広告会社のオフィスロケーション論

 インターネットでオペレーション出来ることが増えて、広告会社のオフィスロケーションの考え方も変わって当然になった。都心の1等地にいなくてはいけないのは、どんな機能をもつ人たちで、高い賃料を払ってまで1等地にいなくてもよいのはどういう機能を担うメンバーか、そもそも同じオフィスに同居しなければならないのか、など改めて考えても良い。日本では大手広告会社は比較的1等地にずっといる。しかしニューヨークではアドマンのオフィスは景気のよい時とそうでない時で結構エリアが変わる。テレビシリーズ「マドマン」ように華やかなころはマディソン街にいましたが、今はダウンタウンに近いこのあたり・・・ってな感じだ。欧米の広告マンからすると広告会社が自社ビルを持つなんて信じられないかもしれない・・・。(まあ電通さんは、ただの広告会社じゃない違う業態だし・・・)

 オフィスロケーションの話をするのは、それだけまあ、その家賃が気になるくらい、なかなか儲からない商売になったことの裏返しでもある。しかし本来は、適切な人的リソースなのか(つまりリストラ)をしっかり考えてからでないと、賃料だけを販管費抑制材料にするのは本質ではない。

 そもそも、広告会社は社内間移動が極めて多い業態である。ふつうエレベーターは出入り口である1Fフロアと各々のオフィスフロア間で乗るのが普通だが、広告会社は社内のほかの部署を行き来することが非常に多い。昔の博報堂さんの東京ビルのように水平に広いほうが便利で、電通さんが聖路加にいたときのエレベーターはたいへんだった。おかげで汐留のビルは実にエレベータービルみたいだ。
 
また会議室がたくさん必要である。アイディアが生産物だから、会議室はある意味工場でもある。クリエイティブスタッフのスペースもその意味で工場だと言える。この工場(ファクトリー)機能も、付加価値の高いプランニング機能と付加価値の低いオペレーション機能がある。いわゆるオペレーションも従来の物理的な作業から、ネットを介在させたデジタルデータをやり取りする作業に変わった。昔ほど顔を合わせての打ち合わせが必ず要るわけでもない。だからと言ってコミュニケーション(作業の意味、方向性を認識、理解し合うこと)が大事なのは昔と変わらない。
 しかし、メディアスペースを買ってもらうことで収入となるマージンが比較的高い時代は、周辺作業にかかるコストはすべて吸収できたが、今は周辺サービスも個別に利益を出す必要があるのと、メディアバイイングオペレーションほかに関わるコストを効率化する必要がある。全員が1等地にいないといけない時代ではない。
 
 日本の広告会社も成長一辺倒の時代には、どんどん人員も増えて、オフィススペースもどんどん拡張して、移転を繰り返してきた。ただそろそろ「みんな一緒に1等地」はないんだろうと思う。
 電通さんは、銀座、築地、汐留、博報堂さんは、神保町、東京駅、田町、赤坂、ADKさんは新橋・日比谷、銀座7丁目・日比谷、築地・・・。博報堂さんの田町時代を除いてやはり都心1等地。一方、橋を渡って賃料の安い場所に出て行った広告会社もあるが、業界には橋を渡ると会社の勢いが悪くなると思っている人も結構いる。

 社員のモラールや、学生の就職希望を募るためには、オフィスロケーションは重要である。人しかリソースがない広告会社では優秀な人材を集めるためには最低限賃料コストを裂くのは必要なのだけれど、逆にいいところに拠点を維持するためにも、事業の高収益化、効率化を見直さなければならない。

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