ラブレター型?なし崩し型? クロスメディアの使い方

意中の異性とお付き合いをスタートする!という命題にこれという答え=必勝方程式は・・・ない、ですよね。ある!という猛者もいるかもしれませんが、その話題は別のブログでどうぞ。

さて、広告会社の新入社員にこんな質問を投げかけました。
「君は、異性との交際を始めるとき、‘好きです、付き合ってください!’と宣言してからはじめる?それとも、‘こんど映画見に行こうよって感じでカジュアルなデートを重ねて気が付いたら交際してた/させてた’タイプかな?」

これに対する50人ほどの答えはほぼ半々。
筆者のパーソナルラブヒストリーからすると、やや意外。
どっちの意味でかというと、好きです宣言を半数がしていること。立派だ。

筆者はと言うとですね、相手が興味を持ちそうなことを提示して共有体験を重ね、二人だけの話題やキーワードがたまっていった結果、離れがたい親密な空気ができて「これって付き合ってるってことなのね」という状態に『なし崩し』ていく手法を得意としているわけです。相手にとって、そして二人にとって「未知なるもの」を多分に盛り込むことで共感性は高まるので、行ったことのないところ、やったことのないことを相手の許容量に合わせてエディットしていくセンスが問われますが、一発勝負ではないので修正や撤退も少ないダメージで可能といえます。ふむふむ。

好きです宣言は、脈のない場合に無駄な労力を回避できるとか、OKの場合話しが早い(!)など言い分はあるので、短い人生でどちらのスタイルが優れているかはわかりませんが。

さてさて、前置きが長くなりましたが、これ、「クロスメディア」の理解における新旧スタイルの話しなんです。(強引かもしれませんが)

というのも、広告の仕事はこれまで「ラブレター」に喩えられることが多く、巨匠といわれるクリエーターたちも、消費者を口説くラブレターとして、広告にその表現技術の粋を注ぎ込んですばらしい仕事を残してきました。それがいわば広告の歴史だったりするわけです。優れた作品が多くの日本人の心に訴えかけ、実際にマーケティングも成功したという事例は数多く語り継がれています。

さて一方、今日の情報環境の変化の中で、消費者との接点が多様化し、広告メッセージとの接触チャンスを行動動線の中で多彩に配置していく必要がある、という認識にはみなさん概ね異論はないと思われます。それがクロスメディアというキーワードで流布されている考え方です。
しかし、そこにいままでのように「ラブレター型」の広告を配置していくのかという部分に関しては、少し違和感を覚えます。

なぜかというと、
●テレビという「マス(大衆)を導く天の声」が大きな影響力を持っているときに、憧れの世界へと誘う「広告」は、口説いて欲しい消費者に熱望されていた。それは、ときにシニカルだったり自省的であったり、そのたたずまいは変化してきたが、口説きとして十分機能することはできた。
ところが、
●テレビ以外の接点が格段に増え、例えばデジタルの力で、もっと個人向けに「ラブレター」然としたお誘いメッセージがバンバン届く状態が日常化した今日。(申し訳ないが、粗製乱造な感は否めない)
になってくると、ひとはどう変わるのでしょう。

残念ながら、ラブレターという、「結局口説きたいんでしょ!」というスキームそのものが、鬱陶しく、もはや開く前に捨てるような状態に行き着いてしまうわけです。素敵なラブレターが混じっていたとしても。
自分が好きなことは自分で探せるし選べるの!もう受け身な私じゃないの!ということでしょうか。
そんな自立した消費者の言うことを聞こうと変に下手に回るとむしろ大変です。
じゃあどうしたら話しを聞いてくれるの?と問いかければ問いかけるほど溝は深まるもの。嫌いな言葉ですが「うざい」と感じられたら、かなりまずい関係になります。
そういうコミュニケーションも意外と世の中にありますよね。

そこで、「なし崩し」です。
「なし崩し」は、最初から好きとか、付き合ってとかいう暑苦しいことは言いません。
自分を前面に押し出して評価してもらうというよりは、素敵な話題、場所、体験で魅了していくわけです。下心のカモフラージュでもあるわけですが、むしろホスピタリティとして相手に伝わっていくところがいい結果をもたらします。

クロスメディアという考え方のなかで、ラブレター型?なし崩し型?かという二つの視点の間には、実は大きな隔たりがあると感じています。
それは、冒頭の新入社員の半数ずつの、意外と埋まらない隔たりでもあります。

今回のお話しは「なし崩し」型視点を押し出したものでしたが、ネット依存度の高い人、情報摂取量の多い人はこっち側の傾向が高い気がします。変化のなかで増えてきたあたらしい行動基準の人たちともいえるでしょう。
(というか、ひと言で異性を落とせる無敵のアピアランスに恵まれなかった、というのが真実かもしれません。残念!)

さて、ではラブレター広告は、もう終わったのか?

自分の良さを語るタイプじゃなく、相手の本質を射抜く口説き方って、あるんですかね?
これが稀にわたしを刺してきます。
最近、気が付くとH社の新車の広告に出ているジョージ・クルーニーになっていました。自分が。ん~、コミュニケーションってむずかしい。
次回は、「本当のあなたは、こうだ!」と突きつけるYour inner ××××という考え方についてお話ししてみたいと思います。

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