「枠」売りに関する考察 その3

今日は、田端さんといろんな会話をしてインスパイアされたので、教えてもらった情報も材料に枠売りと次世代バイイングシステムないし最適化配信に関する考え方を書いてみたい。

前々回のこのブログのエントリーに関して、尊敬する業界の先輩から下記の意見をもらった。別に反論という訳ではないが、私の理解にはもう少し違う角度からの見方があるので書いてみる。

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DSPに関してはデータ活用により、ROI向上には資すると思いますが、メディアサイドはコンテンツ力等で培ったプラチナアド枠はやはり付加価値をつけた売り方をすべき、このコンテンツ評価はソーシャルで高まります。ここを高めたアドを僕はもっと追求したい。

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おっしゃることは、
これは全くその通りです。
そのとおりですが、コンテンツに価値が認められても、今はなかなか単価を上げる術が見当たらないのが本当のところではないでしょうか?

どうして、日本のネット広告のimp単価はアメリカの1/3とかなのでしょうか?

コンテンツ価値の高い掲載面を高く売る努力はどんどんすべきです。

しかしながら、一方で日本のネット広告の価格形成は、CPCやCPAが見合うか(つまりメディアがどのくらいブランド力をギャランティしてくれるか)、それを尺度に「定価をどのくらいディスカウントするか」にはまっているのです。
また、獲得系ではないブランディング広告主にしても、しっかりしたKPIを設定していないか、設定してもコンバージョン単価が見合わないということになっているのでしょう。こういった広告主のKPIは施策とKPIが表裏一体にあるので、プランニングされた施策によってKPI設定は変わるので評価が難しくなってしまい、そもそもそのKPIが高いか低いかさえ評価できなくなることがあります。

いずれにしても、ネット広告は、直接間接を問わず、効果をトラックできる構造にあることで、測定可能な範囲を効果とされる宿命を負っています。

その意味で、どうしても買い手市場になる性格を帯びています。有限な「枠」でないことももちろん売り手市場にしにくい大きな原因です。
そういう意味では、
買い手市場なのに売り手が定価をつけて売るからディスカウントさせられるのですな。

ネット広告のブランディング効果については、それを測る別の手法が必要です。シングルソースでディスプレイの認知効果ほかをトラックするしかない。まあやろうと思えば出来るけど・・・。でもせっかく効果の測定できる範囲だけで買えるいいペイドメディアがでてきたのに、バイサイドはそうやすやすとブランディング効果なんて認めてはくれません。テレビで懲りてるんです。

さて、セルサイドに立って考えるとする。
枠ものを高い付加価値で売ろうと必死になります。でもそれには営業マンコストや、枠を売ったあとの、掲載や、レポーティングのオペレーションコストがかかります。実を言うと、アドネットワークでそういうコストがかからないで売れちゃったほうが収益がいい場合もあります。メディアの営業部長としては営業マンのモラールや自分の存在意義を考えれば、枠をセルサイドの理屈で売ることが使命ではあります。しかし、媒体社の経営者にとっては、PVの売上利益の最大化が成されることがいいのです。
もちろんバイイングサイドの理屈でおいしいところだけ買われるのは適わんということはあるでしょうが、掲載面のコンテンツに自信があるのなら、こういうことがあります。つまり、DSPが配信効果の最適化を図るプログラムで動く時、もちろん最適な配信先(クッキー)ということもあるでしょうが、掲載面の質によってレスポンスが最適化されるという要素は実に大きいのです。
 実は掲載面のコンテンツの質が高く、良質であれば、セルサイドの理屈で「枠」にしようが、DSPでバイイングされようが、掲載面の収益最大化については変らないのではないかというのが、私の解釈です。
 むしろ定価をつけて売っていることで、買い手の論理で、ブランド力をギャランティさせられて、ディスカウントさせられるより、株価形成と同じ理屈で、そもそも定価というものがなく、基本受給関係と良質なクッキーが来るかどうかで価格形成される仕組みの方がセルサイドにとって優位になる可能性があると思います。いいコンテンツには良いクッキーが集まり、「買い」が集まるからです。

前回、従前にターゲティングするのはナンセンスで、反応(レスポンス)する人がターゲットだと書きました。もちろんレスポンスという行動を起こすまでに至らないが、その期待値が高い人たちにメッセージを送りたいのが広告でもあります。そういう意味では、レスポンスデータを使って、レスポンスしやすい人(すなわちターゲット)を探索するのが、レスポンスデータによる予測モデルであり、新たな考え方のターゲティング技術なのです。これは人間業ではできません。
送り手の広告主、代理店が、「こういう人がターゲットでは」とか「こういう人がターゲットであって欲しい」とかいう少人数の頭で考えて想定するターゲティングというものに疑問をもつことができるか、ある意味で自分自身の存在意味を問われることなので、結構たいへんなことです。
 しかし、おそらくこの流れは止めることはできません。
 

コンテンツ評価はソーシャルで高まることは事実ですが、であればソーシャルグラフを活用したターゲティングが先に機能します。
つまり掲載面のコンテンツ評価は、配信の最適化システムのなかでおそらく最重要ファクターとして機能するので、ソーシャルで評価が高まったコンテンツの掲載面を配信対象として選ぶのもまた、DSPだったりするのです。そしていい掲載面は良い配信として高い価格でとりひきされることになります。


そうなっていくと、「枠」にして手売りする必然性はどこかで崩れるのです。ビッティングというのはセルサイドとバイサイドが折り合うポイントということなので、両方の最適化がなされるとすると、それ以上の売り買いのあり方はありません。
一方やはりセルサイドの理屈で設定された広告メニューを「手売り」する限り、両者がともに折り合うことは難しいのではないかと思うのです。つまり将来は「枠」は「DSPで買うよりコストパフォーマンスが良いですよ」という「福袋」になりかねないのです。

それでも手売りのプラチナ枠は生き残るとは思います。私もそうあって欲しいとは思います。

ただ、プロの作り手による良質なコンテンツが、プラチナ枠として売れるには、今後もプロのコンテンツクリエータが読者に真剣に読まれる記事である要素を維持できる必要がありますが、今の雑誌などのコンテンツにはある疑問が生じてきています。

エントリーが長くなったので、それは次回に・・・。

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