「ネット広告15年史」  第一回

 日本のインターネット広告業界にそのスタートの年から参画していた者として、その記憶を少し記述しておいた方がいいかもと思い立った。「本にしたら?」といってくれる出版社の人もいたが、私自身の歴史でもあるので、それほど面白いものになるか分からないし、誰かの為になるものでもない。まずはブログに書いてみてから考えることにしよう。

 さて、記憶をたどって95年からのネット広告史と私自身のインタラクティブ広告史を書いてみる。話にでてくる人は当然実際の人物だが、実名を上げるわけにも行かないので、伏せて書くことにする。
 
 そもそも私にインターネットなるものを教えてくれたのは、I・J氏である。93年ごろにたしか富ヶ谷の彼のマンションで、サンマイクロシステム社のワークステーションで、アメリカや英国のネットワークに入って見せてくれた。NASAのネットワークにも入って見せてくれたのをよく覚えている。
 I・J君との付き合いは、彼がジョインした会社の設立メンバーが私の大学時代の親友だったことに始まる。A・K氏は私の大学時代のバンド仲間だ。だから設立時からの彼の会社については実によく知っている。
 I・J君の薦めで、彼が日本法人をやっていたアメリカのプロバイダー会員になった。やっとモザイクができていたかどうかくらいで、インターネットというのはゴーファーとかニュースグループとかでブラウザはメインではなかった。

 ところで、私がインタラクティブな仕組みの広告に目覚めたのは、マス広告華やかしころのバブル期に大手ビールメーカーの飲料の新製品キャンペーンを手がけたことに起因する。首都圏のコンビニをチャネルとして開発されたその飲料のターゲットは、女子中高生。奇抜なプロモーション策が通って実施したのは、商品のパッケージに電話番号を刷り込み、テレフォンサービスを実施、時間を区切って電話をかけてきた側の声を録音しておける仕組みにして、その音声をラジオCMの素材に入れ込んでオンエアしたのだ。
自分の声がラジオの電波に乗る可能性があるので、回線はパンク状態に近くなった。当時の人気番組「三宅祐司のヤングパラダイス」の威力のおかげでもある。
 このアナログインタラクティブなキャンペーンの仕組みは当時一部では話題になった。私はLFから企画賞をもらった。ただ電話の応答措置は留守番電話そのもので、あまりに前時代的なので、キャンペーン後に電話の設備屋さんと自動で音声応答ができる仕組みをつくろうということになった。当時はまだほとんどがダイヤル回線、今でこそボタンを押して自動音声ガイダンスに従って無人サービスができるが、それはプッシュ回線つまりデジタル回線になっているからだ。
 今の若い人たちは丸い穴に指を突っ込んで廻す「ダイヤル電話」を知らないだろうが、このアナログ回線でも自動化できないかに取り組んだことがある。ダイヤルを廻すと番号によって特定の周波数がでる。これをオシロスコープで波形を確認して、波形の内側の面積を積分して出す。この数値は1~0まで固有な数値領域にほぼなるので、電話の相手がダイヤルの何番を廻したかが分かる。それをもとに音声を選択して返そうと考えた。しかしこの構想は、確か1と2の識別精度が97%どまりで、悔しいが断念した。
 その後、プッシュ回線が普及し、電話の自動音声応答装置で、その場で当落の分かるインスタントウィンのプレゼントキャンペーンが可能になる。このシステムはアメリカから入ってきて日本ではタバコのキャンペーンで初めて採用される。ただ非常にコストが高く、同じようなことがもっと安くできるところを探していたところ、出会ったのがHNという会社だった。ダイヤルQ2を扱うのが得意だった彼らに電話によるキャンペーン装置を組み上げてもらうことになる。そのときにHN社の社長I氏に、「実はインターネット広告を事業化する構想がある。是非販売を協力して欲しい。」といわれた。その後このHN社のネット広告を3社くらいに実際に販売することになる。

一方で、I・J君は、95年暮れに検索サイトYの日本進出について、Sさんからもアドバイスを求められていた。95年当時アメリカの検索サイトと言えば、YとIが双璧だった。Iは世界で初めてのロボット検索エンジンを謳っていて、人海戦術のYとの優位性を声高に主張していた。実際に95年の広告収入はIの方が少しだけ多かった。
 私の周辺はにわかにインターネット広告が芽吹く直前のざわめきに包まれた。I・J君が「ロボット検索のIを日本に導入したいので手伝ってくれ」ということになる。96年の春先の話だ。
 
第二回に続く

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