今日12/2はDACの設立記念日です。ベムはDACの起案設立者として創業に最初から関わったので、20周年ということに感慨深いものを覚えます。

 当時旭通信社会長の亡き稲垣正夫氏にインターネットがどう広告媒体になるかを説明した時に「横山さん、これはミニコミですね。」と言われたのをよく憶えています。
 また、当初5%出資された徳間書店さんに決算報告に当初毎年行っていて、徳間康快さんと会えたのもいい思い出です。

 設立してまもなく、最初のプロパー社員を迎えて、健康保険組合に入ろうと手続きすると組合から「インターネットが広告メディアであることを証明する資料をつくってくれ」と言われました。設立した96年は電通さんが「日本の広告費」で初めてインターネット広告をカウントした年で、16億円でした。それが今や1兆円になろうとしています。

 アメリカでバナー広告が出現したのが94年ですから、96年にネット広告のメディアレップを立ち上げたスピード感は今考えてもかなり早かったかもしれません。設立までの株主持ち回りの会議はそれなりに時間はかかりましたが、それにもいろんな思い出があります。当時のアサツーの担当役員だった高橋さんが「社名にマーケティングとつく会社が儲かったためしがない」という一言で、社名がデジタルマーケティングコンソーシアムではなく、デジタルアドバタイジングコンソーシアムになったこととか・・・。そういえば先日アビームさんと共催したセミナーの会場が神保町の元博報堂さんのビルで、最初の打ち合わせにあの古いビル言ったなあと思い出しました。

 しかしこの20年はあっという間だった気がします。
日本のネット広告の歴史に0時点から関わることができたのは本当に良かったと思います。いろんな方にお世話になりました。

 今、ネット広告(もうデジタル広告という方がしっくりきますかね)はひとつの転機を迎えていると思います。この転機が、広告主、代理店、ベンダーなど関わる様々なプレイヤーにとって「良い方向」になることを信じています。
 DACの次の10年、20年にも大きな期待を持ちつつ、ベムの20年を振り返る今日12/2です。

既に、2017年広告マーケティング業界7つの予測のひとつを明かしてしまうエントリーになっております。(笑)

 先日、ベムの会社でインターンをしていた学生の就職先がデジタルの運用型広告の会社に内定したので、思わず「ご両親はなんと言ってた?」と訊いてしまった。「やはり心配してます。」との答えに、今、「広告」とか「デジタル」とか言うとそういう印象を持たれてしまうんだと思うと同時に、本当に人材が集まらなくなる危惧を覚える。

 POEに企業のマーケティングメディアを再整理しましょう」という発信を「トリプルメディアマーケティング」でしたのは2009年。とにかく広告マーケティング領域で「やること」が劇的に増えた。ペイドだけとっても、デジタル広告領域での作業量はプログラマティックバイイングの登場もあって、尋常じゃないくらいに拡大したと言える。

 ベムはDAC時代におそらく日本で初めての海外デジタル媒体の買い付けを行った経験がある。その時の一番の印象は、とにかく向こうのメディアバイイングサービスが杜撰で、荒っぽいことだ。インプ保証なのに、キャンペーン期間内に達成していなくても平気で、「そのうち達成するよ」てな感じで焦る様子もない。「こんな大雑把な仕事としていてよくクライアントが文句言わないな」と思ったが、おそらく日本以外の多くの広告サービスは、レベルの問題はあれ、得てしてこんなものなのだ。逆に言うと、日本のサービスは過度に細すぎる。いわゆる重箱の隅をつつくそれで、それも部分最適にフォーカスされていることが多い。広告主とエージェンシーの関係も発注側と受注側でいうことで、徹底してサービスを提供しないと、替えられてしまうので必死で対応することになる。とにかく広告主の担当者の要求を満足させるべく、徹夜も辞さずということになる。


 エージェンシーが提供する価値を、コンサルテーション、プランニング、オペレーションと3つに分けるとすると、提供価値がオペレーションに限定されてしまうと、こうしたとにかく言われたとおりにサービスすること、ディスカウント要請にもできるだけ応えることになってしまう。

 でも、そうした環境は今回のことを契機に少し変わってくるかもしれない。
 つまり、なかなか人材を確保しづらくなってきたデジタル広告のしかもオペレーション領域で、発注者だからと今までのような要求をし放題ということが広告主もしづらくなるだろうということだ。要は仕事を断られる可能性があると思う。もちろん受け皿はどこかにあるだろう。しかし一定以上のクオリティを担保できる引き受け手かどうかは甚だ疑問だ。


 「いやいや、こっちは金出して発注しているんだから、業者をどこにするか、言うことちゃんと聞くところにするんだよ。」という反応もあるだろう。それはそれでそういう選択もあっていい。しかし、本当の意味でのパートナーとして協力会社を得ることはできないだろう。パートナーとは、本当に取引先企業のためを思って考え、行動してくる会社や担当者である。困った時に本当に親身になって助けてくれる相手である。

さて、
 広告主とエージェンシーの関係を考える機会として、ANA(全米広告主協会)のメディアトランスペアレンシーガイドラインを見てみよう。

1)Agent & Principal(エージェントなのか、プリンシパル(購入主体)なのか)
2)Contract Content(契約の範囲を確定させる)
3)Contract Audit Rights(監査権利を確認し、契約に組み込む)
4)Contract Governance (契約書作成だけにとどまらないコンプライアンスの実行)
5)Data and Technology(データとテクノロジーへの理解)
6)Advertiser Responsibility(広告主の責任の明確化)
7)Code of Conduct (行動規範の策定と相互理解)

  アメリカと日本では、取引きの考え方もずいぶん違うので、これらがすべて取り入れられる訳ではない。しかし、ベムは最後の7つめの「行動規範の策定と相互理解」というところに注目する、特に「相互理解」だ。トランスペアレンシーという面では、何もエージェンシー側が求められるだけでなく、広告主側がしっかりエージェンシーをパートナーとして情報を開示しているかという面もある。


  良質な広告オペレーションの受け皿をしっかり用意しなければいけない。

 そのためにも、ベムが以前からずっと言っていることがある。
  運用型広告をオペレーションしている人材に対して、そのスキルの付加価値向上とキャリアのステージを明示してあげるということを、運用型広告の会社を経営している者がちゃんとしていないのではないか?ということだ。

  若い人材の20代の4~5年やらせて、オペ疲れしたら、新しい人材に入れ替えていくという手法ではだめだ。

  業界は当然、広告主側も相互に人材が育つ環境を意識していかないといけない。

 そういう転機の年になった2016年になったと思う。

デジタルインテリジェンスNY 榮枝のレポートです。

ADWopening1.JPG ニューヨークのアドバタイジングウィークが26日月曜日から開催されているが、メディア取引の透明性議論について全米広告主協会(ANA)側が広告業協会(4A)と対抗する様相になってきた。

28日に行われたANA主催のセッションには、
・Bill Bruno CEO, North America, Ebiquity(ANAの透明性調査を受けた調査会社)
・Bill Duggan Group EVP, ANA(このセッションの主催)
・Ben Jankowski SVP, Global Media, MasterCard(広告主側ゲストパネラー:マスターカード)
・Tony Pace Founder, Cerebral Graffiti(広告主側ゲストパネラー:元サブウエイCMO、ANA Chairman)
・Julian J. Moore, Esq. Senior Managing Director, K2 Intelligence(透明性調査を受けた調査会社)

がパネルとして参加し「メディア取引の透明性」について議論が行われた。

 広告主と広告業界とがフェアーなディスカッションをするためには、このパネラーの中に広告業界側からも登壇する「バランス」が欲しいところだが、実現に至らなかった。実は4Aの代表(CEO)のナンシー・ヒルCEOは登壇を「予定」されていたが、直前にキャンセルを発表している。

キャンセルになった理由は、ANAの指摘している「個々の」エージェンシー&クライアントの契約ケースが多様で、4Aとしての「統一見解」としての公言難しからだ。

広告主側のANAの指摘は「あれも、これも、色々ある」という報告レポートなので、それを受けて4Aが協会として返事をするには「あれはこう、それはこう」という個別対応説明する難しさがある。この難しさを協会内で調整なしに代表公言するのを控えた形だ。本件の4Aの対応ミーティングは、すでにニューヨークでは第一回が開催されたが、サンフランシスコ、ダラス、、、と広告マーケット主要各都市で複数回開催する必要がある。

4Aナンシー・ヒルCEOは本件につき全てオープンに話すとしながらも、When it comes to legal and contract specifics, we feel these are best left between agency and client.(個々のケースの検証は、法的な事も関係するので、個々のエージェンシーと広告主との協議に委ねたい)としている。「協会対協会」のレベルで議論をしたり、和解するではなく、「個々の」広告主の行動とそれに伴ったエージェンシーの行動が頼りになる。

ANA側のトランスペアレンシー・ガイド(ANA transparency guidelines)に続き、4A立場もトランスペアレンシー行動ガイド(Transparency Guiding Principles of Conduct)を策定した。これは指南書ではなく「4Aメンバーの規定」のレベルの気合の入った書類だ。

4Aの立場は三面記事的に見れば「表に出てこない」立場に見えるが、今後しばらくの間、協会としてのコメントは控え、それよりも個々のケースを自主的に洗い直しする事を待つ事になる。4A協会の防御ラインとして、まずガイドラインは策定できた、という段階が上記だ。

28日のセッション登壇のマスターカードのグローバルメディア・バイスプレジデントは「広告主はベストのエージェンシーとして採用契約をし、エージェンシーもそのベストの結果を提供する立場だ。しかしエージェンシーのスタッフには、日々進化するデジタル環境に未熟な若手も存在する。玉ねぎの皮をむくように、管理職がひとつひとつ洗い直す義務もあるはず。」とした。

ADWmatt.JPG

 今年のアドバタイジングウィークに参加来場者にとって、先週9月23日に電通が発表た「不適切」取引の話題は、ホットであり今年の大きな話題の一つだ。ちなみに、刻々と英文の表現が微妙に変化している。10月23日には電通の取引が「Inappropriate Operations(不適切なオペレーション)」であったのが、「irregularities(不正行為、不正直行為)」にシフトしている。

10月23日 Inappropriate Operations'
http://adage.com/article/special-report-advertising-week/ana-media-transparency-issues-solved-individually/306068/

10月28日 irregularities"
http://adage.com/article/special-report-advertising-week/ana-media-transparency-issues-solved-individually/306068/

現在ANAと4Aとの協会同士の立場は平行線のままだ。しかし、明るい方向としてANAのチェアマンは「何もドラマのような展開や、エージェンシー企業を告訴しようとしているのではない。」と述べた。「現在は答えの見えない平行線でも、きっとより良い着地点がみつかるはずだ」。

このコメントの引き金は、先週の電通側の「能動的な社内調査」の中間報告が大きい。ANA側は「大いなる第一歩」として賞賛している。一方でJPモーガンチェース銀行、GE等の自主的なエージェンシー取引の「見直し検証」も始まったとWSJが述べている(先日のブログ・エントリーでも紹介済み)。

ANAはスモールサイズの企業においても他人事と言わず、ANAのレポートの一読を勧めている。英文での一読も1時間程かかる量だが「一読に値する」と啓蒙している。

ADW01.JPG

ANAのメディアトランスペアレンシー・レポート(英文)
https://www.ana.net/content/show/id/industry-initiative-recommendations-overview

WSJ出典:
http://www.wsj.com/articles/big-marketers-launch-audits-of-their-ad-buyers-1474567320

AD WEEK ニューヨークが開催されます。デジタルインテリジェンスNY代表榮枝からのレポートを速報で掲載します。

今年のOpening Galaは、何と、今年出来たばかりのワールドトレードセンター施設のOculusの「中」で行うと。

これはすごいです。JTB的には、観光ネタの目玉ですね。

写真ご覧ください。

IMG_5902.JPG オキュラスのグランドオープニングの時の イベントの模様です(榮枝撮影)。

おそらくこの自社オープニングにつづいての初の外部貸し切りじゃないかと想像します。

ちなみに、この「ドーム型」のこの施設、建設費ざっと4000億円です。
オリンピックの日本の国立競技場で、なにやらモメてた金額の倍(数倍)ですね。(これも税金使われてます)

そしてこの金額は新築された全米一番の建造物となった(541M)
ワンワールドの建築費と、ほぼ同額です。

それほど、すごーいドーム、という事で。
中に入っている店鋪は、有名ブランド精鋭ブランド総集めです。
アップルストアも当然あります。

続く

 出遅れてしまったので、少し角度をかえて取り上げてみたいと思います。
 
 この件、どういう訳か海外メディアから報道され、そもそも日本の広告マーケットの不透明性を槍玉に上げているようだ。海外メディアの論調は、電通だけが悪いのではなく「日本ってそういう国」、「こういう取引が当たり前の国」というイメージに持っていこうとしている。

こうした中で、米国広告主協会(ANA)が、電通の「Proactive(プロアクティブ:自主的な発表)を歓迎・評価している報道もある。

 「米国広告主協会のVP ビル・ダガン氏は、電通が今週、トヨタアカウントのデジタルメディアの取引において「不適切な」請求があった事について「プロアクティブ(自主的に)」報告した事は、好ましい行為だとした。

http://adage.com/article/agency-news/ana-applauds-dentsu-mum-reports-major-marketer-audits/305981/

第三者のオーディットが入ってから発見されてしまうのではなく、プロアクティブに広告主に報告した事は、好ましい行為だとした。

 もちろんそもそもはクライアントからの指摘で発覚しているということなので、完全に自主的とは言えないかもしれないが、非常に積極的な実態解明の努力をされたとは思う。ただANAがこういうコメントを出すことには米国での背景もある。

 ANAはエージェンシーグループの「不透明さ」をこの2年調査し、レポートして指摘し続けているにも関わらず、WPPもオムニコムもピュブリシスもANAの調査結果や指摘には「遺憾」しか唱えてこなかった。
 この「不透明だ」対「知らぬ」という均衡状態に、最初に「自主的報告をした」電通にANAは「よくやった」と褒め言葉を与え、「これが最初の1社目だ。次は誰だ」と言いたいようだ。
 
 ANAの発表によれば、米国でも実際、JPモルガン銀行、GE、シアーズ、AT&T、オールステート保険、ウォールグリーン・ブーツ、アリアンツ、フィデリティー、ハイネケン、USセルラーなどがエージェンシー・ホールディングス企業との「契約内容」の見直し監査を個別に始めている。

 広告契約内容が不透明とされるのは、今回の電通の件が子会社の作業のなかで起こったのと同様に、ホールディングスの「子会社」での取引で起こっている事を広告主が関知できない契約になっているからだ。

 例えれば、WPPのメディアエージェンシーのグループMと契約しても、傘下のトレーディングデスクのXasisの中や、さらにその中のアドテクのAppNexusで何がどう取引されているかは、広告主は関知しない契約になっている。承知の上の契約のはずだが、その旧来の契約のひとつひとつを吟味し始めたのだ。

 デジタルメディアの取引が旧来の手売りメディアに比べて複雑で見えにくいというのは表面上の理由だ。不透明といわれる深部には、1)ホールディングス企業が企業買収を進めた結果、あらゆるマーケティングサービスを傘下に収め1本に集約したことから発生する不透明さと、2)「先買い締め、後売り」の利ざやを稼ぐアービトラージの方法が増えたことにから発生する不透明さが大きい。

 これは言い換えれば、「マーケティング全てを1社で集約する事業」を「アービトラージ」方式で先行して行った日本モデルに、欧米の方が近づいてきたと言える。

 海外メディアがこれは日本特有だと言いたいのには、日本モデルに近づいてきたメガエージェンシーの意向も反映しているかもしれない。そんななかでのANAのコメントである。
 

 しかし電通にとっては、ANAから歓迎のコメントが出ているのは「ケガの功名」かもしれない。透明性のある取引に改善したという「1番手イメージ」を世界に発信するチャンスではある。


 ただ、今後、本当にデジタル広告の運用の透明性を確保するには、第三者による配信設計とその精査と、買い付け運用そのものを分離するなどの仕組みが必要だろう。
 そうでなければ広告主自身がトレーディングデスクをインハウスに置くなど、人材難のなか少々ハードルの高い施策も考えないといけない。

 入札運用の管理画面を毎日広告主が見る意味をつくることで不正など起きようのない環境をつくるという手もある。

 そもそも従来の広告の「枠もの」の実施とそのレポートを週一で営業が紙でもってくるというパターンと、リアルタイムで入札運用していく「運用型広告」は文化的に相容れない。発注者である広告主が、リアルタイムで入札発注をかける仕組みでは、リアルタイムダッシュボードを「打ち手」の拠点とすることになる。

 今回のことは、広告の買い方、管理の仕方が新しくなっていく中での過渡期で、もし起きても(もちろん不正はそもそも起きてはいけないが)発覚しにくい状況を生んでいたとも言える。

 広告施策は「プランどおりに実施して、終わってから結果を見る」という従来型からリアルタイムで状況を把握しながらリアルタイムで「手を打つ」仕組みがメインになっていくだろう。

 前向きに考えるなら、今回のことを契機に、デジタル広告の実施管理が進化していくことを期待したい。ベムもこうしたことでデジタル広告の信頼回復に貢献したいと思う。

広告コストのアカウンタビリティ向上は結構な話ですが、オーディットでそれをコストカット材料にするだけでは意味がないのです。


大企業が広告に使うコストについて、社内的にそのアカウンタビリティを求める動きは常にある。特にネット広告の効果指標が(部分最適だが)明確に感じられる分、マス広告特に巨額なテレビ広告の効果効率についてもっと精査せよとの動きも顕著になってきた感がある。ベムのところにも財務系の部署から視聴質によるテレビCMの本当の効果算出に関して問い合わせも入る。

しかし、ベムはこういうただコストカットのためだけに広告を目の敵にする財務管理系の人たちのお先棒を担ぐつまりはない。

「広告の買い付けを資材部・購買部にして効率を精査する」という、短期的に利益を出すためにコストカットしようというコンサルもいて、売上を上げるための広告投資をどう最適化するかという視点に欠けた、広告を単なるコストとして見る向きには賛同しない。

 ベムはむしろこうした単なるコストカッターから、宣伝部を守りたい。もちろん宣伝部が説明責任を果たせるように効果を立証するのだ。

 テレビCMの効果も、その本当の効果を詳らかにして、その強さと弱さをしっかり見極めると、実はテレビ広告はやはり使うべきだとなるはずと思っている。また逆に今しっかりテレビの本当の効果をしっかり把握しないと、テレビがだめになるのを早めてしてしまうと思う。

 テレビの効果はブランドによって違う。だから個別に「いくらだったら買っていい」という投資ラインがある。

 以前このブログでも書いたが、ブランドごとに買っていい額があるなら、それを入札応札で取引されるということもあっていい。ただそのためにはバイサイドが本当の効果をしっかり把握できないと価格を決められない。テレビ局もその方がパーコストを高く売れる気がするが・・・。

 すべての広告投資の直接・間接効果と、効果のタイムラグと、ブランディング効果(マーケティングの時間軸を長期にとった場合のROIの最大化)をどう数値化するかなど、企業ごと、ブランドごとに可視化することで、投資対効果を最大化することにならベムは最大限協力します。

 僕は宣伝部の味方です。

ゲームアプリやEC系ビジネスなどネットビジネスが広告主となってテレビ広告を大量に使うようになった。もちろんどのCMクリエイティブでどのくらいダウンロードされたかとか測定はしているものの、そもそもCMクリエイティブ開発には、ろくにクリエイティブブリーフもない感じで、いきなり出てきたアイディアベースのつくり方をしていると感じる。

 ベムが昔CM制作に携わっていた時は、かなり表現戦略上のRationaleというか思考回路も吟味されたものだ。だからKJ法だのラダー法などいろいろやってみた。まあ演繹的に作り込むのはそう簡単じゃない。
 クリエータもだいたい引き出しに入っているアイディアを使いたいから、表現戦略上のコンセプトで理屈をつくる僕のようなアカウントプランナーとは大概衝突する。クライアントにプレゼンの席で、「う~ん。アサツーさんのは、考え方はいいんだけどねぇ・・・。表現案がその考え方と違うというか・・・。変にジャンプしちゃってて・・・」とよく言われた。(笑)

 で、ネットビジネスの広告主のCMクリエイティブなんだが、やはりネットでCPAとかが指標で、ABテストとかばかりやっているから、「クリエイティブ」することがどうも分かっていないように思う。バナーみたいなものは既存のクリエイティブ素材の副産物として制作されてきたから、ネット専業代理店の人は撮影に行ったこともない人が多いだろう。
そもそもパソコンの画面上でしか思考していないように思う。

 ABテストをすると言っても、考えられる表現が100あるとしたら、レベルの低い99番目と100番目を比較して、「どっちがいいか」とやっているかもしれないよね・・・。

 クリエイティブというのは、いったん考えられる「表現」を1000本ノックで拡げられるだけ拡げ、そこから修練させるというプロセスを踏む。
 
 また修練させるロジックも、クリエイティブブリーフをつくって、そのフィルターを通ったものでないと成立しないわけで、「面白いからいい」という訳にはいかない。
 
 「ネットインプレッション」という最終的に視聴者に残るパーセプションを計算しつつ、ブランドメッセージの伝え方を企てる。

 そうした「ブランディング」を長年思考してきた者と、CPA思考とにはかなり距離があるようだ。

 ネット広告に関しては、重箱の隅をつつくような細かい最適化を追求する割には、テレビCM制作には大雑把というか、つくり方が全く分からないのかぁと思う。

 せっかくテレビ使うなら、テレビCMをどう作るかは、クリエイティブ開発にしっかりした思考回路を持たず、代理店任せにすると(というかこういうのは代理店のせいにしちゃいけなくて、広告主の能力が出るものなかので)、いくらABテストして最適化していると言っても、ABテストではなく、YZテストしてるかもしれないだけどね・・・。

CMOを育てようというムーブメントが起きて久しい。しかし、日本企業でのCMO設置は相変わらず進んでいるとは言えない。
 その本質は、「日本ではマーケティングという考え方そのものが根づいていないこと」、それに尽きる。

・マーケティングが定義されていない。
・広告・販促のことをマーケティングと呼んでいる。
・そもそもマーケティングは営業がやっている。

 だから欧米流のCMOの機能など遠すぎてイメージすら出来ない。

「事業部ラインが求める売上利益よりブランド価値を優先する」というようなCMOの基本思考を述べられても経営トップからそんな思考がないし、経営トップがCMOの機能について腹落ちしていない。

 一方、デジタル社会は到来しており、企業の「デジタル変革」(デジタル・トランフォーメーション)が喫緊の課題と言える。

 「マーケティングは経営そのものだ」とまで言い切れる欧米企業と違って、マーケティングは広告・販促と考える日本企業にも等しく「デジタル変革」が急務となっている。

 であれば、ベムは無理してCMOを戴くよりも、会社のすべての分野の「デジタル化」を役割とするCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を設置して、デジタルトランスフォーメーションを推進する方が分かりやすいのではないかと思う。むしろそういう大きな権限の中でないと、マーケティングのデジタル化でさえ出来ない。

 マーケティングを再定義する機会として、「デジタル変革」は最も都合のよいはずだが、そもそもマーケティングが定義されていない企業は、再定義が出来ない。
 マーケティングを云々している間にタイムアウトになるくらいなら、COO、CFOと並ぶくらいの大きな権限も持ち、すべての領域のデジタル化を使命とするCDOが大なたをふるう方がマーケティングのデジタル化は進むだろう。

 CMOよりCDOを置こう。

2009年にWeb研セミナーにおいて私が「3つのメディア」として考え方を紹介したことを契機に、「トリプルメディア」という概念はかなり普及したと思う。
https://www.wab.ne.jp/wab_sites/contents/115

翌2010年には拙著「トリプルメディアマーケティング」が出版された。

この本では、企業のマーケティングメディアをペイド、オウンド、アーンドの3つに整理し直して、それらを有機的に連携することを提唱した。
改めて、WebやSNSの登場で、企業のマーケティングメディアを再整理して、施策検討の幅を広げないといけないと言った訳だ。
つまり、マーケティング施策検討に「気づき」を与えるために幅広く網羅するためにPOEの概念を使うのである。そしてその中から検討すべき施策があれば、それらを繋ぐことが重要である。何も全部やれということではない。だからそれらの施策の企画実施には出来れば同じ人、同じチームが携わる(ディレクションする)方がよい。

時々クライアントで目にする資料にPOEを縦軸に、潜在層施策からリテンション施策までをヨコ軸にしたマトリックスがあってそれぞれの箱ごとに施策と職務分掌が記入されていることがあるが、このマトリックスをそのまま組織編成という名のもとに分断してしまうことがあるようだ。

POEmatrix.jpg


私が提唱したのは、POEの輪が3つあるとして3つが重なるところにピンを打ってバラバラにならないようにしようという考えである。POEは施策検討の網羅性を担保するために行うのであって、POEに担当者を分けることを必然とはしていない。

poepin.jpg

 POEを職務分掌のための概念にしないほうがいいのだ。逆にPOEを俯瞰してコントロールできる人材が育たない。

そうは言っても大きな企業では、やることが膨大で役割分担しないといけない。

しかし、機能的な役割分担する上で、POEで分掌化するのがいいかどうかを考え直して欲しいのである。いちおうPOEを日本に紹介した張本人なので、やっとIMCの考え方でスルー・ザ・ラインを実現したのに、今度はPOEで分断するようになってしまっては、提唱者としてはなんだか責任を感じる。

 もし組織上の職務分掌としてPOEで分けるなら、3つのベクトルを合わせてのKPI設定と担当者の評価軸設定が必要である。POEのトータルディレクターがいて、そうした設定をしないといけないが、そもそもそういうことができる人材が育つには、POEが別々に機能する組織体制では難しくなってしまうのだ。


企業のオウンドメディア戦略は、自社ドメインに見込み客を集客するという従来モデルでは成立しなくなった。ソーシャルメディアも企業にとっては基本、ソーシャルCRMを踏まえて、カスタマーセンターと広報を同一部門に置くなど、パブリックリレーションとカスタマーリレーションがオーバーラップしてしまう今の時代に合わせた企業インフラ整備の問題である。

ある意味、Web担当やソーシャルアカウント担当という職務だけでは部分最適ばかりが進む。POE全体最適をディレクションできる職務とそのスキル開発を考えよう。

テレビCMに関しては、他のマスメディアと比べれば従来からもかなり科学的なアプローチをしてきたと言える。リーチ、フリークエンシー、GRP・・・と確立した指標がある。しかし、人口減少社会となった現在、いくつかはそのまま使っていていいのかと首を捻りたくなるものも、そもそも「そんなんでいいのかな?」というのもある。

 例えばM1やF1の人口は10数年前の8掛けになってしまっているが、ずっとTARPというパーセンテージで指標化している。母数が減っているから同じパーセンテージでも到達人数が減っていることになるが、それでいいの?とか・・・、平均フリークエンシーはリーチした人の平均だし、その平均値で当たっている人がどのくらいいたかは把握しないままということが多い。
 フリークエンシー分布(つまり、ゼロ(未到達)は何人、1回は何人、2回は何人・・・)を到達実態として把握していないと意味がないのだが、どうもそうしたデータを見ないまま、適正フリークエンシーを議論しているケースがある。

 実態としては過少フリークエンシーとフリークエンシー過多に2極化しているので、実は7回とか8回の接触者は極めて少ないのだが、その回数を適正だと言ってみても、適正フリークエンシーに補正する「打ち手」を議論しないのであれば全くナンセンスだ。

テレビの到達力はまだまだ強力だ。ただそれは初速においてで、一定以上からどうしてもサチる。特にターゲットが若年層となると、デジタルデバイスと組み合わせないとリーチを獲得できない。

 まずはターゲットにどれだけリーチできるかを、テレビとデジタルを統合的に把握することから始めないと、ターゲット到達実態が分からないまま、認知や態度変容をうんぬんするのは順番が違うだろう。

 「届かないパットは入らない」と青木功も言っている。(笑)

 まず、ターゲットリーチ補完、そして認知効率を上げる施策としてのターゲットにおける適正フリークエンシーへの補正・補完、その次に態度変容効果(購入意向)を促進するためのデバイス別のコミュニケーション・・・と、進化させたい。

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