2011年9月アーカイブ

 ツイッターが始める新しい広告には、コスト・パー・エンゲージメントという概念が登場する。いわく、リツイートやフェイヴァリットなどを獲得あたりいくらという課金モデルだ。コスト・パー・フォロー(つまりフォロワー1件あたりいくら)というのもある。
 
 昨日、Web研フォーラムでモデレータをさせてもらって、私の最新の情報をキャッチアップさせてもらった。
 ツイッターは、リアルタイムに伝播するインタレストグラフを使うターゲティング広告になる。一方、ミクシィは、ソーシャルグラフを活用するターゲティング広告となるかと思う。

 「ソーシャルグラフ×インタレストグラフ」を活用するということだ。


 ネット広告にもいわゆる「ブランディング効果」がある。あるがその効果を可視化しないと、その効果は課金対象にしにくい。
 私は昔から「ブランディング効果とは、マーケティングの時間軸を長くとった時の態度変容効果として捉えるもの」と考えている。タイムスパンの問題で、即刈り取れなくても、種まいて、最終的に購買行動に至れば、効果があったとされるのである。一定以上の絶対量を刈り取るためには、タイムスパンを中期、長期に設定して顧客化までのプロセスをじっくり、肥料、種まきから、水やり、雑草などの草刈り、などしていく根気が必要である。
刈り取りと育成、購入経験者のロイヤルティ化などをどう設計するか、どういう施策バランス、予算配分でするかは簡単ではない。

 それはさておき、やはりネット広告では、その効果はトラッキングされ、可視化されないと課金できないという宿命を負っているようだ。
 ただ、日本のCPMが米国の1/3とかになっているのが、買い手市場のなかで、基本CPAをクリックベースで逆算したCPMにディスカウントさせられてきた(いわば、メディアがブランド力をギャランティさせられてきた)結果である。
 CPCであっても、ビッティングされて価格が決まるのであれば、それはそれで市場原理によるものである。

 いずれにしても、「あるはずの効果(ブラックボックス)ではなく、効果は可視化されてはじめて課金されるが、価格は受給関係で決まる」という割り切りに、むしろ潔さがあるやもしれない。

  前のエントリーの「フリークエンシーの意味が変わる」は、ちょっと議論を端折ったので、分かりにくい話になったかもしれない。

 私が日本で最初のインターネット広告に関する書籍「最新ネット広告ソリューション」(2000年日経BP刊)を書いた時に、CTRが表すパフォーマンスの意味について解説を加えた。(ここではその詳細は省くが・・・)

 しかし、今や「枠」から「配信先」へということでは、クリック数をインプレッション数で割った値=CTRは、適切な意味を持つか少し怪しい。

 何故ならば、配信先を特定できる広告配信(オーディエンスターゲティング)のパフォーマンス指標は、反応したブラウザ数を配信したブラウザ数で割った値であるからだ。反応というのはクリックとビュースルーを足して計算できれば、クリックだけよりはもっといいかもしれないが・・・
 
 そうすると、反応を予測したブラウザには、反応するクリエイティブを反応するまで、ないし反応するクリエイティブ展開で配信しましょうということになり、同一のクリエイティブを見せる頻度を意味したフリークエンシーの意味が、変わってしまうわけだ。

 さて、配信先を主体に考えてクリエイティブ(配信する広告)の最適化を志向するのは、実はメディア側(あるいはアドネットワーク側)だったりする。反応するブラウザに反応する「広告」を最適化すれば収入が最大化できるのはメディアだからだ。一方本来なら、広告主側はクリエイティブに様々なパターンをつくって配信の最適化はもちろん出来るが、それも限度がある。特定のブランドを広告する側は、配信先を特定できることを前提に、飛んでいく「広告」の反応が最大化できるように、クッキー、掲載面、配信タイミング、クリエイティブほか様々なファクターをオプティマイズするということになる。実はこの両方を行うことで、ネット広告全体の効果効率を上げる仕組みになる可能性があるのが、DSP、SSP、RTBという一連の新しい仕組みである。

理屈でいえば、効果が上がり、単価が上がって、市場は大きくなる。


 従来ネット広告をどう売るか、特にブランディング目的のナショナルクライアントにネット広告をどう活用してもらうかに腐心してきた我々は、ネット広告(ディスプレイ広告)のインプレッション効果について、いろんな調査をしてきた。

 そこにはテレビと同じ論理で売れれば、マス広告中心の発想をしてきたナショナルクライアントの宣伝部さんにもご理解を賜るのではないか、またテレビとの組み合わせで売れるのではないかとか考えたものだ。

 そのため、インプレッション数をGRPに見たてて、フリークエンシー×ユニークリーチ(ブラウザ数)として、広告認知率の獲得のために必要なインプレッション数や適正フリークエンシーなるものを提言したりした。

 さて、そもそも適正フリークエンシーって何だろう?
広告認知獲得のコストパーフォーマンスの最も良い、または反応値が最も高くなる平均フリークエンシーってことだよね。全体の平均値では・・・ということだ。でもこれ、やっぱり「枠」発想だ。本当は一人一人に適正フリークエンシーがあるのだね。
テレビでは、適正フリークエンシーなる数値があっても、全員がそのフリークエンシーになるように、そしてそのために最適なクリエイティブ展開になるように配信できない。フリークエンシーキャップすら出来ない。

 配信先を特定する広告では、このフリークエンシーとフリークエンシーごとの配信クリエイティブをクッキーごとにコントロールできる。要は反応する人を見つけて、反応するまで、ないし反応するようにクリエイティブをシリーズ化するなりすれば良いわけだ。


CPC計算は「クリック数割るインプレッション数」だけど、「誘導できたブラウザ数」と考えると、CTRが0.0*%でCPMが**円という昨今、広告でヴィジットしてくれるなら、フリークエンシーが別に40回だろうが50回だろうが全然ペイする。

テレビでは、配信する相手を特定化できない。ネット広告はそれが出来る。そして反応を手繰り寄せることはできる。配信先を最適化するという作業のなかでは、広告に対する反応を学習し、同じようなクラスターの配信先には、反応するメッセージ要素に最適化(メッセージ要素の展開順やシリーズ化)できる。つまりフリークエンシーとはメッセージ展開要素のひとつになる。(同じクリエイティブしか配信できないときの「フリークエンシー」とは意味が変わっちゃうのね。)

 「オーディエンスターゲティング」という考え方と、「反応を予測し、また実際の反応を学習する広告の配信最適化」を知ること。

何度もいうが、「反応する人がターゲット」なのだ。フリークエンシーをコントロールできない時代の、また同じクリエイティブの視聴頻度という意味しかない時代の適正フリークエンシー(結果論としての)とは、意味の違うフリークエンシー論が出てくるだろう。

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