、昔はよくあんなどんぶり勘定で経営できたもんだなと感心する。

 ところで、WPPって何の略か知ってますか?と先日のセミナーでも受講者に訊いてみた。まあ有名な話だから広告関係者はほとんど知ってるでしょうが、Wire Plastic Products なんですな。ワイヤーとプラスチックを扱って籠かなんか作ってた会社の法人株を買って、持ち株会社にしたわけです。ベムはアサツー出身なので、BBDOと提携した時とWPPと提携した時の違いを体験的に言うと、BBDOは広告会社なので、マーケティングのフィロソフィーやメソッドを教えてくれた会社だ。マーケティング部門に心理学博士がゴロゴロいるのでビックリしたのを憶えている。BBDOウエストのLAオフィスとCM制作した時はハリウッドクリエータを自在に駆使できるそのクリエイティブ開発力には脱帽だった。
 一方、WPPはホールディング会社なので、そういうクリエイティブやマーケティング手法での具体的な連携がそんなにあるわけではないように思う。グループのJWTやOMも競合会社だしね・・・。日本以外ならグループのリソースはもっとうまく使えるだろうが、そこは日本の特殊事情がいろいろあって・・。

 
 アドエイジ誌のランキングにどんな会社が入ってくるかは、その時代の趨勢を反映している。そもそもアドエイジがエージェンシーとしてどんな会社をランキングに入れるかからしてそうだ。IBM Interactive や、Experian Marketing Serviceがこのランキングに入っているところに意味がある。
 ベムは日本国内で競合する広告代理店同志で合弁会社をつくるということをやってみた。しかし、これからはシュリンクする広告業界内でシェイクハンドすることはもうあまり意味はないだろう。いかに業界の外のプレイヤーと組めるかという視点が大事だ。

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