「行動ターゲティング」はネット広告の単価を上げられるか

日本のネット広告のCPMが米国の1/3くらいになっているということは前にも言及した。何故かというと、基本買い手市場にあるので、買い手の求めるCPAから逆算したCPMでの取引への圧力が働いて価格を押し下げるからである。ただそうした傾向は日本以外でもそう変わらない。にもかかわらず日本の単価が低いのは、メディアがブランド力もクリエイティブのパフォーマンスもギャランティする売り方をしてきた結果と、日本のネットマーケターが「同じクリエイティブでクリックベースでのCPAで評価する」という極めて単純化した手法を続けているからである。買い手サイドから見れば、安く買えることは良いことだが、単純化した手法では長期的にはROIは良くならない。短期的な最適化の繰り返しが、返って日本のネットマーケティングスキルの水準を上げずにいる。

 この状況を変えるきっかけは、ネット広告枠の需給環境の変化と、本格的なクリエイティブパフォーマンスを展開した手法が大きな成果を上げることのふたつだと思う。
 そして、このクリエイティブのパフォーマンスが本格的に機能するには、ユーザーの文脈に応じた多様なクリエイティブの量産体制ができて、最適配信が可能になることである。
 
 実はタイトルの「行動ターゲティング」が本格的な価値を創造して価格を上げられるかどうかは、このクリエイティブの最適配信に対する期待だと云える。
単に配信対象を絞り込むだけの機能では、単価は上がっても投下量は少なくなって、ネット広告全体の市場を押し上げる効果があるかどうか疑問になってしまう。現状のままでは「行動ターゲティング」は効率を上げるかもしれないが、効果の絶対値を劇的に上げるまでにはならない。マーケティングROIとは、効果/効率であって、ひとり当たりの獲得コストを下げることだけがゴールではない。
インマーケットにある見込み客をつかまえることができるのがインタラクティブメディアであるネット特有の機能であり、行動ターゲティングは顕在化した興味関心をほとんどリアルタイムで捕捉してコミュニケーションチャンスをつくる技術である。であれば、興味の文脈に応じたメッセージで、ほおっておけば関心を失うか、他のブランドへの興味に行ってしまうパーチェスファネルの中間にいる対象も、自社ブランドへの関心を醸成しておく機能を含め、最終獲得とその即効性だけに焦点を絞らずに、本来の広告の機能と目的(積極的な興味を持たない人にも広告訴求することで顧客化への道筋をつくる。)を展開するようにならないと行けない。

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