企業による非ブランドサイト

「企業にとってWebは自社メディアである。」

これを第二段階に進めると、単に企業サイト、ブランドサイトから非ブランド化、つまり純粋な情報サイトとしてのWebメディアを保持し、マーケティング活用しようとする動きがでてきた。

 最も成功しているのは、ジョンソン&ジョンソンが運営している妊婦や乳児幼児をかかえる母親向けサイト「Babycenter.com」である。

 「企業による非ブランドサイト」とする条件は、以下の3つである。

① 企業名や商品名を前面に打ち出していないこと。
② 独自ドメインで長期に渡って運営していること。
③ メディアによる広告企画ではないこと。

事例をあげると

BabyCenter
ジョンソン・エンド・ジョンソンによる妊婦・母親向けの情報サイト。経営が破綻したeToysから2001年に買収。積極的に世界展開。

http://www.babycenter.com/

BeingGirl
プロクター・アンド・ギャンブルによる思春期の女性向けサイト。カラダとココロの話題、生理用品の紹介など。日本を含む世界で展開。

http://www.beinggirl.com/

Bud.TV
アンハイザー・ブッシュ(バドワイザー)によるビデオサイト。

http://www.bud.tv/


日本でもこうしたサイトは立ち上がってきている。

e-days
キリンビール(キリンラガービール)による大人向けのウェブマガジン。阪急コミュニケーションズが制作。
http://e-days.cc/

Macoron!
ワールド・ファミリーによる子育てコミュニティーサイト。ミキハウスやユニ・チャームなど、多数の協賛あり。
http://macoron.jp/

Mouth & Body PLAZA
サンスターによるオーラルケア情報サイト。
http://www.mouth-body.com/

WOMAMA
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンによる子どものいる女性向けサイト。大塚製薬やワコールなど、多数の協賛あり。
http://www.womama.jp/

Yuta-tto!
やずやが運営するSNS。健康手帳など健康に特化したツールが用意されている。
http://yuta-tto.jp/


 ただ、その規模感に関しては、米国のサイトは桁違いといえる。
その最大の理由は、企業のマーケティング体制に起因する。現状のマスマーケティングを前提にした組織体制には、非ブランドサイトを運営する受け皿がない。
 そもそも日本のマスマーケティング企業のWebキャンペーン展開は、従来のプロモーションコストの配分モデルのなかでWebを使ったアイディアを実現させているに過ぎない。
Webをマーケティング活動の中核に置いたり、自社メディアとして大規模な「非ブランドサイト」を保有したりするには、組織構造とマーケティングコストのかけ方を再編成しなければならない。ジョンソン&ジョンソンでは、事業部門をまたがってこうしたメディアマーケティング機能をもつ体制に組織改編を行なっていることに意味がある。日本の企業も組織の見直しやCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の設置などが急がれる。

 また特に多数のブランドを保有する企業にとって、マーケティングコストを多くかけられるブランドは良いのだが、さほどコストをかけられない中小規模ブランドも並存する。これらを大型ブランドと同様のテレビ出稿などをしても、シェア・オブ・ボイスが小さくてあまり効果がないケースが多い。中小規模のブランドの継続的なプロモーションには自社のWebサイトメディアをうまく活用することが可能だ。
 複数のブランドが共有のコミュニケーションメディア資産として、Webサイトメディアをもつイメージである。そのためにも事業部門横断的なメディアマーケティング部門を編成する必要がでてくる。
 さらにこれは当然だが、非ブランドメディア(情報メディア)をもつことで、商品開発をはじめとするマーケティング装置になる。消費者インサイトを発見するツールとして、Webサイトでも消費者行動は重要なデータとなる。従来マスマーケティングでは、消費者の「意見」を聞いてきたが、「行動」を把握できるWebメディアの方が次世代型のマーケティングができる。「行動」の方が正直にインサイトが分かる。

 

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